見出し画像

Volume Profile 出来高プロファイル 実践的トレード手法6

出来高プロファイルとレビヤタンシステム

レビヤタンシステム 第1講」で値動きの原理について書いた。

市場参加者が各自の判断によって買いと売りを決めるとき
カオスが生まれる。新たな状況とそれによる新たな情報と言い換えていい。
新しい情報は、出来高に変化をもたらす。
出来高の変化は、モメンタムのスピードに変化をもたらす。
モメンタムのスピードの変化は、モメンタムに変化をもたらす。
モメンタムの変化は、価格に変化をもたらし、価格は動く。

ἐν ἀρχῇ ἦν ὁ  χάος.  In principio erat chaos. はじめにカオスありき。

カオスが出来高を作り出し、出来高がモメンタム(勢い)をもたらし
モメンタムをエネルギーとして、価格は動く。

ここでいう価格が動くというのは、チャートのY軸つまり縦軸のことを言っている。出来高がなければ値動きはそれ以上は上に行かない。上に行けなければ下がるしかない。下降トレンドにおいては、それ以上は下がらない。ならば上に行くしかない。

出来高が活発な場所(POCやHVN = High Volume Node)においても価格は動かなくなるが、これはX軸(横軸)との関係においてである。この場合ローソク足はX軸に沿って形成される。つまり横這いとなる。

この状況をビル・ウィリアムズは「squat」と名付けた。価格がジャンプするための準備としてしゃがみ込む状態という意味合いだ。

ビル・ウィリアムズは先物取引がメインのトレーダーだった。それゆえ出来高には重きを置く。AOやAlligatorに先駆けて開発したのはMarket Facilitation Index (MFI) というインジケーターであった。MT4に標準搭載されている。MFIを算出するには(高値ー安値)を出来高で割る。MFIの減少にもかかわらず出来高が増加する時これを「squat」と呼ぶ。取引への関心の高まりと買い手と売り手の積極的な攻防を反映している。

MT4 Market Facilitation Index

のちにAwesome Oscillator(AO)を開発したビル・ウィリアムズは、AOがあればMFIは必要ないと使うのを止めてしまうが、squatだけは、相場の重要なターニングポイントを示唆するとして重視した。

このように、ビル・ウィリアムズの相場哲学に基づいて構築されたレビヤタンシステムは、出来高や出来高プロファイルとの相性はもともととても
よいのだ。

出来高プロファイルにおいて「squat」に相当するのはPOCだ。フラクタルブレイクなどを待つときに、POCをブレイクするまでは大きく値は動かないだろうと判断することができる。

デルタ

Trading Viewの出来高プロファイルの最新のアップデートでヒストグラムの表示方法に「デルタ」というのが追加された。これについてはYouTubeやネットで解説している例をまだ見かけない。

デルタとは、買いの出来高(Bid Volume)と売りの出来高(Ask Volume)の差のことだ。つまり、買い圧力と売り圧力どちらが優勢だったのかを知ることができる。FXやCFDにはbid/ask別の出来高データがないためこの機能は使えない。株と先物専用である。以下のチャートは日経225先物の30分足。青いバーは買い圧力、オレンジのバーが売り圧力。

TESLA 30分足

可視範囲出来高プロファイル

「可視範囲出来高プロファイル」というのは残念ながら無料版では使えないのだが、チャートに表示しているローソク足の範囲の出来高プロファイルを描く。「意味がわからん」と言う人が多い。チャートを動かすたびに描かれる出来高プロファイルが変化する。一体何に使うのか、と。実は、サポートやレジスタンスとして機能する水平線を探し出すのに使える。

次のチャートにこれから先意識されるであろう水平線を引くなら、どこに引くだろうか。

ライントレード熟練者なら迷うことなく機能するラインが引けるのだろうが、初心者や経験が浅いトレーダーには容易ではない。この高値あの安値と気付けばチャートがラインだらけになってしまい勝ちだ。勘だとか経験値だとか熟練した職人技だとかセンスだとか、そんなものは一切不要。将来において機能するラインとはすなわち過去において出来高が多かった場所である。上のチャートの範囲に「可視範囲出来高プロファイル」を当ててみると一目瞭然。カオスに秩序がもたらされる。

4時間足にしてみよう。「可視範囲出来高プロファイル」をオンにした状態でチャートを動かしながらPOCのラインがどこに引かれるか探ってみる。少し前にはこのラインが重要な節目であったらしい。

直近ではこのラインが今後意識されそうだ。

POCと重合するピボットやフィボナッチのラインは根拠がより強くなると判断する。

ピボットやフィボナッチに限らず、自分で引いた水平線が機能するかどうか確かめることもできる。POCと重ならないところに引いた水平線は重要な節目として機能しない。ライントレードの練習にも使えるというわけである。まず自分で水平線を引いてから「可視範囲出来高プロファイル」で”答え合わせ”をすればいいのだ。

あれこれ水平線を引いて相場予想や環境認識を配信しているYouTuberたちのアラ探しといった意地悪な使い方はなさらないように。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?