LEGO System 01
LEGO Systemとは、練行チャートを使ったトレーディングシステムである。練行足は「レンガ」とも「ボックス」とも呼ばれるが、練行足がレゴのように積み重ねられていく様から、私は「LEGO」と呼んでいる。
練行チャートは、ある値幅価格が動いたときにだけ足を描き足す非時系列チャートだ。非時系列なので、指定した値幅に相当する値動きがなければ、10分でも30分でも1日でもチャートは止まったまま動かない。逆に、激しい値動きがあった場合は、ほんの一瞬で数個数十個の足(レゴ)が出現する。
海外では根強い人気で、Renkoしかトレードしないプロトレーダーも存在する。我が国発祥の練行足が日本で一般的でないのは、日本のトレーダーが置かれているトレード環境就中テクニカル分析ツールが極めて貧弱であることによる。海外トレーダーの間で一般的なTradeStation、Ninja Trader、Think or Swim、Sierra Chart、cTrader、ProRealTime Chartなどでは、手軽に練行足を使うことができる。一方、日本には練行足を扱えるチャートプラットフォームはひとつもなかった。
MT4とTrading Viewによって日本に住むトレーダーもようやく練行足をみることができるようになった。MT4にしてもTrading Viewにしても海外製だ。練行足を使える日本製のチャートプラットフォームは現時点でなおまだ存在しない。
MT4で練行チャートを使うためには、別途有料のインジケーター(EA)を導入する必要がある。参考までに、私が使っているのは「Renko Live Charts v4.13」というEAだ。OANDAに口座を持っていればMT4で練行足が無料で使えると聞いたが、確認はしていない。
Trading Viewでは、PRO+とPremiumプランで使える。ただし、Trading Viewの練行足には致命的な問題点がある。これについては後に述べる。
IG証券がProRealTime Chartを提供している。ただしIG証券で取引できるのはFXとCFDのみ。海外ブローカだが、AxioryとIC MarketsにcTrader 口座がある。同じくFXとCFDのみ。
先物や個別株を練行チャートでトレードするには、致命的問題点があるTrading Viewを使うしかないのが悲しい現状だ。日本のトレード環境は海外に比べてまだまだ何年何十年も遅れている。
さて、noteではTrading Viewでの練行トレードについてシリーズで投稿する。将来的にMT4用のLEGO Systemを公開することがあるかもしれないが、今の段階では考えていない。
Trading View公式の説明は以下の如し。
Trading Viewの致命的問題点というのは、実は練行足に限定されるのではなく、チャートプラットフォームとしての致命的な欠陥のことである。それは、ティックデータが扱えないということだ。ティックデータが扱えないチャートプラットフォームなどあり得ない。Trading Viewは所詮おもちゃと私が常々言う所以だ。公式説明文にも以下の記述がある。
非時系列であるべき練行足が時間足に縛られるということだ。練行サイズを20 pipsに固定したUSDJPYの練行チャートは、時間軸に関わりなくすべからく同じチャート形状であるのが正しい。しかるに、Trading Viewでは、値幅は20 pipsで共通なのに、15分足、5分足、1分足それぞれチャート形状が変わってしまう。これでは練行チャートの意味がない。
上にも書いたが、大きな値動きがあったときは、数秒で数十の練行足が追加される。この性質ゆえに練行足はスキャルピングや短期トレードに優位性がある。しかるに、Trading Viewでは、最短の1分足チャートに表示させたとしても、1分経過しないと練行足は描画されない。このラインをブレイクしたらエントリーしようと待ち構えていたら、1分後一気に十数個の練行足が描画されとっくにエントリーチャンスを逃していた、などということになりかねない。ストキャスが20でクロスして上を向いたらロングと見守っていたら、1分足確定の瞬間に一気に80を越えていってしまうことも頻繁に起きる。
下図はMT4の練行足。経済指標発表時だが、赤い四角で囲った範囲はそれぞれ1分以内の値動きだ。Trading Viewではこれだけの数の練行足が1分足の終値確定で一度に描画されるということである。
ティックデータがないということは、練行足がリアルタイムで更新されないということである。1分足チャートに表示した練行足は1分足の終値確定で更新されるし、30分足チャートに表示した練行足は30分足の終値が確定するまで更新されない。非時系列チャートが遅延するというのは、致命的欠陥だ。
なお、MT4、cTrader、ProRealTimeの練行足にはこの致命的問題はない。ティックデータがあるからだ。あるのは当然で、それがないくせに大きな顔をしているTrading Viewがおかしいのだ。
すっかり辛口になってしまった。Trading Viewに対する日頃の鬱憤が我知らず噴出した。ずいぶんと否定的なことばかり 書き連ねたので、ここまで読んで練行チャートに対する興味を失してしまった人も多いだろう。しかし、日本のトレーダーはこの不利なトレード環境を甘んじて受け入れ闘ってゆくしかない。そのためにこそLEGO Systemはある。
次回からは実際的、具体的なトレード手法について書く。落ち穂オリジナルのLEGO Systemは、Trading Viewの致命的問題点を十分に踏まえた上でエッジのあるトレード手法として構築されている。
練行チャートは、ある意味において、最も❝聖杯❞に近いシステムであるかもしれない。ある米国人練行足トレーダーはかく言い切った。
❝If you cannot make money trading this method, you should probably quite trading Forex.❞
「練行足で勝てないならFXをやめたほうがいいかもしれない」
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