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不器用な彼らの行方は

書き始めようとしたら次の日になっていました。

こんばんは。おちゃのえるです。

最近の悩みは、本を読むのに一定のペースではなく気分で変わってしまうことです。文学というジャンルを担当している身としては、できるだけ多くの小説たちに触れて吸収したいのですが、どうしても気分が乗らないことが多々…

読書が趣味の方々ってどういう風にペース配分してるんですかね?積読は増えていく一方…出版社よりいただくゲラやプルーフも溜まっていく一方…気持ちと行動が一致しない…

それでもなんとか良いと思ったものを見つけて広めていければいいなと思っている次第ですが精進あるのみといったところでしょうか。


さて、今回は今年読んだ中で三本の指に入るぐらいの衝撃を受けた小説を紹介したいと思います。


私はこんな恋愛小説を求めていました。まさに。


河野裕さんの『昨日星を探した言い訳』(KADOKAWA)を、皆様に、面と向かってお勧めしたい。

河野さんといえば、横浜流星さん主演で映画化もされた「いなくなれ、群青」のシリーズや、「サクラダリセット」と聞けばピンとくる方も多いのでは?

映画化のタイミングで私も「いなくなれ、群青」を読んだのですが、今まで読んだことがないようなタイプの小説で、尚且つ登場人物の真辺由宇の真っ直ぐさに圧倒されながら読了した記憶が少し懐かしいです。

これ、どうやって映画化するん?と読み終えたあとに疑問ばかりが浮かんでいました。読み始めたころにはもう河野さんの作品に惹き込まれていたのかもしれません。


そんな河野さんが、単行本で新刊を出されたのがこの「昨日星を探した言い訳」なのですが、まあこれぞ一気読み。仕事中も早く続きが読みたくて仕方がないぐらいで、いっそ休んで読みたいと駄々をこねそうになりました。



これは、総理大臣になりたい少女と、コンプレックスにより寡黙になり潔癖を求める少年の物語。

目の色による差別が表向きにはなくなってきていると言える世の中で、『緑の目』を持つ少女が転入してきます。その少女は自らが総理大臣になり、本当の意味で平等な社会を作り上げるという目標を掲げていました。

少女はその目標を達成するために、まずは校内で生徒会長になることを目指します。

少年と少女は同じ図書委員になり、少女は校内行事『拝望会』の改革へ着手し、さらに少年が運営する組織と協力していくうちに二人は徐々に惹かれあっていきます。

そして、少女は図書委員になった本当の理由を少年に打ち明けます。

映画監督である養父の幻の脚本『イルカの唄』を探しているーーー


KADOKAWAさんの作品紹介をかなり短くですがぎゅっとさせていただきました。(参考→https://www.kadokawa.co.jp/product/322004000166/)


『緑の目』『差別』『赤いトランシーバー』『ハイクラウン』『イルカの唄』など、キーワードが多く出てくるこの作品。すべて逃がしてはいけない、大事な言葉たちです。

そして彼らの不器用なやり取りがおしゃれでおしゃれで仕方ない…!なんっつー幸せな青春を過ごしてるんや…!とめちゃくちゃ羨ましくなりました。こんな恋愛してみたかった。

10代の恋愛って無知ゆえに真っ直ぐで、ある程度歳を重ねていくとその純粋さっていつの間にかなくなってしまうものなのですね。お互いに対して真っ直ぐで、でもうまくいかなくてもがいている感じ。

でも恋愛とか友情とか、誰とでも良いというわけではなくて(誰とも仲良くできるのも大事だとは思いますが)、相手のことをわかろうとして、自分のことをわかろうとしてくれて。それがおそらく心地よくいれる関係なのかなと、小説を通して感じていました。

寄せた感想にも書いたのですが

「私たちは、対等に話せる相手を探しているのだと思います。」

割と私の中ではこういう気持ちでした。

きっとお互い分かり合えて、会話を何度も何度も交わして、お互いを尊敬しあえるような関係はそう簡単に見つけられるものではないからこそ、ずっと探し続けているんじゃないかと。

だからこそ、この小説は「純愛」「青春」こんな言葉で言い表すこともできるけれど、そんな単純なものではないと私は思うのです。



真っ直ぐな気持ちを忘れかけていた今だからこそ、本当に読んでよかったと思えた作品でした。全力でおススメします。


今回も長々とお付き合いいただき、ありがとうございました!

明日も投稿できればいいな!

おちゃのえるでした!!



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