#64:出版意図がわからない本

 はじめにお断りしておきますが、愚痴です。

 ある本を読んだ(著者名も書名も伏せます)。興味を惹かれるタイトルであり、専門書には定評のある(そしておそらく信用と「ブランド力」のある)出版社の本。著者は、私はまだ読んだことがないが、著者紹介によれば社会的に立派なポストに就いている人。

 確かにタイトルと中身は一致していないとは言えない。著者が労力をかけて書いたことは想像に難くない。しかし、これは自分が調べたこと(確かに丹念に調べて掘り出された貴重な情報が含まれているのだろうけれど)を単に並べただけでは? 課題レポートとしては、優秀ではあるかもしれない。けれど、著者が自分の書いていることに向ける熱量や「思い」が、私には感じ取ることができない。著者は、何がしたくて、読者に何を伝えたくて、この本を書いたのだろう? 誰のために、誰に向けて書いたのだろう? そして、この原稿を、この出版社はどういう意図で世に送り出したのだろう? 最後まで読んでも、執筆の経緯が書かれた後書きを読んでも、私の疑問は解消しなかった。まさか自費出版とは思えない。では?

 久しぶりに、読んでぐったりとして、虚しさを覚えて、ふつふつと怒りを感じざるを得ない本だった・・・。