はじまり

ロン毛やスカしが気になりながらも
なんとなく日々のLINEが続き
なんとなく2〜3週間おきに飲みに行く仲になった。

当時お互いしばらくフリーだったので
ちょうどいい飲み相手になっていた。
とはいえ、ロン毛に嫌悪感を抱いている私。
顔を合わせるたびに「うーわロン毛無理」と、
彼に対して毎度新鮮に拒否反応が出ていた。

おまけに彼はスカしている。
そんなスカしロン毛男はイメージ通りのスカしタウン
中目黒に住んでいた。

食事の回数もおそらく3.4回目の頃の3月31日。
ちょうど桜満開のお花見シーズンだったので、
桜の名所目黒川で夜桜を見ながらお寿司を食べた。

彼との食事での出来事は、今思い返してもロン毛に対する私の感想くらいしか思い出すことができない。
それくらいどうでもいい会話しかしてなかった気がする。

そしてお寿司屋さんを出て目黒川沿いを桜を見ながら歩いていた。
その間、自分の飼い犬につけた数あるあだ名をひとつずつ説明するという究極にどうでもよすぎる話をしていた。桜見ろ。

途中、川沿いにいくつかある橋のところで
「少し止まって桜見ようよ」と彼が言った。

それでも犬の話を続けていた私。
多分、それとなく何かを感じていたのかなと思う。

気がつけば桜ゾーンも終了。
それから行きつけのBARで1杯だけ飲んでから
終電の時間が来たので駅まで送ってもらい解散。

その駅までの道のりでの会話は
back numberの「世田谷ラブストーリー」という歌が
めちゃくちゃいいから聞いてくれと熱く語っていた。
今となってはなんでこのタイミングでと思うが、
これも何かを感じていたのか、ただの偶然か、
わかっていたとしたらすごくやなやつである。
(歌詞みてみてね!)

そして改札で別れ、なんか今日はちょっと変な感じだったなと思いながら電車に乗り込み
ふとスマホを見ると早速彼からのLINEがきていた。

「明日の夜もあいてる?職場の最寄りまで行くから!」と。(たしかこんな感じ)

いやこれ明日告白されるやん。
私がなんか感じてたやつ当たってたやん。
今日言えなかったから明日改めて言われるやつやんー!

もうこうなったらなんて返していいかわからない。
おまけに私は彼のことを好きとか嫌いとかそういうふうに考えていなかった。
いい人だけどロン毛が無理。
ついでにスカしている。
ほんとそれだけ。
付き合いたいとかもまだわからない。
ただロン毛が無理。

とりあえずあいてることだけを伝えて、
返事は明日考えることにした。


そして翌日。
結局返事が決まらなかった。

予定通り仕事が終わった後に彼がきて、
ごはんを食べに行ったのだが
もうお互いわかってるからそわそわが止まらない。
ついでにこの時も何を話したか今まで以上に覚えていない。

そしてごはん食べてる最中も何もなく
食べ終わって店を出るまでも何もなく、
いやいつ言うねん!また言われへんのかい!
と脳内で関西人がツッコミ続けていた。

店を出てなぜだか疲れていた私は、
なんだか勝手に待ち疲れてしまっていた。
もういじわるでもなんでもいいやと思い
駅まで送ると言ってみたが、
彼は私の自転車を置いている駐輪場まで逆についてきた。

はいもうここで告白される〜
てか告白待ちのこの時間ってどんな顔すればいいの?
もはやその状況に笑いがこみあげていて、
今から告白しようとしている彼を逆に困らせていた。

ところで私はまだ答えを決められていなかった。
でも振って会わなくなるのはなんだか寂しい気もしていた。
でもロン毛は無理。
てことはロン毛を切ればちがうのか…?

と、いろいろぐるぐると考えながら告白を気持ち半分で聞いていた。

そこで出した答えは、保留!(なんやそれ)

とりあえず、急だったので答えが決まっていないということと、
もう27歳だったので付き合うなら結婚を考えたいから適当な付き合い方はしたくないということも伝えた。
そして最後に、ロン毛が本当に無理なので付き合うなら短く切ってほしいと
彼の長年のチャームポイントをバッサリと否定した。(ロン毛だけに)

保留という答えだけでなく、あまりに要望の多い返答にちょっと困惑の表情を見せていたが
なんせ彼は私と付き合いたいので(自分で言う)
戸惑いながらも受け入れてくれた。

ちなみにこの日は4月1日。
エイプリルフールに告白されるってそんなことある?
なんかドラマみたいウフフ。
と浮かれてみたり悩んでみたり、久しぶりの感覚に包まれながら自転車を漕いだ。

それから考えても考えても答えが出なかった。
でも、なんとなく失いたくないな、
悲しませたくないなと感じた。

そんなこんなで3週間の保留期間を経て、
正式に付き合うことになった。

次回、ついにロン毛卒業。

(ただのなれそめなのでおもしろエピソードなくてすみません)