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【虎に翼 感想】 7/12 寅子を愛する者たちとの別れ

今日の回は、ずっと涙が流れてしまった。この寅子を愛するすばらしい人々と離れて新潟に行く不安や、優未の心細さを想像したら、静かに涙が流れた回だった。



別れの挨拶

昨日の家族会議は、どうやら、それぞれが一方通行で終わった会だったようだ。
寅子の「一緒に来てくれ」に対する優未の即答と目の泳ぎは結局……来てくれと言われて優未はうれしいはずだ。即答されてうれしいけど戸惑う寅子、即答したものの、ママが喜んでくれているか不安な優未といった感じで、この先もしばらく探り合いか。

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竹中記者ともしばしのお別れ。
寅子、その家族の不満メモを渡すことは、みんなに話してあるのかな……本人たちが自分で書いているから大丈夫か……知らなくて記事になったら、またひと悶着起きるんじゃないかと、あたしゃ心配になったよ……。
竹中は50代くらいだろうか。お迎えが来るには早いが、つまり、いつでも待っているぞということか。
あの取材のときに撮った家族写真、直治と優未の異常な口角の上がり具合が、虚構の家族を物語っている。これを戒めとして飾るがよい。

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まさかの多岐川家&汐見家での寅子の送別会。でも香子と話せたからよかった。
小橋と稲垣は来るのか?来たとしたら香子はどうするんだ?と思っていたら、出かけちゃった。そりゃそうだよね。でも、出かける先があるくらい地域に馴染んでいるのが伝わって、なんだかうれしかったんだ。

締めの挨拶=滝行
これ以上の送別があるだろうか。
本作において “法” を象徴する “水” での送別。
人間どもの醜い欲を流すものであり続けていただきたい。
多岐川、理想も掲げすぎると欲となるから、気をつけてね。
家庭局のシーンは少なかったけど、こんなに絆の深いチームを作り上げていたことを、最後の最後で思い知らされたよ……。
翌日、汐見は近所の人たちに謝って歩いてるんだろうな。

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轟法律事務所。
梅子が席を外したのに合わせ、轟もさりげなく立ち上がる。いいヤツすぎるじゃないか。
寅子が謝ることが多い関係だったけど、今日、よねに「ありがとう」って言えた。変わらず芯を持ち続けるよねは、きっと、寅子にとっての指標となっているんだね。


仲間たちへの思い

寅子はずっと、本人たちが望む望まないは別として、かつての仲間たちの思いを背負って生きていた。だが、それもすべて東京に置いていこう。

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香子は、「私が選んだ」と言った。
仲間に会いたい気持ちがあるのは当然のことだ。だけど、実際に会うかどうかは別問題だから、「じゃあ(会えばいいじゃないか)」は、早計でしかない。

「崔香淑は捨てた。娘のために。その覚悟で娘を産んだ。私が選んだの、ここで、日本で生きていくことを。だから汐見香子でいなきゃ。私、ちゃんと幸せだから」
以前より日本語が上手になっていると思ったのは私だけだろうか。そうだとすれば、日本に居て自然と上達したというだけでなく、周囲に悟られないための、香子(=ハ・ヨンス)の血のにじむような努力があったのかもしれない。

寅子は、香子の娘に対する覚悟をどのように受け止めたか。
香子はとっくの昔に、自分の人生を自分で決めていた。もう彼女の気持ちを背負うことはない。背負っていたことは、寅子の一方通行だった。気持ちを通わせて抱き合ったから、もう大丈夫だ。
いつかまた必ず、再会できますように。

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「よねさん、そろそろ自分の道に戻るのはどう?司法試験、受けてみたらどうかしら」
「私確信している。弁護士になったよねさんにしか救えない人たちが、たくさんいるって」
戦後、よねが司法試験を受けていたのかどうかは描かれていなかった。だが、戦後の混乱と、その後の轟法律事務所での多忙さで、ずっと受験していなかったようだ。すでに40才前後のはず。

旧司法試験時代の、やめどきが見つからない問題(今は原則、法科大学院卒業後、5年間で5回以内の受験制度になっている)。
約25年前、私が最初に勤めた法律事務所にも、アルバイトをしながら勉強をしていた男子がいた。当時、大学を卒業して2年ほど司法浪人をしていた人。でも、親の意向もあって国家公務員試験も並行して受験して、結局キャリア官僚になっている。就職してすぐの頃に会う機会があったが、「今の仕事の立場だと司法試験は受験できない」と、受験しない理由をあれこれ説明されて、まだ未練があるのかなぁと思った記憶がある。

だから、寅子のよねに対する言葉が彼女の心を揺さぶるものになったとしたら、それはそれでツラいなぁと思いながら観ていた。
よねは決して、他人の言葉に引っ張られて納得できない道に進む人じゃない。でも、本人にまだ逡巡があるのだとしたら、後押しするかもしれない。
寅子の言葉は、どちらに転ぶのだろうか。もうそれは、よね本人に任せよう。

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梅子も、とっくに自分の道を進んでいる。だからもう、仲間たちの思いは置いていこう。

涼子は、この先、登場するのだろうか。お玉もどうしているのか。生きていたら、きっと寅子の活躍は耳にしているはずだ。
涼子が登場したときが、5人(6人)が再会するときだと、そう思っている。

轟法律事務所を訪れる子どもたちが、梅子にご飯をせがんでいる。あの子たちにとっては、もう “母の味” になっているのだろう。


新潟へ

優未にとっての母の味は、はるさん、そしてはるさんから引き継いだ花江の味だった。
慣れない土地に来て、慣れない味のご飯を食べる。
学校は大丈夫だろうか。田舎の人からしたら、“東京からきた人” って珍しい生き物に匹敵するくらいの存在だから。なかなか厳しそうだ……。

それは大人の寅子も同じ。
最後に寅子を愛する人々を一斉に登場させて、そこから離れさせる。来週からの落差が想像に難くない……。

昭和27年春。寅子と優未は、手を握り合って、桜が満開の新潟へ旅立っていった。


次週予告

高橋克実さん登場。待ってました!
“支部長” があだ名と化していそうな展開。
航一は、なぜそこにいる!
優未は学校に馴染めただろうか。
どうなる、寅子!


「虎に翼」 7/12 より

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