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續・經濟を廻すイベント作成

前回の續きとなります。

このゲームにはゲームクリアに關係無いイベントが盛り澤山ですが、プレイヤー各位の好奇心の為、それなりに「所持金を減らす」と云う役目を果たしております。
今回はそのもう一つの一角、即ち「射幸心」について見て參ります。

簡單に申し上げれば「ギャンブル」であります。
古今東西、こう云うものに金が流れていくものです。勿論、日本も例外ではありません。

主人公、賭場に出入りするの巻

前回、吉原で遊んであっと言う間に5,000文もの金を消費してしまったので今回は稼ぎを行います。
そこで江戸城御門外に立ち並ぶ武家屋敷の離れで定期的に開催される賭場に向かうのであります。

江戸時代は賭博は固く禁じられておりましたが、町方役人の手の及ばない武家屋敷や寺社地等で密かに開催されておりました。
家主にも「寺銭」と呼ばれる場所代が得られる仕組みだったので彼らは博徒やヤクザ者等とも巧く附き合っていた様です。

尚、この博徒に必須の知識が暗算であり、中盆と呼ばれるディーラー役は勝負の度に客の出した掛け金を即座に計算して配當等を出さなければ「盆が暗い」即ち「ボンクラ」と呼ばれた様でございます。

また上等な賭場では飲食のサービスも行われており、この時に出された物が「鉄火巻き」だったと傳えられております。
賭場は「鉄火場」と称されていた事もありますが、西洋のカジノでも似た様なサービスがありその時に出された料理がサンドウヰッチだったそうです。

然して主人公も武家屋敷の裏口から敷地の庭を通りヒソヒソと離れに向かうのでありました。

典型的な丁半博打

サイコロ2つを使い、出た目の合計が奇数か偶数かを賭ける時代劇でお馴染みの丁半博打です。
盆を仕切る博徒は晒に入れ墨附き。女壺振り師のグラフィックも片肌を脱いだ状態のものを用意。
客人も浪人、姐さん、中間者と、こう云うところで妙なコダワリが出るものです。

現金を賭けるのではなくコマ札に替えて遊びます。
コマ札は1枚400文(約10,000圓相當)と高額なので賭ける方もそれなりに眞劔になります。

サンピン(地域によってはサンミチ)の丁!
丁と出ました!!

1回の勝負で400文、現實の10,000圓單位で金が動くのでミニゲームとは言えそれなりにスリルが味わえます。
博打は外れると痛い目を見るから面白いのです。
しかし、刀は鞘に収める時が一番難しいのと同じ様に物事には潮時と云うものがございます。程々に稼いだら引き上げるのがコツです。
1回遊ぶ毎に寺銭として400文徴収さるのも考えておかなければなりません。


イマドキはこう云う不確定要素のあるイベントで失敗したら直前に記録した所から何回でもやり直しが出來る所謂「ゆとり仕様」であり、ギャンブルイベントの面白さもその分だけ興ざめてしまうのですが、その辺の對策も作っております。

この江戸ではセーブする度に奉行所や番屋に行って手数料を支払うので氣輕にやり直しが出來ない様になっております。
しかもそれらのセーブポイントは賭場のある武家屋敷から離れていると云う嫌がらせの様な仕組み。
それなりに距離があるので徒歩で向かうとセーブするのも時間がかかる上に向かう途中で空腹状態になってしまい途中で飯屋へ食事に行く羽目になる、或いは時間經過で衛生度が下がって風呂屋に行く羽目になる(汚いなりだと役所へ入れません)等と云った事も度々起こり得ます。現實は甘くないのです。


尚、この丁半博打ですが、近年のRPGツクール經驗者ならば一度は必ず通る道「変数」を使ったイベントとなっており、これを理解して使いこなせるか否かが初心者と中級者以上の境目かと思っております。
古典的な「スイッチ」しか知らなかった當時中學生だった私も変数と云う新しい仕組みを理解するのには少々時間を要しました。今では懐かしき思い出です。

丁半博打はサイコロ2つの和を判定する訳であります。
それぞれのサイコロに1から6の乱数を設定し、その合計を出し、更にそれを2で割って余りが出るか否かで丁半を判別しております。

當たれば賭けたコマ札の数だけ持ち札を増やし、外れればその分だけ減少させます。
そして最後に持っているコマ札の数に400を乗じてその額の所持金を増やす仕組みを取っております。
コマ札は持ち越しが出來ず、賭場を出る際に全て返却となります。
また、コマ札が途中で無くなってしまった場合は強制的に退場となります。


斯くして少々のお金を稼いだ主人公は博打に勝って調子に乗り、盛り場へ向かうのであります。

今、江戸で評判の「よけろナッパショー」

浅草界隈の見世物小屋に行くとこの様な出し物が行われております。
これは舞台袖から出てくる色々な物をタイミングよくEnterキーを押して避けるミニゲームなのですが、全部避けきると豪華な景品が出てくる催し物です。
避けられないと傍に居るベジータから「冷静に対処すれば捉えられん様な相手ではなかろう!」と注意され、更に失敗すると「動けないサイヤ人など必要無い!」と言われて失格となってしまいます(その度に昔のコメディ番組等でよく出てきた笑い声が鳴ると云うオマケ附き)

以前戯れに描いた「サイヤ人」のグラフィックが思わぬところで役に立ちました。


見世物小屋を樂しんだら丁度近くなので以前訪れた明神様へも出向いてみます。

福引と云う名の「ガチャ」

境内の露店ではこの様なお店もあります。
1等から5等の景品が貰える福引です。
これをイマドキの言葉で「ガチャ」とか言うんだそうですが、こう云うのは的屋にでもなったつもりで作るのが面白いのです。

3等以上で賣價50文以上の景品が貰えます。1等賞は豪華な品物でこれを換金すれば大儲けです。
直接お金を貰う事は出來ないのですが、景品は賣却すればお金になります。これをそのテの人達は「三店方式」と呼ぶんだそうな…。

さて、そんな福引ですが主人公が引いた品物は…

定價5文の「火種」

5等賞の火種…。今で言う100圓ライターです。
暗闇を照らすアイテムですが、現時点は全く必要ではありません。しかも換金したところで賣價はたったの2文と完全な「ハズレ」です。

これも「変数」を用いたイベントでありまして、實は内部的には5等若しくは4等の出る確率が全軆の60%となっております。
つまり損益分岐となる3等以上が當たる確率は40%。その内、高額景品となる2等以上が出る確率はそれぞれ10%しかありません。
各景品の出る確率を單純に1/5にしなかったところが厭らしいのです。

今度はおみくじ

氣を取り直して巫女さんに話し掛けておみくじを引いてみます。
これも「大吉」が出れば良い事が起こるのですが…

〽ツ~いて、ツ~いて、ツキまくる~♪
それが私だ…、ラッキーマ~ン♪♪

「大凶」を引くとランダムで状態異常になると云うとんでもないおみくじ…。

ついてね~…。

主人公は急に「腹痛」になってしまいました。
毒状態の輕微なものでHPが逓減していきますが放っておくとタチが惡いのでこの後、近くの町医者で金を出して治療してもらう事になってしまいます。

〽傳説~の、コンビニ♪探しに~行こう♪

何やら胡散臭い店ですが、小學校の時に何故か朝礼で唄う事になったあの歌の思い出が蘇ります。

怪しげな品物が勢揃い

とりあえずこれを賈う事に致します。男のロマンだからです。
早速讀んでみると…

かの『ヴァーミリオン』も眞っ青
勉強になります
Hの知識がいっぱい

こう云う物にお金を費やすのが「人間のサガ・フロンティア」と云ったところであります。

尚、その他の品物も揃いも揃って碌な物は無く「かみのよろい」は和紙を塗り固めて作った雑兵具足と云う名前の弱い防具で「きょじんのぼうし」は野球帽でこれを持って境内を出ようとすると「はんしんふぁん」と云う人に絡まれて取り上げられてしまいます。
「まどろみのけん」は旅籠の宿泊券なのですが定價800文の品物を1,000文で賣りつけているのでボッタクリです。


やはり博打をやる様なのは碌な事にならないのだと、このゲームは教えているのかもしれません。
しかしこう云うイベントは作る分には面白いので色々時代劇から外れたものばかりになりましたが、江戸は斯くも娯楽に溢れた繁華な町なのです。
クリアに必須ではないイベントと雖も遊んでいる人を飽きさせない工夫が必要かと存じます。

さて、次回からは眞面目に探索して事件の真相を掴むべく頑張って參ります。
主人公の冒險は續く…。

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