11服目:2023.10.22(日)中置

名残の季節、10月

新しいお稽古を教わる。
中置の濃茶点前、薄茶点前。
中央に置くのはお釜。秋が深まり寒くなるとともに釜がお客の方へと近づく、ということだそう。

10月は、風炉の最終月。
名残の季節ということで、この秋を彩ってくれた秋海棠や水引草らの茶花も見納め。

細長い水指を使うほかに新しいお道具はなかったが、お釜が中央に鎮座しているので、水指はお釜の左へ置く。
となると、水指を持って歩く方向も蓋置の位置も変わるので、細々と所作が変わり……結局いつもどおりなんて一つもなく、いつだって必ず一期一会。

一流万倍=財布を下ろす日?

今日の道具でユニークだったのは、玄々斎好みの徳風棗。蓋の上には「一粒万倍」の文字、裏には9つの玄米(うち3つは弾けている)が描かれた平棗だ。

「一粒万倍」といえば財布を下ろすのに最適な日という知識しかなかったが、お棗に書かれているのを見ると、なるほど豊作の秋を彷彿とさせる。お茶のおかげでまた新しい景色を見ることができた。

私たちが平棗の扱いに四苦八苦していると、先生が「茶箱を出してきましょか?」とおっしゃっていて、平棗は茶箱のお点前の時にも扱っていたことを思い出す。
右手で縦に持ち、左手を横から下に包み込むように移動させる動きが「今、私はとても愛しいものを扱っています」という感じがこもっているようでとても好きな所作だった。そうだった、そうだった。

お慕い申し上げております

後半の濃茶のお点前は二度目ましてだったこともあり、不慣れすぎて逐一時間がかかり、気付けば15時!

長丁場のお稽古を集中力も途切れずに楽しく過ごせるのは、ひとえに先生のお優しさ、お人柄のおかげだと毎回心から思う。

帰り道にご同輩ともそんな話をしながら駅に向かう。この会に入門している皆が、先生のことを茶人としてはもちろんだが、まず人としてお慕い申し上げていて、その共感がこの会にはいつも通底していると思う。それがどなたとお稽古をご一緒しても楽しい理由のひとつな気がする。

今日のお稽古は3人で、もうお一方のご同輩とは月初の茶筅供養は同席したもののお稽古をご一緒するのは数ヶ月ぶり。たまにお会いする方だとお点前の上達ぶりに驚かされる。私も多少は進歩しているのだろうか。

否、今日進歩を実感しことがあった。仕覆の結び方を理解したのだった。1up!

世田谷生まれのサプリが必要?

ところで、3時間を越えると股関節と膝が悲鳴をあげてしまう…! お稽古後の数日はなんだか下半身の様子がおかしいというか…。加齢のせいかしら、辛。

ぐるぐるグルコサミン。
世田谷生まれのグルコサミン。
飲もうかな…。

だもんで、正座に慣れるのは半ば諦めモード。誰よりも率先して正座クッションを使っている。それでも1年前から比べると多少は耐久時間は伸びている気もしており、膝をさすりさすり自分を慰める。

「木守」って素敵やん?

今日の茶菓は「栗拾い」と「木守り」。
栗きんとんの中は粒あんで、濃厚な栗の味わいが薄茶と相性抜群。この時期数多と出合える栗のお菓子の中でも随一のおいしさだった。

なんだか今日はいつも以上に薄茶がおいしく感じられたなぁ。

お菓子との相性もさることながら、ご同輩のお点前がすばらしかったというのはもちろんだし、一気に秋が深まり「お茶の美味しい季節」になったのだなと感じる。こんなふうに季節を愉しめるなんて贅沢で有り難いことだ。

「木守り」は初耳。
柿を収穫する際、「また来年もよろしくね」の気持ちをこめて実を1、2個だけ木に残しておく風習があるそうで、その残された柿のことを木守りと呼ぶとのこと。八百万の神を信じる日本ぽい発想でとても素敵。先生からこういうエピソードを伺うのもお稽古の楽しみのひとつ。

早々に夢かなう

今日はもう一つ新しいトピックがあった。それは着物を着せていただいたこと。

先生が新品のお着物を貸してくださり、着付けまでしてくださり……ってそんな有り難いことがあるのでしょうか? いつかお着物を着てお稽古に参加したいなと夢見ていたら、早々に叶えていただけるなんて感謝の限り。

おかげで浴衣とはまた違う着丈や質感は、お稽古の解像度を確実に上げてくれることを一挙手一投足ごとに実感する。

建水の位置。足運び。客付へと膝を移動させる時の手の位置。帛紗の扱い。
正客の時にも懐紙の扱いがとてもし易く、お茶というのは着物を着て嗜むことを前提にすべてが考えられているのだなと得心。

来週はいよいよ今年最後の風炉。
初心者教室では冬も風炉だったので初めての炉。楽しみ。

本日の銘

夜寒(よさむ)

まんまやないかい!というくらい昨日今日の気候にぴったり。
日に日に寒くなって、日が短くなって、いとさみし。

山眠る

これは失敗。11月に言うべき銘だった。
「山笑う」しか知らなかったのだが、最近四季に合わせた山の動詞があることを知り、つい前のめりに使ってしまった(すぐやる課)。また来月使おう。

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