父からの電話
朝は近くの公園で過ごすのが日課になっている。
徒歩3分のコンビニでコーヒーを買い
その足で公園へ。
散歩とは言えない距離。
ここで過ごす時間が
1日のエネルギーを与えてくれる。
バッグの中の携帯が鳴った。
「お父さん」から着信。
話したくないときはスルーしてたのだけど、
最近は迷わず出るようになった。
「おなかの具合はどうですかー?」
おや?優しい声に聞こえる。
というのも、
父は急に怒ったり、
人を見下す言い方をしていたので
とにかく声が嫌いだった。
父の電話=嫌な時間
なぞの方程式が出来上がっていた。
かといって父が嫌いなのではない、
これも謎。
全てひっくるめて「お父さん」なのだ。
電話越しの父の声は
優しくて穏やかだった。
「急いで元気にならんでもいいよ。
今はゆっくり休んで、のんびりよ。
またこっちに来てね、
待ってまーーーーす。
こちらに来たら養生したらええよー」
耳から入る音が
染み渡るように体に広がった。
あんなに苦手だった父は
どこにいったんだろう?
そんなことを思いながら
ベンチに座っていると
町内の昼のチャイムが鳴り響いた。