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経営における矛盾を両立するパラダイム 戦略編

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「意識のマネジメント」に着目をして、変化に適応して矛盾を両立する経営やリーダーシップのあり方を論考するマガジンです。経営リーダー、管理職の方はもちろんのこと、管理職ではない方にと… もっと読む
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記事一覧

なぜ、いい戦略を学んでもいい戦略をつくれないのか?

みなさんは「いい戦略とは何ですか?」と問われたらどのように答えますか? ヴィジョンの実現につながる戦略、競合に対して勝てる戦略、儲かる戦略など、いろいろな答えが思い浮かびます。 また、「あなたは、いい戦略をつくるために何を意識していますか?」と問われたらどうでしょうか? なかなか答えるのが難しいかもしれませんね。 戦略とは何か、いい戦略をどのようにつくればいいか、についての書籍はたくさんあります。これらの書籍を読んで学んだことがある方もいらっしゃるでしょう。しかし、自

いい戦略とは何か?

前回の記事では、いい戦略を理解することと、いい戦略をつくることにはギャップがあることと、そのギャップを乗り越えるためには、戦略をつくるときの意識を意識化することが大切であることをお伝えしました。 今回の記事では、戦略をつくるときの意識の意識化の一歩手前として、その前提となる「いい戦略」について考えたいと思います。 戦略の中でも、ここからは経営における「競争戦略」という領域に絞ってお話ししたいと思います。戦略という概念は、競争戦略以外にも、マーケティング戦略、財務戦略、キャ

戦略ストーリーづくりの「始まり」は何か?

前回の記事では、「いい戦略とはなにか?」についてお話しました。いい戦略はストーリーであるということ、その中でも経営における競争戦略は、違いを作ってつなげていくストーリーであることを述べました。 一方で、これだけでは、まだマクロ的・結果的・積分的であり、戦略を作れるようになるためには、よりミクロ的・原因的・微分的な体内感覚を明らかにする必要があります。「戦略ストーリーをどのように生み出していけばいいのか」についてまだ答えられていないからです。 今回の記事では、戦略ストーリー

戦略ストーリーをつくるストーリーとは何か?

前回の記事では、いい戦略をつくる出発点は、主体的真理とのつながりから湧き出る内なるエネルギーであることをお話ししました。 ここからの記事では、戦略ストーリーをどのようにつくりあげていけばいいのかについて、戦略ストーリーをつくるストーリー(メタストーリー)と呼べるものをテーマとしたいと思います。このメタストーリーの出発点が、主体的真理とのつながりであることは前回の記事でお伝えしました。 今回の記事では、主体的真理から始まる戦略ストーリーを生み出すステップの全体像についてお話

仲間と顧客はどのように集まるか?

前回の記事では、戦略ストーリーを生み出すストーリー(メタストーリー)の全体像についてお話ししました。前回のnoteでご紹介した「いい戦略」をつくる5つのステップの図を再掲します。 前回は「①主体的真理(ありたい姿)とのつながり」まで説明しました。今回は②~④のステップを取り上げます。 ②エコシステムの出現・発展 純度の高い意識・エネルギーに共鳴するエコシステム(≒ 人同士のつながり)が出現し、発展していく ③仲間の出現・強化 純度の高い意識・エネルギーを具現化する仲間・

戦略ストーリーに一貫性を持たせるには?

前回の記事では、戦略ストーリーを生み出すために、エコシステム的なつながりに目を向けて仲間と顧客を集めていくということをお話ししました。また、仲間や顧客になるような共感ベースのつながりの根底には、みなさんが発する主体的真理への強い共鳴があるということをお伝えしました。 今回は、仲間や顧客とのつながりをもとに、価値を創造するプロセスについてお話しします。まずは、戦略ストーリーの5つの進化ステップをおさらいしましょう。 前回までは②~④、つまりエコシステムから仲間と顧客が集まる

戦略コンセプトはどのように生み出されるのか?

前回の記事では、戦略ストーリーに一貫性をもたらすにはコンセプトが必要であり、コンセプトは自分たちは何者かというアイデンティティと、顧客にどのような価値を提供するかというコアバリューから構成されるという話をしました。 今回の記事では、コンセプトはどのように生み出されるのかを考えたいと思います。 ヴィジョンとコンセプトは表裏一体のものまず、コンセプトとヴィジョンの関係について考えたいと思います。ヴィジョンとコンセプトは表裏一体のものであり、切っても切り離せないものになるからで

戦略ストーリーはどのように進化するのか?

前回の記事では、戦略ストーリーに一貫性をもたらすコンセプトが、どのように生み出されるのかについてお話ししました。 戦略ストーリーにおいて新しい価値要素が創造される起点は、コンセプトが意識されることにあります。そして、そのコンセプトをもとに新しい価値要素が生み出されるためには、何段階かのプロセスを踏むことになります。今回はこのプロセスについて説明していきます。 戦略ストーリー進化のステップと、価値創造プロセスの位置付けまずは、戦略ストーリーをつくることの全体像を確認するため

戦略ストーリー構築において、直感をどのように使えばよいのか?

前回の記事では、価値創造プロセスの全体像と、その始まりのプロセスとなる「直感活用」についてお話ししました。 ①戦略ストーリーの直感: ヴィジョンの実現に向けた戦略ストーリーに繋がるひらめきをメタ意識/直感意識で捉える 価値創造プロセスの全体像は、こちらです。 戦略ストーリー構想には直感活用が大切これらの6つのプロセスについてご理解いただくために、各プロセスの概要をご説明するだけではなく、具体事例をご紹介するようにしたいと思います。 「戦略ストーリーの直感」の具体事例と

顧客にとっての現実を知るとはどういうことか?

前回の記事では、価値創造プロセスの一つ目となる「戦略ストーリーの直感」について、事例を用いながら具体的にお話ししました。今回は、価値創造プロセスの二つ目となる「エスノグラフィー」についてお話しします。 価値創造プロセスの全体像はこちらとなります。 固有名詞のN=1の顧客にとっての現実を感じきる②エスノグラフィー: 直感した戦略ストーリーに対する現実を、直接経験として捉える エスノグラフィーとは、もともと文化人類学や社会学において使用されるフィールドワークの調査手法のこと

戦略における「面白い」要素をどのように着想すればよいのか?

前回の記事では、価値創造プロセスの二つ目となる「エスノグラフィー」についてお話ししました。今回は、価値創造プロセスの三つ目となる「戦略ストーリー要素の導出」についてお話しします。 価値創造プロセスの全体像はこちらとなります。 アブダクションプロセスによって、直感を形にする③戦略ストーリー要素の導出: 戦略ストーリーにつながる新しい要素を、アブダクションプロセスにより導出する ここまでの「戦略ストーリーの直感」や「エスノグラフィー」は、直感する・感じるという感覚的・非言語

「面白い」発想を、顧客価値につなげるためにはどうすればよいのか?

前回の記事では、価値創造プロセスの三つ目となる「戦略ストーリー要素の導出」についてお話ししました。今回は、四つ目のプロセスとなる「連結化・ストーリー化」についてお話しします。 価値創造プロセスの全体像はこちらとなります。 新しい価値を、戦略ストーリー全体と連結する④連結化・ストーリー化: 戦略ストーリー要素同士の価値の連鎖を連結し、発展ストーリーを描く 新しい価値が発想できたら、それまでの戦略ストーリー全体と連結させます。ここでは、コンセプトに対する一貫性の確認、交互効

「面白い」発想を、顧客価値につなげるためにはどうすればよいのか?②

前回の記事では、価値創造プロセスの四つ目となる「連結化・ストーリー化」についてお話しました。今回は、引き続きこのテーマについて具体事例を用いて咀嚼していきたいと思います。 価値創造プロセスの全体像はこちらとなります。 それはコンセプトにつながるか?「連結化・ストーリー化」の事例として、以前の記事でもご紹介しましたが、5年ほど前の当社における大企業向け研修事業の戦略を取り上げたいと思います。 5年ほど前までは、対面型の社員育成サービスを前提としていましたが、育成成果にこだ

戦略ストーリーを協働創造するためには、どうすれば良いのか?

前回の記事では、価値創造プロセスの四つ目となる「連結化・ストーリー化」について具体的な事例をもとにお話しました。今回は、価値創造プロセスの最後のプロセスである「戦略の創発」についてお話ししたいと思います。 価値創造プロセスの全体像はこちらとなります。 戦略の創発のプロセスの前に、戦略の決断というプロセスがありますが、決断については別の記事にて扱いますので、ここでは割愛します。 いい戦略は、いい協働プロセスから生まれるこれまでお話ししてきた①~⑤のプロセスは、基本的には個