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台湾お持ち帰りバー

セックスレス歴20余年、単身赴任の夫の部屋で見つけた精力剤とコンドーム。

夫の部屋から見つかった不審なものは、他にもあった。台湾のお持ち帰りバーと吉原ソープのカード。

わたしは決して「家探し」をしていたわけではない。
夫が「見つけてくれ」と言わんばかりに、その辺に、そういうものを置きっぱなしにしているから、いやでも目に入ってくるのだ。

証拠を「証拠」として認めない夫

精力剤やコンドームのように、夫が隠してしまうと証拠が無くなる。
だから、わたしは台湾と吉原のカードを手に持ったまま、夫に聞いた。

「これは何?」
「あー、台湾出張の時にもらったカードだよ。M物産の駐在員が、評判のいいお店ですよと言ってカードを配ってた」

超一流商社の海外駐在員が、顧客に風俗店のカードを配る???
しかもカードには手書きで携帯の番号が書いてある。

常識的に考えにくい話だが、一応M物産にいた親しい知人に聞いてみた。
「商社の接待と顧客への細かい心配りは素晴らしいと聞いているけど、こんなことまでするの?」

彼は驚いて即答した。
「まさか!ありえない!商社はreputationをとても大事にする。わざわざ、それを下げるようなことはしないよ」。

吉原のカードについても、夫は取引先である飲料メーカーから受けた接待の一部だと言った。
「伊⚫︎園との会食後に連れていかれた。タクシーに乗せられて、降ろされたのが吉原だった。でもどんな感じか、店を外から覗いただけで、入らずに帰ったよ」。

これまた、あれほどの一流企業が、コンプライアンスも考えず、性接待をするとは考えにくい。
しかも、社会見学じゃあるまいし、ソープを外から見て、入口でカードもらって帰る???

夫はさらに、屁理屈まで追加した。

「そもそも、本当にやましいことがあるなら、隠すだろ?無防備に置いてあるということは、隠し事がないってことだよ」。

俺は悪くない、悪いのは君だ

わたしは、台湾の話も、吉原の話も信じられない、と夫に言った。
そういうものを、わたしの目につくところに置いておくことが、「やましいことがない」という意味にもならない、と言った。

「あなた自身が一番分かっているんじゃない?こんな言い訳を信じる妻は、まずいないだろうって。それとも、あなたは、わたしなんか、この程度の作り話で簡単に騙せると思っているわけ?」

夫は、勝ち目なし、と悟ったらしい。いつものパターンで逆ギレに転じた。

「俺を信じないのか!!じゃあ何を言っても無駄だ。これ以上説明できることは無いし、何を言っても君は『信じられない』と言うよね?だったら話す意味が無い」。

こうして、わたしは「やましいことなど一つもなく正直な夫を責めたてる猜疑心の強い妻」の役を与えられて、会話は終わる。

俺は悪くない、悪いのは君だーーーお馴染みの着地点に落ち着く。

わたしは、どうすればいい?

夫が浮気しているらしいという物的な証拠を見つけたのに、完全に否定され、むしろ彼を信じないわたしの方が悪い、と怒鳴られると「ひょっとしたら、その通りなのかも?」という気がしてくる。

疑うわたしが悪い?
夫を責めるわたしが悪い?
風俗遊びを許せないわたしが悪い?

分からない。

どうすればいいのか本当に分からない。

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