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【整形外科専門医が解説】半月板損傷について

半月板損傷とは?

半月板とは大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の間にある、
C型の形状の線維性軟骨です。

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                                                                                     引用:日本整形外科学会

膝関節の荷重分散(クッション)、関節安定(スタビライザー)、潤滑機能を有しています。

半月板はスポーツなどで損傷したり、
半月板の変性(加齢による質の低下)による軽微な外傷によって損傷したりすると膝関節の痛みを引き起こします。

なお、日本人には先天的な形態異常の外側円板状半月板が約7%存在し、
その場合は損傷を起こしやすいと言われています。

症状は?

損傷初期には、
突然の痛みと運動制限が生じ、
膝が外れたような脱臼感、関節血腫(関節内に血液が溜まり膝が腫れる)、ロッキング症状などが伴うことがあります。

ロッキング症状とは、
損傷した半月板が骨の間に挟まり込み膝が曲がったまま伸ばせなくなる症状です。

慢性期になると、
安静時の痛みは稀ですが、運動時や動作開始時に損傷を受けた半月板の周辺に痛みが生じます。

関節水腫(関節内に水が溜まり膝が腫れる)や膝の引っかかり感、コキッとした音(click)、膝くずれなどを起こすこともあります。

診断は?

McMurrayテストなどの疼痛誘発テストにて半月板損傷の有無が推測可能です。

診察所見にて半月板損傷を疑う場合はMRI検査を行います。

MRIでは断裂の形態等も確認できます。

治療は?

損傷初期で日常生活に支障が大きい場合やスポーツへの早期復帰を希望する場合は、
早期から手術療法を選択することもありますが、
それ以外であればまずは保存療法を選択することが多いです。

なお、保存療法での効果が少ない場合は手術療法を選択することがあります。

保存療法としては、
大腿四頭筋(太もも前面の筋肉)強化や、消炎鎮痛剤などによる疼痛コントロールを行います。

手術療法としては、半月板切除術が一般的ですが、
若年者のスポーツ外傷にて起こった半月板損傷であれば、
断裂部位・形態によっては半月板縫合術を行うこともあります。

半月板切除術とは、
半月板の傷んだ部位を部分的に切除する手術方法です。

半月板には血流がある部位とない部位とがあり、
血流がない部位は縫合しても治癒しないため切除する必要があります。

半月板縫合術とは、
半月板の血流がある部位の断裂で、縦割きされるような断裂形態の場合に縫合糸などを用いて縫合する手術方法です。

血流がある部位なので断裂部の治癒が期待できますが、再損傷の危険性もあります。

いずれの手術方法も関節鏡と呼ばれる内視鏡を使用して手術を行います。


※下肢痛を来す疾患についてマガジン「下肢痛」にまとめていきます。

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