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20210619 筏上の盆踊りとレントゲン

――ザザ降り、気圧はすべての視えぬ希望を殺す。敗血の痕にかつての栄光と勝利は藻屑と消えた。こうして遭難と死を繰り返す日々は遺された水のような――と塩の残数をゲームセンター或いは愛亡きふりをする愛という憎悪のホテルの片隅で粉砕するようだ。

 さあ、雨音のままに閉ざされたベッドにカッターナイフを突き刺せば、今にも欠落しそうな爪と決壊した瞳から零れ落ちる「理由なき理由」は今日もまた偏頭痛を催した、ような気がした。

「黒い太陽をつかめ、みえない太陽をプールサイドの少女たちの死体と共に」3階から解き放たれた猟犬について嬉々として話す両親は、全くもって左手のアルコールと閉ざされた瞳孔の目線から震えのアドバンテージともいえぬ、しかしどうして居住地の存在しない私の部屋のような廃墟にいるのか、私のようなわたしにはりかいができなかった。

 私は凍りついた感性のままに盆踊りを繰り返したい!

 太鼓の達人に身を隠せ、ワンミスコールは命取り、革命のないステップが徐々にモノクロームに染まるから! そう叫び散らかす三時間の狂気は、奇数を忌む私の肺病と目視できないシーンに、どうしても「名も無き薬」を求めたくなる衝動に駆られてしまう。またこうして繰り返す7年前の記憶は、私があの時………おけば、ぼんやりと崩れゆく自らの感性と外見に沈むことなく、メデューサの筏の悪夢をみることもなかっただろう?とスルツェイのチケットがほくそ笑む。

 いつまでも藻掻いてばかりの空はあまりにも鴉にみちていて、消えゆく花火の思い出すら、僕もあなたも忘れてしまうから、夏はただ、海辺のカフカを砂の城に埋めるべきだというのは、紛れもなくルッコラの葉が渇ききった後のストーリーテラーである。

 そう、語り部はいつもマカロニとリブロースを切り裂いた後の貴方と貴女のナイフに遺されているのだと、複雑骨折したマイクスタンドの夢想家は語るが、それでも首を吊ったピエロは、あまりにも爽やかな笑みを浮かべていたんだ。

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