見出し画像

【光る君へ】 第16話 一条天皇の性愛の目覚めはいつだったかを検証してみた

毎年、大河ドラマは最後の2か月くらいだけ観て終わらせる筆者ですが、今年の「光る君へ」、古文の点数のために「あさきゆめみし」を買ってハマった世代としては、欠かさず観ています。
歴史も文学も詳しくない自分ですが、明日の再放送を前に、心に残ったシーンについて語らせてください。


まひろ(吉高由里子)との石山詣からの帰り道でのさわ(野村麻純)のこじらせ。
華やかな定子様(高畑充希)のサロン。香炉峰の雪、雪遊び、それを見る「ちむどんどん」のにぃにぃ感の抜けない隆家(竜星涼)。
別の日のサロン。舞を披露する伊周(三浦翔平)と隆家兄弟、横笛と琴を演奏する一条天皇(塩野瑛久)と定子様、そこに現れる女院詮子(吉田羊)、高宮の姿を説く伊周。

と、ストーリーは展開し、いよいよ、あの夜になる。

・・・・・・・・・・・

脱ぎ捨てられた衣からのおみ足。そこには、おそらく事が済んだ後であろう一条天皇と定子様の姿がある。
髪をなでる一条天皇、愛しそうに微笑む定子様。顔を近づける二人…
静寂の中、衣がすれる音が生々しい。

あぁ、なんとも美しい…

・・・・・・・・・・

その艶めかしく高雅なシーンに引き寄せられつつも、ふと、考えを巡らせてみた。
どの時から二人はそういう関係になっていたか、についてである。
一条天皇の性愛の目覚めはいつだったのか。
私たちの目には、二人はいつもサロンにいて、華やかに振舞っているだけだった。

具体的な日付は言えないにしても、ここのあたりだろうというシーンはあった。
第13回だっただろうか、サロンにて、幼い一条天皇(柊木陽太)と定子様が戯れている姿。定子様におぶさる一条天皇の姿を。

定子様「お上、重とうございます」

なんとも微笑ましいお姿だった。

そう、このときこそが、一条天皇の性愛の目覚めのターニングポイントだったのではなかったかと…。

姉と弟のような微笑ましいふれあい。
そこから成長するにつれて、身体の変化に戸惑いつつ、幼いころからの身体のふれあいに、いろいろな意味がまとわり始めてくる。

一条天皇、定子様、それぞれに周りからの示唆を受け入れ、互いに心づもりはできていた…

そして…別の意味での、「お上、重とうございます」の日を迎えたはずだ。

・・・・・・・・・・

第15話をあらためて観てみると、また奥深い感がある。一条天皇の横笛に聞き入る定子様の表情から、情愛の深さを強く感じ取れる。
直接的な描写がなくとも、我々は皆、このことを受け入れていたのではなかろうか。
第16話のこのシーンで明確にしたことの意味は、なんだったのだろうか。

身も心も愛し合うというのは、この上ない幸福だ。
この後の歴史上の展開は、多くの方はご存じだろう。
二人の幸福の絶頂、ひいては、中関白家の栄華のピークを象徴する意味でも、このシーンは差し込まれているように思えてならなかった。

・・・・・・・・・・

道長とまひろの熱烈キッスに慣れてしまった我々には、火事の知らせでストップがかかって物足りないことこの上ない。
しかし、幼き一条天皇のお姿を記憶している視聴者が卒倒してしまわぬよう、NHKが配慮した結果だと受け止めておこう。

あの夜の美しさを、絶対に忘れない。

この記事が参加している募集

#テレビドラマ感想文

21,638件

お読みいただきありがとうございます!サポートをいただけると本当に励みになります。いただいたサポートは、新しいウィッグを購入するために使わせていただきます。