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【虎に翼 感想】 6/27 光三郎の裏切り


愛のコンサート、出演歌手決定!

まさかの茨田りつ子だった。
さすが、”ミスター軽薄” ことライアン久藤の人脈だ。そういうのはどんどん使おう。本人もそういうの好きそうだし。
一昨日、「福来スズ子は大物すぎるから、来てもらえそうな歌手を探そう」と書いたことをお詫びしたい。
明日……コンサートあるよね。


光三郎の裏切り

まさかの光三郎だったとは……まったく思いつかないことだった。光三郎と元山すみれの組み合わせ……。
6/24 大庭家、相続問題発生」の記事の最後、「徹太も梅子も、それ以上になんか考えていそうで心配……」と書いたのは、徹太とすみれがグルになっているパターンもあり得るかなと思ってのことだった。よく考えたら、徹太が自分の地位を脅かすようなことをするとは思えないな。疑って悪かった。

「どいつもこいつもクソだ。男は」
よねらしい言い方ではある。
人間誰しも、自分が当事者意識を持っているものに対しては感度が高いが、そうではないことに対して鈍感になる。だから轟に諫められる。いいコンビだ。

担当裁判官である寅子が、当事者のうちの一人の代理人にその事実を伝えるという点は、ちょっと疑問ではあったけど、だからこそ寅子は「こんなのわたし抱えきれないわ」と吐露していた。

轟とよねの頭を抱える姿……こんなときもある。起きてしまったことは仕方ないから、その事実を踏まえて、依頼者の意向を聞いて、折り合いをつける方向を探すしかない。

すみれは明らかに意趣返しだ。梅子への当てつけのために光三郎を利用している。
「彼女(すみれ)はこうやってしか生きてこられなかった」
光三郎の言うことは、たしかにそうなのだろう。寅子の弁護士時代の失態として描かれた両国満智と今回の元山すみれ、二人が重なってしまう。男を利用して生きる女性たち。これも結局、旧民法時代の社会構造のせいだ。弁護士である徹太でさえ、旧民法に縛られていた。ここでも、民法が改正されてもすぐに変われない象徴として描かれることになる。


民法第730条【親族間の扶け合い】

直系血族及び同居の親族は、互いに扶け合わなければならない。

まさか、この条文が、今になって効いてくるとは思わなかった。
超保守派である神保衛彦(もりひこ)教授がどうしても譲れない条文だった。もちろん神保教授にも、家族に対する深い考えがあってのことではある。
この条文の存在によって、扶養の範囲が明確に線引きされた。だから梅子は、大庭家、特に大庭常との関係においては、直系血族でもないし、同居を解消しさえすれば、扶養の義務もなくなる。

白旗は、ある意味 “解放” だ。もう戦わなくて良いのだから。逃げるが勝ち。試合に負けて、勝負に勝つ。
今まで、梅子にベクトルが向いていたことで大庭家の人間関係は保たれていた。そのベクトルを向ける先がなくなったことで、個々の存在がより鮮明になって、ベクトルの先は交錯するようになる。だから3人の息子はようやく同じ立場になった。

梅子もよねも、法曹資格は持っておらず、“法律を勉強した(している)人” でしかない。だから、寅子や轟のように、他人のためにその知識を使うことは許されない。
だけど、自分のために使うことはできる。勉強したことは決して無駄ではなかった。梅子の瑕疵のないロジックに、大庭家のその場にいた全員、知識のある者もない者も、それぞれの理由で黙り込むしかなかった。

最後、梅子は息子たちに「育ててあげられなくてごめん」と、去っていくことを謝罪した。だけどそれは、息子たちを自分の手から放すことによって、一人ひとりを個人として尊重したのではないか。あの別れの日からの10年余、梅子はずっと法を学んでいた。新しい憲法と民法を踏まえたうえでの、親としてできる最後の教育だったように思えた。

結果、梅子が相続放棄をした後、遺産を息子たちが3等分することで合意し、(たぶん徹太が申し立てた)調停は取り下げられることになった。
轟弁護士も、念のため梅子からもう一度相続放棄の意向を確認して、裁判所や徹太たちに伝えたと思われる。
遺産を受け取ってもいい気もするけど、それは今後の梅子が、ある意味 “大庭家に扶養されている” 状態になるからね。今日の梅子、痛快の極み。

神保教授、あなたの意図とは違うけど、今回、一人の女性が解放されましたよ。

ただ、一方で、梅子と息子たちが直系血族であることは一生続く。この条文に縛られて苦しんでいる人たちは今でもいるのだろう。第730条の条文をクローズアップさせた本作に白旗をあげたい。

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梅子は轟法律事務所に住むことになった。よねと一緒に、助手をしたり子どもたちの面倒をみたりするのかな。今後、明律大学女子部のみんなが集まる場所になるといいな。竹もとも再開したし。

そんな竹もとで寅子と梅子が話す場に花江が居たのも、示唆に富んでいる。
15年ぶり……花江とはるさんが、互いの関係に悩んでいた時期だな。懐かしい。さすがに寅子も最近の花江のことを心配していたか。
すべてを引き受けてしまっている花江が、梅子の話からヒントを得られればいいのだけれど。


「虎に翼」 6/27 より

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