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今週の才能

結構普通だったりするかもしれない話をする。

僕は、自分に何かの才能があるんじゃないかと思い続けている。
作家になりたいと思った時もそうだし、小学生では将棋、ラグビーもそうだし、中学生では歌、高校ではギターに麻雀、大学ではデザインと相場と人に言えないやつ。

ことごとく、全て長続きしなかった。
なんらかの能力で有名になるような人、何かをなす人に共通のとある才能がある。

そう、続ける才能だ。

何かをやり続ける才能。
自分に才能がある/ないに関わらず、同じことを飽きずに繰り返す才能。

決定的に自分にはなくて、あるいは興味がなくて、好きなものがすぐに変わってしまう。

手を伸ばせば届きそうな勝利/名声/お金があったとしても、もっと好きなものが出てきて途端に投げ捨ててしまう。

それでも、何か自分自身に秘められた、ずっと続けられる才能があるんじゃないか?という期待があり、それに賭けていろんなことに挑戦してみるのだ。

今回はそれが、ストリートファイターだった。

昔からラジオパーソナリティとしてのウメハラが好きで、彼が話す昔話が好きだった。
学校で、クラスのみんなが話す流行りの曲やテレビが好きな話が嘘っぽくて、そんな中で行くゲームセンターが彼の居場所になった話。
当時の秋葉原のゲームセンターじゃ、本音以外を言えば白けるような場所。胸がスカッとするようなやり取りだけがあったという。
なんとなくその感じはわかって、わざわざ言葉を喋らずに、ゲームを介して繋がり、優劣をぶつけあう関係に忖度や気遣いは必要なくなっていく。

ストリートファイターでなぜ日本人が強いのかの話も非常に面白かった。
賞金の額が小さく、国内プレイヤーの連帯感が強かった。国内プレイヤーは強くなって国外の大会で賞金を勝ち取る、みたいなイメージでチームで情報を共有して強くなっていった。一方で国外プレイヤー、特にアメリカのプレイヤーは賞金のある大会が多く、自分が勝っている理由を周りに共有することは自分の稼ぎを捨てているようなものになってしまう。
必然、アメリカのプレイヤー全体のレベルが上がる速度と日本のプレイヤーのそれは大きく差がつく。

こんな中で、格ゲーはなにをするゲームなのか、というのをウメハラが語っていた。
曰く「最終的に投げを通すまでの物語」。

ストリートファイターの花形といえば、技だ。
コマンドを入力し、難しい技を出す。波動拳や昇竜拳はSFシリーズの代名詞となっており、一般的には必殺技を相手に押し付けるのが格闘ゲーム、という認識が浸透している。

今回、初めてSF6をやってみた。
今作では、モダンという操作方法が実装されている。
難しい必殺技コマンドも、コンボも全てワンボタンの連打で出すことができる。
初心者も上級者も簡単に読み合いをすることができるというコンセプトだ。

ある程度操作に慣れて、オンライン戦に挑んでみた。
Round1、Fight。
特徴的なガイジンボイスが流れて試合が始まる。
僕のキャラクターはマリーザ。
剣闘士で飛び道具や特殊能力はなし。
ただ身体の強さだけで相手の攻撃に怯まず相手を一撃で床に叩きつけるのがコンセプトだ。

相手のキャラはルーク。
軽快な印象で、弾速の速い波動拳と昇竜拳を持っている、オーソドックスな初期キャラって感じだ。

まずは相手が波動拳で体力を削りにくる。
こちらは必殺技ボタン長押しで対応する。
ファランクスだ(グラディウスだっけ?)。
左手を大きくテイクバックし、隙を晒しながらもタメ動作に入る。
そして、相手の攻撃に怯まず、特大の1発をお見舞いする。
相手は宙に浮き、地面につく前にもう一度同じ側の左手で相手を強く地面に叩きつける。

ストリートファイターでは壁際に相手を押し込むと非常に有利になる。コンボが繋げやすく、壁際だけで成立するコンボがあったり、敵側の選択肢を大きく減らしたりできる。

相手のルークは大きく吹き飛ばされ壁際に近づく。
焦ったルークはジャンプで飛びかかってくる。
まだ対空ができない僕は飛びを通されて、ワンコンボ喰らってしまう。
と、ここで相手がコンボをミスする。
なるほど、この相手はモダン操作じゃないな。
モダンにコンボミスは存在しないからだ。

ここですかさず差し込み、弱アシストコンボを叩き込む。4発くらいのダメージ低めのコンボだ。
相手は床に転がり、こちら側に有利なセットプレーに持ち込んだ。

ここでの選択肢は大きく分けて三つ。
相手が暴れてくるのに合わせてガードを入力しておく。
相手の起き上がりに合わせて隙の少ない技を重ねる。これは投げ抜けやバックステップを狩ることができる。
そして投げだ。

相手はモダンではなく、自分を上手いと思っているタイプ。安易に暴れはないと読んで、隙の少ない技を重ねることにした。
ここは僕の択が通って相手が壁際に運ばれた。
ここでの相手の心理は?

ストレスが溜まってきていておそらく守りを固めるか暴れ。
守りを固めるなら、、
そう、投げだ。

投げが通る。
相手が床に叩きつけられ、大きめのダメージが入る。
残り体力わずかとなった相手に前ステップで近寄り、ガードを入力。
予想通り、相手は無敵技で暴れてきた。昇竜拳が空振り、大きな着地隙を晒した相手に、もう一度投げを入れた。
K.O.
ガイジンボイスが勝利を教えてくれる。

これがウメハラの言っていた「投げを通すまでの物語」。
SF6で自分の格ゲーの才能に期待せざるを得ない日曜日だった。

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