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若者に「お金がない」と相談された時の3ステップ

こんにちは!
「福祉×お金の教育」のテーマで活動をしている、Ocalea+です🌼
子ども支援・若者支援、また児童養護施設や里親家庭など「社会的養護」分野で、お金のトラブルを防ぐ金融教育をしています。

社会的養護などから巣立った若者の不安や困りごとは「お金」ですよね。
「児童養護施設等への入所措置や里親委託等が 解除された者の実態把握に関する全国調査」にも最も多くの声が寄せられています。

「お金がない」にも様々なレベルがありますが、今回は以下のレベル感の場合にどう対応するかを考えてみます。
●生活費が足りない
●もう借金しないとやってけないかも…
●将来が不安…

逆に、既に多重債務に陥っていたり溜まった請求書の対応が必要など、緊急性が高い場合は今回の内容は当てはまりません。

相談の受け手側が認識しておくべき3つのこと

まずは、相談を受ける大人が認識しておくと、スムーズにいきやすい3つのことを紹介します。

1.お金のサポートの方向性は2つある
お金に関するサポートを2つに分けて考えると、①実際の金銭的サポート②金銭管理サポートがあります。
お金に困っている若者は②には思い至らずに、頭の中には①が浮かんでいることも多々あります。
今回のレベル感の相談であれば②の方法があることを理解してもらうことで、お互いのギャップを埋められます

2.我慢をさせたい気持ちをぐっとこらえる
金銭管理がぐちゃぐちゃの若者を目の前にすると「ムダ遣いをなくすために我慢できるようにさせなきゃ」という気持ちがでてきます。
しかし、お金のプロは「できるだけ我慢せずに支出を減らす」という考え方をします。
この意識を変えると、相談した若者も心理的ハードルが低くなります。
ちなみに、ある生活保護受給者への金銭管理アドバイザーもタバコ・酒代にはできるだけ口を出さないとおっしゃってました。
まずは我慢しなくても支出が減る経験を通してやる気がでて、最終的には過剰な浪費も抑えたい気持ちが出てくることもあります。

3.「意識を変える」のでなく、本人にあう工夫を一緒に考える
金銭管理について口で伝えてもなかなか本人が変わらないので難しさを感じる時があると思います。
衝動性があるからこの子にはムリだと思ってしまうこともあります。
でも、実は「意識を変える」のは誰にとっても難しいこと。
意識をかえるのではなく、仕組みを利用したり、工夫したりできます。
そして方策はタイプ別にいろいろあり、本人に合いそうな工夫を一緒に考えてあげることがポイントになります。

タイプに関係なくオススメな2つのステップ

それでは、相談を受けた時の3つのステップを見ていきましょう。
まずは、どんなタイプの人でも、むしろお金のことに悩んでない人も含めて全員にオススメな2ステップを紹介します。
もしかして、施設職員さんや支援者自身もやったことがあるかもしれません😊💰

①固定費削減
支出は大きくわけて「固定費」と「変動費」があります。
我慢をせずに支出を減らす一番の方法が「固定費を減らす」です。
いちど設定を変えれば、その後の支出が勝手に減るから、とても効果が大きいです。
また、変えてもそれほど生活には影響がでないのが嬉しいポイントです!

例えば、スマホの会社やプラン、家賃、光熱費、サブスク、車などです。
それぞれ、自分だったら何に切り替えると一番お得なのかシミュレーションがネット上でできます
そして、「今のままの場合」と「変更した時」の金額を数年単位の違いで見てみると本人にも分かりやすいです。
この固定費削減を先にやることで「工夫次第で支出へらせるんだ!」ということが実感できて、金銭管理のやる気が高まることもあります。

②家計の見える化
家計簿つけている人やレシート集めている人はあまりいないでしょうが、1か月だけ(!)がんばって記録を残してもらいます。
細かくやるとイヤになってしまうので、レシート取っておくだけでOKです。

そして次のステップを踏みます。
→1か月集められたら、全体の支出額、収入額、貯金額(残高)を書き出します。
→そして、レシートを項目ごとに分けて、金額を合計します。
こちらの12ページの表が参考にできます。
→それから「必要なもの」「あると嬉しいもの」「減らしたいもの」に分けていきます。できるだけ本人の気持ちを聞きながら仕分けられたらいいですね!

この「家計の見える化」は強力です。
浪費が多かった高校生でも、自分のおこづかい帳を振り返る時間を取ったら「●●にこんなに使ってたんだ。減らしたいな。」と自分から発言することもあります。

3ステップ目は本人にあう方策を実施

「お金がない」と相談があったくらいですから、きっとその相談者のことをよく理解している支援者さんだと思います。
どんな性格なのか、どこでつまづいているかを考えれば、見えてきます。

ここではよくあるタイプ別の方策を紹介します!
タイプ①:見通しを持つのが苦手/将来をイメージ出来ていない。
➡具体的に見えるようにしてあげましょう!
 例)人生ゲームを一緒にやってみる
 例)こちらの「人生にかかるお金の表」を一緒に見ていく

タイプ②:あれば使ってしまう/あるだけ使ってしまう
➡先取り貯金の設定をして、崩しにくいようにする
 例)自動送金サービスや、つみたてNISAなどをはじめてみる。投資についてはこちら
 例)銀行口座からの引き出し上限金額を設定する
ある衝動性が強い人は、貯蓄のための口座のキャッシュカードにハサミを入れて引き出すハードルを上げているという話も聞いたことがあります。

➡1か月分の支出をより細かく予算ごとに分けておく。
 例)1週間など細分化して封筒に分けておく
 例)家賃や公共料金などは別の口座に分けておく

タイプ③:趣味が多い、推し活に使いすぎてしまう
➡まずは、ゼロにする必要はなく収入の5%や1万円程度が妥当と言われていることを伝えます。
さらに、お金を使わずにできる方法を一緒に考えます。
例えば、推し活でもその対象の良さをSNSで発信するなら無料でできて、推しも喜びます!
お金を使う趣味ばかりなら、お金がそれほどかからない趣味を探してみます。
もし、ある程度続けている趣味があるなら、逆に収入にならないかも考えてみます。(メルカリで販売したり、SNSでやり方を教える発信をしたり)

そうやって、楽しみは減らさずに支出を減らす方策をいろいろ考えた後に、どれぐらいの支出にしたいかを考えてみます。

タイプ④:心の問題とつながっている
ストレス発散、人間関係のため、欲望発散のためなど、金銭管理だけではない心理的問題の場合もあります。
その場合はこちらの記事もご覧ください。

すぐには上手くいかない。長期戦でいろいろ試してみる

3つのステップを紹介しました。
この方法ですぐに成果がでる場合もあります。
うまくいくと月に数万円単位で支出が減ったり、収入が増える人も少なからずいます。

一方で、特に心理面が関わっているとすぐには上手くいかない場合も多くあります。
そして、それは悪いことではなく、当たり前のこと。
ダイエットなどと同じで、自分に合う方法が見つかるまではなかなか成果にならない。

そのため、うまく行かないと言って、がっかりしたり自信をなくしたりしないように、気を付けましょう。(私自身、お金のことが整うにはかなり時間がかかりました)
楽しく、いろいろ試してみる!
それくらいの気持ちがちょうどいいかなと思います。

もし、こんなタイプの場合はどんな対策ができる?というご質問があれば、お問合せフォームからご連絡ください😊



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