断酒を決意したきっかけは、精神科クリニックの女性医師の一言だった。

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2020年9月10日に断酒を決意、11日より断酒を開始しました。そこに至るまでは、自分自身が予想だにしなかった人生の展開がありました。その流れの中、とても苦しい思いをしました。

そのすべて出来事において影響していたのが「飲酒」でした。今になってみれば、シンプルで納得できる話だけど、無我夢中の時は、さっぱりわからなかった。

そして、ココロとカラダの不調の暗中模索に決着をつけたのが、いくつもの通った医療施設の中で最期の場所となる「精神科クリニック」の女性医師の発した診断の一言でした。

自分の今後の人生にとっても、そして、お酒に悩んでいるかもしれない、あなたにとっても役に立てばと思い、許されるギリギリの範囲まで本当のお話をさせていただきます。

2020年5月末頃から、体調がすぐれず、悩んでいました。

私が今まで最も長く務めた会社は、食品のマーケティングコンサルティングを得意とした広告代理店でした。

そして、自営業として、一番長く本業としたのが、5年間経営した音楽DJバーでした。そのバーが経営不振で閉店した後は、いつも本業、副業の区別がつかないような複数の仕事をしてきました。

様々な変遷を経て、2017年夏から1年半ほど、東北・山形で仕事をし、2018年末に東京に戻ってきました。

その後、昨年2019年秋にインターネットのコンテンツマーケティングの仕事をはじめました。はじめた当初、すぐに売り上げを上げたのですが、ビギナーズラッキーなのか、その後なかなかうまくゆかず、収益も半年以上入ってこなくなりました。

そのために、翌年2020年の3月頃からは、昼は他の請負の仕事で穴埋めし、夜にパソコンでの作業をするようになりました。

そして、次第に酒量が増えてゆきました。

昼仕事する、疲れる。帰宅して、仕事する。
疲れる。
疲れを紛らわすために、酒を飲む。
疲れる。
翌日朝、更に疲れる。
疲れたまま、外へ仕事へ行く。
より更に疲れる。
帰宅して、仕事する。
疲れすぎているので、酒飲みながら、仕事する。
更に更に疲れがたまり、仕事もはかどらない。
ビジネスをはじめた当初予定していた
売り上げがさっぱり上がらない。
焦る。
作業する。
疲れる。
酒を飲む。
はかどらない、売れない。
酔っぱらう。
眠り込む。


精神と肉体とお金の負のループが回り、
いつしか、私は、
おそらくですが、
幽体離脱のような状態で
何とか生きていたのだと思います。

酒と、仕事と、疲れの悪循環でした。

そうこうするうちにち、
5月の半ば頃から、
如実にカラダに変化が現れました。

ある朝、目が覚めると、
一気に老眼(遠視)が進み、
スマホの文字を読むには、目から1メートル離さないと
見えないほどになっていました。

そして、目の周りに隈ができはじめ、
顔全体が赤みを帯び、
後にどす黒く変色。
眼全体が黄色くなり、
瞳は青みがかって、ゾンビを思わせる。
顔の筋肉が緩み、頬の肉が垂れてくる。

こころは憂鬱になり、一日に一片の笑いもでなくなる。
昨年から続く耳鳴りが大音量になり、
倦怠感を帯びた動悸と息切れがし、
手の痺れと震えが止まらない。
字がまともに書けなくなる。
普通に歩いていても、フラついてしまう。

知らぬ間のストーカー行為へ

一方で私は、知らぬ間に
不可思議な行動に出ていました。
とは言っても、本人が全く知らないうちに、
あるいは、行動したその後、
すっかり忘れてしまっていた。

酒に酔った真夜中には、
わけのわからない妄想に浸り、
親しい友人だった女性と、
とても信頼関係の厚かった男性の友人に
真夜中に、LINE攻撃と、
電話攻撃をしかけていたらしいのです。

らしい、というのも、
自分自身全く自覚がなく、
朝方、自分の携帯の発信履歴を見て
首を傾げていたのでした。

そして、そのうち、
親しかった女性には、電話、LINEも無視、着信拒否、
つまり、絶縁されてしまいました。

その後、
ある日のお昼前、男性の友人から、
最後通告のような抗議のLINEメールが届きました。

細かに文面を読むと、私は全く知らないうちに、
真夜中に何度も、
彼の携帯電話に留守電の音声を残していたらしい。
それも、とんでもないひどい言葉で。

彼の怒りは、メールの文面ですぐにわかるほど、尋常ではなかった。
そもそも温厚で人当たりのいい人物であった彼が送ってきた抗議のメール文には、普段の彼からは全く考えられない、怒気を含んだ荒い呼吸が、選ばれた文字の中から、手に取るように感じられた。

内容からすると、温厚な彼の我慢が限界に達した大きな要因は、
私が彼に対して、詐欺師・ペテン師呼ばわりし、
そして友人関係を止めてやる、
と宣言を残したということだった。

そして情けないことに、
私はその留守電に関して、ひとかけも覚えていないのだ。

「これ以上、私たちに、絶対に連絡をよこさないでください。
 何かしらの連絡の行動を起こしたら、
 留守電に残された音声を証拠に、
 友人の弁護士を通じて、法的措置を辞しません」

およそこのように書かれた
彼のメール文は、相当に熟考されて戦略的に書かれたものと
今となっては想像できる。

ここまでの攻撃的な手段で攻撃しないと、
私、というモンスターは、ストーカー行為を止める決意を得ることができない、と。

文面を読み終えた私は、愕然とし、
自分自身が怖く、信じられなくなってしまいました。
そして、すぐさま、彼の電話番号、メアド等連絡先を一切、
私の端末から抹消したのでした。

女性は、かつて私の恋人でした。
そして、私と彼女と、彼は、3人でとても仲良しでした。

なのに、私は、
彼、彼女二人組の「共通の敵」になってしまい、
絶縁されてしまったのでした。

6月初旬から、私が行ったストーカー行為、
真夜中のLINE、電話からはじまって、
男性への留守電攻撃、その経緯が約2か月半の間に渡って、
行われていたのでした。

8月の初旬に男性からのメールを受信するまで、
私は、私自身が行っていたストーカー行為に関しては、
全く感知していなかったのです。

自律神経失調症からはじまる、診察の旅

夜中に、二人の友人にストーカー行為を知らぬ間に行いながら、
昼の意識のある時間帯は、
私は、手の震えや痺れ、倦怠感、不安感に苛まれていました。

それらをいやすための治療の方法を
ネットで調べに調べ抜き、
素人の想像で、様々な治療に出かけました。

最初が、自律神経失調症と判断し、
その治療な得意な整体院に行き、
複数回治療してもらいました。

治療後は、血行が良くなり、
ゾンビのように土けた顔も、
ちょっとはまともになりましたが、
決定的に回復しません。

バセドウ病からうつ病へ

そうこうしているうちに、
自分のどす黒くなってきた顔と、
やや出っ張っているような眼球が気になり、
バセドウ病ではないか、と勘繰り、
甲状腺の治療が得意な内科クリニックに行き、
検査してもらいました。
しかし、結果は、
バセドウ病ではありませんでした。

されど、日々、ひどくなってゆく倦怠感、
不安感をどうすることもできず、
更にネットで調べて、
最後は「うつ病」ではないか、と考え、
最期の手段として、
精神科のクリニックに行ってみました。

そこでは、女性カウンセラーから
30分以上のカウンセリングをしっかりと受け、
仕事のこと、酒のこと、
自分が知らぬうちに行ったストーカー行為、
うつ病ではないか、と自分が思われる
倦怠感、不安感などの心的な症状、
そして、
手の痺れ、震え、歩行時のよろめき、
など、ありとあらゆる事象を吐き出しました。

精神科の診察室へ

そして、その後、
診察室に呼ばれました。

そこにいたのは、
私の想定を遥かに超えた
若く美しい女性の精神科医でした。

凛とした面持ちで椅子に座り、
私を待ち構えていました。

彼女は、最初から、
とても強い語調と視線で、
私に語りかけました。

「精神科としての診断の結論です。
 はっきりと申し上げます。
 あなたの今の症状のすべての原因は、
 お酒、
 にあります」

女性医師は、うつ、うつ病、とも何ともいいませんでした。
「酒が原因である」
以外は。

女性医師は、つづけた。

「あなたは、夜中に電話をかけたことも忘れてますが、
 あなたは、自分自分の自覚以上に、
 お酒を飲み過ぎていた、と考えられます」


「飲み過ぎて、自覚を無くし、
 そのショックで更にお酒の量が増えたのではないか、
 と、思われます。
 そのうちに肝臓が壊れはじめ、
 その症状が、手の痺れや、震え、ふらつきとして出ている、
 と考えられます」

聞くに、私が「自分はうつ病では?」と思っていた
手の痺れ、震え、歩行時のふらつき、
心的症状としての倦怠感、不安感は、
肝臓の方から来ているらしいとのこと。

そういえば、今迄うけた血液検査の中で、
γ-GTPは、非常に悪かったし、
最近、受けた甲状腺内科での数値も200以上出ていた。

女性医師は、最後に強く付け加えた。

「お酒は法律で、きちんと定められ、
 あなたはに飲める権利がありますので、
 止めろ、とは言えません。
 ただし、
 もし、止めなければ、
 とんでもないことが起きる可能性が大きい、
 ということは、言わざるを得ません」

結局、女性医師が出した診断は、

「酒の飲みすぎ」

その一言に尽きた。

精神に関する薬は必要ないので出さないが、
手の痺れを抑える薬は処方できるとのことだった。
そして、内科に行き、
より詳しく診察してもらうようアドバイスを受けた。

私は一言、最後に質問した。

「ともあれ、
 酒を止めれば、良くなる、
 ってことですよね」

女性医師は、相変わらず妙に強い視線で頷いた。

私は、

「わかりました。
 期限を決めて、酒、止めます。
 ありがとうございました。」


と言い、処方箋を断り、
診察室を後にした。

心持は、軽くなっていた。
肝臓が壊れているのかもしれない。
けれど、うつ病ではなく、
すべての原因は、飲酒にあった。

酒を止めれば、大きな解決策となる。
今やるべきゴールは明確になった。

支払いを終えて、クリニックを後にした私は、
今日、行くべき場所を考えていた。

そして何処へ行く、オレは

すでに、スケジュールは決めていた。

断酒は、明日から。
そして、今日が飲酒生活の最終日。

最期の酒は、あそこで飲もう。

そう決めて、永福町の駅へ向かった。

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