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レビヤタンシステム 補講4

はじめに

ピボットについて書いておく。

ネットやYouTubeなどで基本は学べるであろう。
書籍としては、『しろふくろうのPIVOTトレード術』

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Franklin Ochoa, Secrets of a Pivot Boss: Revealing Proven Methods for Profiting in the Market

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販売終了だが、「デイトレMAX」と「みんなでFX~Rising Sun~」という
ピボット手法を組み込んだ高額有料商材がかつてあった。

前日の日足の(高値+安値+終値)÷ 3 をピボット Pivot Point
または、Central Pivot と呼ぶ。前日の日足というのは
NYクローズをもって完成する日足のことを指している。
日本時間では日付を跨いで正確には当日の午前なのだが
慣例的に「前日の日足」という言い方で呼ぶ。

個別株に関しては、9時から15時に作られる足を日足という。
先物(225および商品)にはナイトセッションがあってややこしい。
ナイトセッション開始が始値でデイセッション(日中立会)終了が終値。
日経225先物の例でいえば、11月18日16:30から19日15:15が日足だ。

これだけでも充分ややこしいが、週末を挟むとさらに複雑になる。
14日が月曜日としよう。14日月曜日の「日足」の始値は
11日金曜日16:30の始値のことを指す。市場が閉まっている土日を
挟んで日足が形成されるというわけである。まとめると
月曜日の日足は、11日(金)16:30に始まり14日(月)15:15に終わる。

週足も同様に考える。14日(月)で始まる週の「週足」は
11日(金)16:30に始まり18日(金)15:15に終わる。

ピボットでは終値を重視する。その終値とはその商品が取引される
市場のクローズ時に完成するローソク足の終値でなければならない。
つまり、米国株であればNYオープンからNYクローズまで。
NYダウであれば、ナイトセッション開始から翌日のNYクローズまで。
DAX(ドイツ株価指数)なら、ナイトセッション開始から欧州クローズ。
しかし、ダウやDAXでも先物ではなくCFDの場合は、FXと同様に
オセアニア市場のオープンからニューヨーク市場のクロースまでが日足。
FXとCFD(ゴールドなど)のみトレードするのであれば、単純に明快に
MT4の日足をもとにピボットを算出すればそれでよい。

さらにこのピボットをもとにレジスタンスとサポートを算出する。
その計算式(formula)には幾種類かがある。主流は以下の3種。

1. Floor Pivot 

Floor というのは、証券取引所の立会所を指す。
証券取引が電子化される前の時代は、生身の人間が
ひとつ場所に集まって、株や先物の売値と買値を
大声で叫んだり、手や指で合図して、っていたのだった。
古い映画などで観たことがあるだろう。

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立会所のフロアに入る資格を持つプロのトレーダーがfloor traders。
Floor tradersが使うpivotだから「Floor Pivot」と言う。
考案者 J. Welles Wilder Jr. の名を冠して「Wilder Pivot」ということもある。
計算式は

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2. Fibonacci Pivot Points

Pivotの計算式は上に同じ。
レジスタンスとサポートの算出にフィボナッチ数を用いる。

Resistance 1 (R1) = Pivot + (0.382 x (High - Low))
Resistance 2 (R2) = Pivot + (0.618 x (High - Low))
Resistance 3 (R3) = Pivot + (1 x (High - Low))

Support 1 (S1) = Pivot - (0.382 x (High - Low))
Support 2 (S2) = Pivot - (0.618 x (High - Low))
Support 3 (S3) = Pivot - (1 x (High - Low))

3. Camarilla Pivot Points

計算式は下図の通り。RANGE = High - Low

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Floor Pivotは、株や先物で一般的で、FXにおいては
FibonacciやCamarillaがより用いられる傾向が見受けられる。

3種類のピボットを計算するExcelを作ったのでご利用いただきたい。
水色の欄に前日日足の「高値」「安値」「終値」を入力すれば
あとは自動で計算する。

Top Central(TC)とBottom Central(BC)

通常のFloor Pivotには、TC(Top Central)、BC (Bottom Central)はない。
これはFranklin Ochoaの考案によるものだ。

中央に位置するピボットを帯(ゾーン)として捉え、そのゾーンの幅や
前日のゾーンより上にあるか下にあるかなどで当日の値動きを判断する。
実際にトレードに活かすには以下の要点で事足りるであろう。

ピボットゾーン(TCからBCのゾーン)の幅

1.ピボットゾーンの幅が広いときは、その日はレンジになりやすい。
  TCをレンジの上限、BCをレンジの下限として横ばいになる場合も
  少なくない。
2.ピボットゾーンが狭いときは、トレンドが出る確率が高い。

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前日のピボットゾーンとの位置関係

1.Higher Value
前日より当日が上に位置するときは、買い目線。

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2.Overlapping Higher Value
一部重なりながらも当日のTCが上にあるときは、やや買い目線。
3.Lower Value
前日より当日が下のときは、売り目線。

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4.Overlapping Lower Value
一部重なりつつ当日のBCが下のときは、やや売り目線。
5.Unchanged Value
前日と当日ほぼ同じ位置のときは、保ち合い・レンジの可能性大。
6.Outside Value
前日のゾーンが当日のゾーンに完全に包み込まれているときは
保ち合い・レンジの傾向が強いだろう。

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7.Inside Value
前日のゾーンが当日のゾーンを完全に包み込むときは
ブレイクした方向にトレンドが出やすい。

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ピボットゾーンをMT4に表示するインジケーターを用意した。

1時間足チャートに適用して、当日の環境認識にご活用いただきたい。
Trading Viewの場合は、Expanded Floor Pivots を使用するとよい。

レビヤタンシステムとピボット

レビヤタンシステムは動き出したらその方向にトレードする手法だ。
当然ながら、動き出すまでは何もすることがない。
動意づいてもいないのに、迂闊に手出しばかりしていては
小さな損切りを重ねる羽目になる。山は動かぬにくはない。
動くのを待つということは、動き出すときを狙うということでもある。
その手段のひとつとして、市場オープンの時間帯戦略をすでに紹介した。
実は、ピボットもまた動き出すときを狙う手段のひとつなのである。

市場参加者の多くが、ピボットを意識している。
R3に達したら利確しよう。
S1まで逆行したら損切ろう。
R2で上げ止まるとみて逆張りでショートしよう。
S2をブレイクするなら売ってみよう・・・などなど。

市場参加者の意識が変わるところ、市場参加者の感情が動くところ
そこにカオス(新たな情報)が生じ、フラクタル(行動の変化)が起きる。
モメンタムが増加し、ブレイクアウトとなって現れる。

ピボットおよびRライン、Sライン付近は、レビヤタンシステムでの
絶好のトレードチャンスになる可能性がとても大きいということである。
ピボット、Rライン、Sラインに価格が達したら、レビヤタンシステムの
エントリールールに照らして、条件が合えば仕掛けるということだ。

できるだけチャートに張り付いていたくないトレーダーは
ロンドンオープンとニューヨークオープンの時間帯に加えて
ピボットおよびRライン・Sライン近辺でだけトレードすればいいだろう。

なお、以下の記事で具体的なトレードアイデアをひとつ紹介している。

Camarilla Pivot手法

Camarilla Pivot手法について簡単に書いておく。

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価格がH3とL3の間を推移している場合
価格がH3まで上昇したら、そこから逆張りショート目線で観察する。
価格がL3まで下落したら、そこから逆張りロングの目線で観察する。

価格がH3より上を推移している場合
H4を上方向にブレイクすれば、H5を利確目標にロングでついていく。

価格がL3より下を推移している場合
L4を下方向にブレイクしたら、L5を利確目標にショートでついていく。

もちろんいずれの場合においても、レビヤタンシステムの
エントリールールが揃うことが前提であることを忘れないように。

キリ番 Round Numbers

ピボットと合わせて、多くのトレーダーが意識するラインがキリ番だ。
キリのいい価格をいう。例えば、ドル円であれば

113.000
113.300 (113.200)
113.500
113.800
114.000
114.300 (114.200)

円が絡まない通貨ペアであれば

1.34000
1.34300 (1.34200)
1.34500
1.34800
1.35000
1.35300 (1.35200)

特に、800と300 (または200)はよく意識される傾向にある。
200や300をすんなりブレイクしたら800まで上昇する場面も多い。
逆の下落の場合も同様である。

ピボットの各ラインやキリ番近辺には利確や損切りの予約注文が
大量に集まっていると考えておく。よって、そこでいったんは値が止まる。
あるいは、そこで反転する場面もとてもよく目にするであろう。
その近辺でストップ刈りに巻き込まれる危険も看過できない。

ピボットとキリ番をTPやSLに積極的に利用するという方法のほかに
エントリーのフィルターとして消極的に利用する方法も身につけたい。
具体的には、損益比1:1以内にピボットやキリ番があるときは
エントリーを見合わせるということを言っている。

なお、先物であれCFDであれ株価指数をトレードするときには
ピボットとキリ番にさらに加えてオプション権利行使価格が
重要な参考になる。これに関しては各自必要に応じてネットで
学習していただこう。それが何であるかさえ知ってしまえば
トレードにおける使い方はキリ番と変わるところはない。

日経225先物をいま例にとると、ラージのオプション権利行使価格は250円刻み、ミニは125円刻みとなっている。これを踏まえて、250円ごとに引いたラインをピボットのR・Sのライン、125円ごとのラインをミッドピボットのように理解すればいいだろう。

【追記】

  • 日足の(高値+安値+終値)÷ 3 で算出されるのが日のピボット(Daily Pivot)なら、週足を基に算出したものを週のピボット(Weekly Pivot)、月足なら月のピボット(Monthly Pivot)ということだ。日のピボットはデイトレで使う。週と月のピボットはスイングトレードで用いる。

  • 同じ考え方で、1時間足の(高値+安値+終値)÷ 3 で1時間のピボット(Hourly Pivot)を導き出すことができる。1分足などのスキャルピングに効果的だ。

  • ピボットの各ラインと他の根拠が重合するゾーンは格別の注目に値する。他の根拠というのは、
    ・ワニの各線
    ・フィボナッチ(ファンとチャネルを含む)
    ・キリ番
    ・前日およびそれ以前の高値と安値
    ・出来高プロファイルのPOC
    ・有効と信じるに足る水平線やトレンドライン
    などである。

  • ロンドン時間帯において、前日のロンドン時間につけた高値と安値がピボットのいずれかのラインと重合する場合、そこで価格が反転する確率がとても高い。

  • NY時間帯において、前日のNY時間につけた高値と安値がピボットのいずれかのラインと重合する場合、そこで価格が反転する確率がとても高い。

  • ピボット各ラインで値が止まりそうか、反転するのかなどの判断の一助にストキャスティクスが有効。

●「FX羅針盤」というサイトでピボット到達確率が毎日更新されている。


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