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犠牲と協力

第4回公認心理師試験に合格したので、かなり協力してくれた家族に感謝の意味を込めて、ささやかな宴を催しました。

思えば、昨年12月、暮れも押し迫ったある日、自分に受験資格があると知り、現任者講習会のリザーブ枠に申し込みました。オンライン講習会の案内が来たのが12月23日。すぐに聴講を始めました。

12月31日までに、30時間の講習を視聴し終えないといけないことに加えて、レポートを提出することを求められました。しかも、レポートが合格基準に達していなければ、再提出を命じられます。

仕事がある日は朝4:30起きで1コマ視聴し、帰宅後に1コマ視聴、休みの日は、朝から晩まで、食事とトイレ以外はPCの前。座ると眠くなるから、ずっと立ちっぱなしで10時間以上視聴しました。

オンライン講習会の動画は、再生と一時停止以外の機能が使えず、なりすまし受講防止のため、ランダムに提示される数字と自分の顔を同じ画面で写真撮影する決まりになっていました。巻き戻しも早送りもできないため、見逃すと、また最初から見直さないといけません。

ある日、講習会動画を視聴していると、娘がやってきて、「お父さん、今、いい?」と言ってきました。僕はPC画面を見つめたまま、「ごめん、今無理。」とそっけなく言いました。「オッケー」娘は明るくそう言って、その場を離れました。

あとで妻に聞くと、娘はその直後、声を押し殺して泣いたそうです。僕と遊びたかったのか、僕に何か見せたいものがあったのか、それは定かではありません。とにかく、娘の望みは、僕のそっけない言葉により、冷淡に突き返されたのでした。

ただ、娘が、なぜ声を押し殺して泣いたのかは何となく分かりました。

娘は、声を上げて泣けば、僕が心配して様子を見に来ると思ったのでしょう。「お父さんは、今、大事な勉強をしているんだから、邪魔をしてはいけない。」そう思ったから、声を押し殺して泣いたのだと思います。

娘の思いやりと、深い愛を感じた僕は、胸が痛くなりその夜、僕も声を押し殺して泣きました。

妻も、色々と助けてくれました。

オンライン講習会の間、PC画面から目を離さずに食事ができるように、サンドイッチを作ってくれたり、眠気覚ましにBLACK BLACKガムを買ってきてくれたりしました。

そんな家族の協力のおかげで、何とか12月29日にレポートを提出することができました。

もしも合格基準に達していなければ、書き直して再提出しなければなりません。そうなれば、大晦日までの残された時間が、不眠不休になることは間違いありませんでした。

ヤキモキすること1日、「レポートが合格基準に達していると判定しました。現任者講習会修了書発行手続きに移ります。」とのメールが…。

安心したのか、そのメールを確認した直後から、10時間以上眠りました。

現任者講習会修了後、本格的な受験勉強が始まります。

コロナコロナで、学校行事はつぶれ、空手行事はつぶれ、家族旅行にも行けず、でしたが、それを理由に、仕事が休みの日でも、家族とろくに接することもなく、参考書を読み耽る日々。

家族との時間を、かなり犠牲にしたと思います。

しかし、その犠牲と、なにより家族の協力があったおかげで、合格できたのは間違いありません。

きっと、この1年は、上へ上へ枝葉を伸ばすのではなく、下へ下へ根を張る時間だったのでしょう。

僕は、すべてに…コロナに対してでさえ、感謝すべきなのかも知れません。

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