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東京仲値とNY Midnight Open

東京仲値
東京仲値というのは、毎日東京時間午前9:55におけるドル円とユーロ円のレートをいう。しかしここでは、いわゆる仲値トレードについて書くのではない。それについてはネットでいくらでも情報が見つかるであろう。「JFX 小林社長 仲値」とでも検索すればよい。仲値はテクニカルとは全く無関係に100%需給で動く。チャートから上がるか下がるか、それはいつかを読み取ることはできない。動き出した方向に迅速に対応するという点では、LEGOサイズを1-2 pipsに設定した練行足を用いるのが有効だ。参考までに。

この記事で指摘したいことは、Bank Zoneとしての東京仲値である。ドル円と、少し精度は落ちるがユーロ円に関して、東京仲値はもっとも有効なBank Zone(レジサポ)として、倫敦・紐育において機能する。この事実は、海外で目下大流行しているBank Zoneトレーダーたちは誰ひとり気付いていない。

仲値のあと倫敦で下げたら紐育で仲値辺りまで戻る。
仲値後に倫敦で上昇すれば紐育は下落して仲値付近まで戻す。
日本時間の夜に発表される経済指標の影響で急騰急落した場合でも
東京仲値のレートで止まることが多い。

国を変え24時間動き続けるマーケットにおいて
ドル円の仲値はだいたい同じ価格帯に落ち着く。

ドル円のレートは、そしてやや小さな規模でユーロ円のレートは、東京仲値を中心に動いている。

毎日の東京仲値のレートは、七十七銀行のサイトで確認することができる。

NY Midnight Open
紐育現地時間午前0時につけた始値をいう。ICT(The Inner Circle Trader)による造語である。インターバンクのメインフレームコンピューターがNY午前0時にリセットされるという”都市伝説”に基づいている。すなわちインターバンクのアルゴは毎日NY午前0時にリセットされるというのである。ちなみに、NY午前0時は、東京時間午後13時(夏時間)、14時(冬時間)にあたる。

NY午前0時の始値(高値でも安値でも終値でもない。0時ちょうどにつけた始値)は、その後オープンする倫敦市場において、特に紐育市場において、一日で最も意識されるレートとして機能するというのが、ICTによるNY Midnight Open戦略である。あるときは、NY Midnight Openを上にブレイクしたかとダマしてそこから反転し下落する。また、あるときは、下にブレイクするかに見せかけて、反転し上昇する。NY Midnight Openがうまく機能する日には、そこがその日のあるいは天井にあるいは大底になるわけだ。この戦略を実践する海外のトレーダーのあいだでは、天底を取る手法として人気がある。NY Midnight Openの値位置で売ることでその日の天井でショートし、買うことでその日の大底でロングすることになるからだ。

東京時間午後13時(夏時間)の始値に水平線を引いて倫敦と紐育における値動きを観察してみるがいい。必ずや驚愕することだろう。

なお、インターバンクのメインフレームコンピューターがリセットされる時間という”都市伝説”に端を発する戦略であるからには、FXにおいてのみ有効であるはずだ。先物やCFDなどで使えるのかは、精確なバックテストデータを蓄積しないことには何も言えない。

NY Midnight Openを使う戦略・手法は数多あまた出回っている。そのなかから、検証によって80%を越す勝率が報告されているものを2つ以下に紹介する。

しかしその前に、ICT手法を用いるためには、独自の用語と概念をいくつか知っておく必要がある。今回の戦略・手法に関連するものに限って、簡単ながら説明しておく。

BOS (Break of Structure)
MSB (Market Structure Break)
いまでも100年以上前のダウ理論でチャート分析している日本のトレーダーには、高値更新と押し安値、安値更新と戻り高値といえばわかりやすかろう。レビヤタン流にいうのであれば、上フラクタルブレイク、下フラクタルブレイクと同じことである。なお、ヒゲでブレイクしてもBOSとみなすのがルール。

CHoCH (Change of Character)
ダウ理論的に言えば、押し安値/戻り高値をブレイクしてトレンド転換すること。「チョック」と読む。レビヤタンで考えるなら、上昇トレンドにおいて上フラクタルをブレイクできずに下フラクタルをブレイクすること。あるいは、下降トレンドにおいて下フラクタルをブレイクできずに上フラクタルをブレイクすること。BOSはヒゲでブレイクでもいいが、CHoCHに関してはヒゲは無効、ローソク足の実体でのブレイクを有効とするのがルール。さらには、高値安値を含むローソク足全体で越えていなければならないとする厳格なルールもある。

FVG (Fair Value Gap)
Change of Characterが起こったときに、上フラクタルあるいは下フラクタルをブレイクしたローソク足を1と数え3本前のローソク足との間に生じたギャップのこと。
Liquidity
大量の買い/売り注文のこと。または大量の買い/売りの予約注文(逆指値・損切り注文)が集まっている場所のこと。

ChoCH(トレンド転換)したら、一度FVGまで戻る(つまりダウ理論で言う押し/戻し)のを待ってエントリーというのが、ICT手法の定石である。戻らなければそのエントリーは見送りとなる。

NY Midnight Open戦略 その1

  1. 前日のNY Midnight Openから当日のNY Midnight Openまでのあいだにつけた高値と安値に水平線を引く。

  2. 倫敦オープンから4時間、紐育オープンから4時間のうちにこの高値あるいは安値をブレイクする。夏時間であれば東京時間の16時から21時と21時から1時。

  3. しかし、そのブレイクはダマシである。Liquidity GrabまたはLiquidity Sweep、いわゆるストップ狩り。

  4. 高値あるいは安値を1時間足でブレイクしたら、5分足に落とす。5分足において勢いがあるローソク足(これまでより大きめのローソク足。ICT用語で「Displacement」)の出現によりCHoCHが起こる。海外で「Engulfing」と呼び習わされるローソク足パターンがその典型と言える。レビヤタンでは「The Big Shadow」と呼んでいる。

  5. 同じく5分足にてFVG(Fair Value Gap)を特定する。

  6. FVGまで価格が戻るのを待ってエントリー。SLは直近フラクタルから少し離した位置。TPは損益比1:2.5。1:2達成でSLを建値に移動しブレイクイーブンにしておく。

  7. なお、1時間足と5分足の代わりに、15分足と1分足でもよい。

  8. 検証によって有効性が確認されているのは、GBPUSD、EURUSDとS&P500。

NY Midnight Open戦略 その2

  1. ICTが「Judas Swing」と命名した戦略。「Judas」は、銀貨30枚でイエスを売り渡した裏切り者ユダのこと。上位足を見ずに1分足だけで完結する。

  2. NY Midnight OpenからNY現地時間8:30(夏なら東京時間21:30)までのあいだにつけた高値と安値に水平線を引く。これがLiquidityラインとなる。

  3. NY現地時間8:30から11:00までのあいだに、1分足で2の高値を上にあるいは安値を下に抜けるダマシ行動が起こる。つまりLiquidity Sweep。

  4. しかし、その後同じく1分足においてCHoCH 、それまでより大きめのローソク足、FVGの形成が見られたら、FVGへの戻りを待ってエントリーする。

  5. SLとTPは「その1」に準じる。

  6. エントリーするのはNY現地時間8:30から11:00までのあいだであること。

なお、Judas Swingは紐育時間用の戦略であるが、これを倫敦市場に応用するには、NY Midnight Openは用いずに亜細亜市場の高値と安値をLiquidityラインと見立てて上記「その2」と同じ要領でトレードする。ただし、この場合は1分足より5分足のほうが優位性があるとの検証結果が出ている。また、損益比においても1:2.5ではなく1:2のほうが勝率が安定するようだ。トレードする時間帯は倫敦オープンから3時間。夏であれば16時から19時。

BOS、CHoCH、FVG、NY Midnight Openなどをチャート上に自動で表示するインジケーターが、Trading Viewにいくつかある。慣れるまではそれらを活用するのもよかろう。その場合日本時間との時差によく注意すること。たとえば、NY Midnight Openのインジケーターとしては

最後に言い添える。ICT Conceptsや広義のSmart Money Concepts (SMC) ではインジケーター類を一切使用しない。移動平均すら見ない。ローソク足の値動き(プライスアクション)のみでトレードする。しかし、私のnoteの読者のなかには、Leviathan SystemやBugsy Methodを使いこなしてトレードしている人がいるであろう。そうであるなら、併用すればいい。ICTエントリーのもうひとつの根拠としてLeviathanをみるでもいいし、Leviathanエントリーの確証にICT手法を使うというのでもいいだろう。

【追記】
ICT本人による「Judas Swing」解説動画

【追記2】
インジケーターに関する問い合わせが多いので、いくつか紹介しておく。身銭を切る前に十分に検証すること。


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