けもフレよ神話になれ ~7周年おめでとう~

前回の記事

ではアニマルガールが信仰を受け入れるための前提条件等について考察した。しかし、この記事を書いてから、ある欠陥に気が付いた。

どうやら「信仰を受け入れる」には2種類あるようだ。

1. 信仰や神話を事実として受け入れる

2. 信仰や神話を肌で感じるようになる

前回の記事で考えていたのは1. の場合だ。これは、子どもに聖書の話をするように、単に出来事を教えるというだけの話である。これは、他の知識、教科書や歴史などに置き換えても全く同じことが言える。この段階では、神の存在を感じるということはない。

むしろ重要なのは2. の場合である。これは言葉で説明するのは難しいが、ある瞬間に「神の存在を感じる」ような状況で、"回心"と呼ぶこともある。この状態になると、今までの自分の価値観を捨て去り、信仰のための生活をするようになるなど精神に劇的な変化が生じる。

この現象がなぜ起こるのか、どういう状況で起こるのか、心の中でどういったメカニズムが働くのか、といったことは全くと言っていいほどわかっていない。これは全く神秘的体験であり、例えるなら霊感や奇跡のメカニズムを調べるようなものでまともな研究ができない。

これについて私が調べた限りでは、このような論文を見つけた:

https://www.jstage.jst.go.jp/article/uekusad/3/0/3_KJ00008523119/_article/-char/ja/

この論文中では、「神を感じる」体験は「感受性が高いから起きる」と書かれていた。しかし、そもそも「神的なものに対する感受性」とは何なのかについては一切書かれておらず、この領域の研究の難しさが伝わってきた。

けものフレンズと神話の似ているところ

考えてみれば、けものフレンズというものは神話に構造が良く似ている。異界の地「ジャパリパーク」に、超自然存在であるアニマルガールが暮らしている。彼女たちは魔術的な力(けものプラズム)によって魔物(セルリアン)を倒す。彼女たちはそれぞれが動物の象徴でもある(トーテムのようなものか)。人間には到底及ばない力と道徳を持ち、一度は死んでも必ず復活する。1つの話で完結しておらず、複数の物語によって構成されている。つまり、終わりが無い。

これに似た構造を持つコンテンツは他にもある。東方プロジェクトや艦隊これくしょんは、異界の地、超自然存在、魔術的な力、魔物を倒す、超人的な力、終わりが無いといった点で似ている。一方、けものフレンズにしかない特徴もある。「ある動物の象徴である」という点。一般的な神話というものも、登場する神は自然物や動物の象徴であることが多い。艦隊これくしょんに登場する艦娘は艦船の象徴であるが、これは人工物だという点で異なる。

冒頭で回心について述べた理由は、私がけものフレンズに対して抱いた気持ちがまさに回心だったからである。私はもともと動物好きでもあったが、けものフレンズには何か神聖なものを感じた。よくわからないが、けものフレンズには神話に似て、人を回心させるような力がある気がする。むろん、そういったものを感じない人もいるので結局よくわからない(?)。

けものフレンズというコンテンツも、色々なことに挑戦している。基本的に、現代において永遠に続くコンテンツなど存在しない。しかし、神話や宗教といったものは、千年以上も人々に愛され続けている。けものフレンズも、そういう存在になってほしいと思っている。




オチが弱い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?