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いつも笑顔で溌剌と【FOCUS ON:野辺翔太】

明治安田生命J1リーグから数えて「J8」の東京都社会人サッカーリーグ2部に所属しているTOKYO CITY F.C.。渋谷区をホームタウンに活動するクラブには、いったいどんな選手が在籍し、どんな思いを胸に秘めてプレーしているのだろうか。選手1人ひとりのパーソナリティに焦点を当てる連載企画「FOCUS ON」がスタート。第13回は加入2年目の万能MF、背番号23の野辺翔太に迫る。

野辺翔太のプロフィール詳細

大卒でタイに渡りプロ契約

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 これまで僕にとってサッカーは「やる」ものでした。

 友だちに誘われて地元の六浦少年サッカークラブでサッカーを始め、中学時代に所属していた横浜栄FCでのプレーがスカウトの目に留まって桐光学園高校に進学しました。

 高校時代は必死にサッカーに打ち込んで、指定校推薦のスポーツ枠で明治学院大学に進んでからも体育会サッカー部でプレーしていました。就活の時期になっても「卒業後もサッカーを続けたい」という思いが強く、モンテネグロリーグでプロになった先輩の話も聞いたうえで、海外のプロリーグに挑戦しようと思ったんです。

 そうして代理人の力も借りながら、トライアウトを受けてタイ3部リーグのクラブと契約することができました。当時の月給は日本円で10万円ほど。タイは物価が日本の3分の1程度なので生活はできていましたが、それでもぎりぎりでした。

 結局、3部で2年間プレーして、2部よりも上のカテゴリへのステップアップは現実的には難しいと感じて帰国しました。

 僕にとってサッカー中心の生活はタイから帰ってきた時点で終わり。日本で就職し、帰国から1年ほど経って、地元の神奈川県リーグ所属のクラブで週末に集まってサッカーをするようになりました。

最初の誘いは…

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TOKYO CITY F.C.に僕のことを誘ってくれた峯(#20 峯達也)と再会したのは、ちょうど六浦FCというクラブでプレーしていた時期でした。彼は桐光学園時代のチームメイトで、僕の1学年下の後輩にあたります。

 ある時、六浦FCの一員として峯とボールを蹴る機会があって、そこでしっかり動けていた僕の姿を見て、「今度、新横浜で練習試合をするから来てほしい」と半ば強引に誘われたのがCITYとの最初の接点でした。

 実際にその練習試合に参加する当日、チームが集合する前に深さん(深澤佑介GM兼監督)や峯にご飯を食べながら熱い話をされたのを覚えています。その場で深さんから伝わってくる熱量や、峯の充実した表情を見て、いろいろ得られるものではないかと思って、練習や練習試合に2、3回参加させてもらったうえでCITYへの加入を決めました。

 具体的に言うと、クラブがただ「サッカーをする場」であるだけでなく、「サッカーを通じてカルチャーを作っていく」という方針に惹かれました。深さんや峯の話からは他のクラブとは違う将来性も感じ、そういう魅力あるプロジェクトの一員になれたら楽しそうだと感じていました。

 いざCITYに入ってみると、関わっている人たち1人ひとりの個性が強く、多様な経験をしてきている人間がたくさんいました。サッカーの面ではもちろん阿部さん(#21 阿部翔平)から学ぶことは多いし、サッカー以外の面でもスポーツビジネスに関わっている人がたくさんいて、話を聞いているだけでも面白かったです。

 今まではただ「やっていて楽しいもの」だったサッカーの本質的な部分を学べていると感じています。

悔しさの中に感じた成長

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 渋谷区でのホームタウン活動に参加するのも面白かったです。greenbirdさんと一緒にやっている街中のゴミ拾いや、代々木公園でのイベントでリフティングを披露したこともありました。

 そうやって普段は会うことのできないたくさんの方々と交流するとCITYのことを知ってもらえるでしょうし、興味を持ってくれた渋谷区の皆さんと会話する中で「試合を観にいってみたい」「応援してみたい」と聞くと嬉しいし、話をするだけでも楽しかったです。

 こちらから積極的に外に出ていくことで、関心を持ってくれる人を増やし、もう一歩踏み込んで応援してくれる人たちを増やせれば、もっとCITYの周りが盛り上がっていくと思います。

 ただ、興味を持ってもらうにも、まずはピッチの上で結果を残す必要があります。

 昨年は得失点差で東京都社会人サッカーリーグ1部昇格を逃してしまいました。でも、優勝できなくとも得るものはあったと思います。1年を通して戦って、みんなが1つの「チーム」になってきたと感じているんです。もちろん悔しさはありますが、こうした成長の実感をこれから始まる新シーズンにしっかりつなげていかなければなりません。

 全勝優勝と1部昇格を第一に考えるうえで、昨年の経験は絶対に無駄にしてはいけない。そう強く思うからこそ、あの悔しさから学んだことを、僕をはじめとした昨年から引き続き所属している選手たちがチームに還元していかなければならないと考えています。そのうえで新加入選手たちの武器を生かし、既存のチームに掛け合わせていくことでいい方向に進んでいくのではないでしょうか。

 僕自身、練習から常に100%を捧げてやりきることを心がけていますし、加えて笑顔を絶やさずチームを盛り上げることも重要な役割だと思っています。そして個人的には継続して試合に絡んで、5得点5アシストを目標に、数字に残る形でもチームに貢献したいです。

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