「踊る」から感じた「変成」時代


(20190617アメブロ記事を加筆修正)

たぶん、どこかにまだあるんだと思う。

なにが?

また咲いてくれる根っこが。


テレビで「踊る」シリーズの映画の

放送していて、久しぶりに観た。


「踊る」はもともと

連続ドラマ時代から観ていたので

あのシリーズの感覚はわかる。


ちょうど時代が「昭和」を

引きずりながら、平成に入り

変わらなきゃを変に意識していく

「変成」へ。


映画のほうは、平成への戸惑いと

葛藤するドラマ編の先で、

変成によって顕在化する

うまく機能しなくなっていくような

ゆがみやひずみが描かれている。


いま現在の視点だからこそ

見て気づくことが

たくさんあるだろうと思う。


変わらなきゃいけないと思い込み

変に意識していた。


大事な思いやりや感覚を横に置いて

生き残るために見て見ぬフリした。

変に成った、平成時代だった側面が

浮かび上がってくる。


ちゃんとやろうよという雰囲気とも

正しくやろうよという雰囲気とも

ちょっと違う。


せかされるような感じで

落ちないように、負けないように

引っ張られないように自分(だけ)を守る。


なんだかすごく窮屈な

世の中にしてしまったんだなと

いまさら気づく。


劇中では、冒頭でご存知、

世陸(セリク)のカオが

タバコをくわえながら歩くシーン。


タバコをふかしながら、署内に入る前に

根本まで口惜しそうに吸いながら、

携帯用灰皿に入れるシーンがある。

何かせつなく、何か笑えた。


別にタバコなんかで

目くじら立てなかった社会が

研究が進み害が伝わるとタバコに

急に怪訝そうな態度をとるようになる

そのちょっと前の時代のものだろう。


マナーを見直そう、守ろうよ

という機運と日常風景が

複雑に絡み合ったシーン。


こうしなきゃいけないのは

わかってるけど、

ちょっと待ってよというね…。


そんなに急いで何もかも

効率性や正しさを突き付けられても

自分に馴染ませられない。


モノ扱いと正当性、使命感や

倫理、でも人間らしくありたい

葛藤が描かれている。


私たちのほうがせかされて

急展開する日常風景に

自分のほうから馴染ませながら

合わせていく。


その途中でどこかに置き忘れたであろう、

人情味あふれる風情みたいなものがあった。


昭和の世代に生きた人は

その風情みたいなものを

肌身離さずにいるから世知辛く感じる。

和久さんのように。


そんなんじゃなくてさ、

もっと人の気持ち考えようよって。


みんな十分わかってるけど、

そんな急にゼロから100にして

遵守しろって言われても

困るんだよなって感覚。


正しいのはわかってる。

わかってるけど

すべて遮断するように

切り落とされる哀しさ。


いま思うともう少し、

時間をかけてやり方を考えたり

機が熟するのを待ってやったほうが

よかったと思うことが

たくさんあったような気がするんです。


ちゃんとやらなきゃに

逆らいたいわけでもない。


でも言われてすぐ変われるほど

単純なことじゃないのに

決断を迫られて、泣く泣く

切り離した感情がたくさんあった。


その切り離したことによって

生まれた見えない不満分子が

社会には点々とあって、

年月を経て、歳も重ねて増幅して

気がつくとなんでこんな

世知辛くなったんだろうと。


不満の根っこが生まれ、

社会全体を含めて、各自がその根を

育ててしまったのだとしたら。


泣く泣く切り離した

感情のほうの根っこも

おそらく、まだどこかに

残っているような気がする。


同じように育てれば

世代を超えてつないでいけば

また花を咲かせるような気もする。


この人情の根っこは

大事にしなきゃいけないって

みんな気づいてるんです。


でも変に成ってしまった

平成時代の感覚によって、

世の中の加速とともに閉じ込めてしまう。


嫌なものが「すぐ」嫌になって

「すぐ」遮断してしまう。


互いの距離感がわずらわしく

遠慮と猜疑心とが入り混じる。


相手に心を預けられない、

心を寄せられない不安を

独りで増幅させていく。


たぶん、なんかできるはず。

絶対できるはず。

うまく言葉でいえない感覚も

共有できるはず。


誰もやりそうにない、

あきらめてるようなことに光を。

誰もやらないことを

誰かがやってみることによって気づく。


気づいて伝えて、

浸透していくまでには時間がかかる。


平成時代のように、

時間を惜しんで進めちゃ

いけないことに気づき

時間をかけて進めなきゃいけないことに、

力を注ぐことも必要ではないだろうか。


映画にはいまをときめく

その地位を築いてきた

俳優さんたちの若いころが映る。


懐かしい顔もたくさん。

あのころテレビも

まだ元気だったなぁとかね(笑)


まだあきらめちゃ

いけないんじゃないかな。

若い人たちに伝えて、つないでいくこと。


お年寄りたちが伝えていくべきことだって

まだたくさんありますよ?


楽なことや、楽しいこと、

便利なことばっかりに

浸ってる場合じゃないですよ(笑)


お年寄りをいい意味で

動かしていくアイデアも大事ですね。


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