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「他人」が「知り合い」に変わる瞬間って、面白い

超絶久しぶりの満員電車。
奇跡的に座れた座席から、他人ばかりの集合体をぼんやり眺めていると、
あれあれ...?まるでピクトグラム...と思ってしまった。
※毎日ピクトのことを考えている弊害ですね。

頭によぎるのは、先ほど駅のホームで見たあのマーク。


二列に並んでね、のマーク。
不特定の人を人型シルエットで表している、マーク。

この人たち、会話もしてないようだし
こんなに行儀よくくっついてるけど、前後左右、顔も知らない他人なんだよなあ...なんてことを考えていた。

会話をしてないのに何故かくっついている他人同士、
そう、まさにこの電車内の我々である。

おそらく皆が初対面。
当然名前も性格も顔すらも知らないし、降車後にそれを覚えているはずもない。

数年後、この人たちとどこかですれ違ったとしても、その時もまた初対面だと言うだろう。

お互いがお互いのことを認識をしていないこの車内、まるで自分以外が匿名のピクトグラムだと感じてしまった。
※毎日ピクトのことを考えている弊害ですね。パート2

皆が黒塗りの顔に見えてくる。

その時ふと、【すぐ目の前に友達が現れたらどうだろう】と思った。




「わあ!こんな電車の中で会うなんて!」と手を振られ、驚いた顔で目を合わせる。



その瞬間、匿名のピクトの黒い塗装は、みるみるうちに剥がれていくのだ。

「他人から、知っている人」になった瞬間である。
満員電車の中でも、なぜかその人の顔だけ認識できるようになる。

私は、その瞬間がとても不思議でとても滑稽に思えた。
知り合いってなんだ...他人ってなんだ...
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他にも、こんなシチュエーションはどうだろう?
近所のスーパーで買い物中、やたら視線を感じる。
怪しいな、と思いつつそちらを向くと、こう話しかけられる。

しかしピンとこない。この人のことを知っていただろうか...?
するとまた彼は言う。

記憶を辿る。なんとなく...いたような...

またヒントを与えてくれた。


あれ、もしや君は!

こうして、10秒前まで赤の他人だった彼と、今では懐かしい友として懐かしい話で盛り上がっているのだ。


面白すぎる。
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人が行き交う繁華街の中、友達と待ち合わせをしている。
見つからない。
その友達に電話をかける。
「どこ?まるでウォーリーをさがせじゃん!むりむり!」
「おかしいな、近くにいるよ。おーい!」
「…あ、ほんとだ!いたいた!」

ただの黒塗りのピクトの群れだったはずなのに、なぜか急に1人だけを認識できるようになる。
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入学式やクラス替えの直後だって、
「よろしくね!」の一言で、1秒前まで匿名の他人だった人が知っている人に変わる。
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車内でそういうことを考えていると、
自分以外の全ての他人がピクトグラムのようなものに見えてきた、というわけだ。

おお怖い怖い。

この、「塗装が剥がれていく瞬間」を密かに楽しみながら、これから人と出会っていこうと思う。

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