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『すずめの戸締まり』を見たら、展望台に行きたくなった。

一番最近見た映画は何だっただろうか。
それさえも思い出せないほど、私は普段から映画というものを見ない。

ジブリ作品も3つぐらいしかちゃんと見たことがないし、ハリーポッターシリーズに至っては、未だに1つも見たことがない。
こういうことを周囲に言うと、結構な確率で驚かれるし、なんならたまに引かれたりもする。そのリアクションを見る度に「世間の人は私が思っているより映画を見ているんだ」と思い知らされるのであった。


そんな私が、久しぶりに映画館へ行った。

久しぶりに見る作品として選んだのは『すずめの戸締まり』
『君の名は。』は見たことがあったので、新海誠監督作品の絵の美しさを知っていることもあり、前から気になっていた作品だった。


期待通り絵はとても綺麗だし、内容も色々と考えさせられたり感動したり、見に行ってよかったと思える作品だったが、その中でも特に印象に残ったシーンがある。

内容にはあまり触れないでおきたいが、訳あって主人公の鈴芽が東北へ向かう場面がある。
その道中、一緒にいた人がそこの景色を見て「綺麗」だという。
「ここが、綺麗…?」その言葉に疑問を持つ鈴芽。

その様子から、過去に鈴芽の目に映っていた景色は、今とは比べものにならないほど綺麗だったのかもしれないと思った。

その瞬間、私は「もっと色んな景色を見に行かなきゃ」と強く思った。
映画を見ている最中にその気持ちがどんどん膨らんでいき、焦りすら感じていたほどだった。

普段はほとんど意識していないけれど、私たちの生活は常に災害の危険と隣り合わせ。いつ何が起こるか分からない。
毎日歩く通学路。大切な人と見た夜景。いつか見たいと憧れている絶景。もしかしたら、その全ての景色が明日にはなくなってしまうかもしれないのだ。

『すずめの戸締まり』を見て、その儚さを感じずにはいられなかった。
そして、それらがなくなってしまう前に目に焼き付けておきたいと思った。


それから数週間後、千葉県にある銚子ポートタワーへ行った。
積極的に行ったことのない場所へ行くタイプではなかった私。銚子ポートタワーは、行ってみたいけれど遠いからと、なかなか行く決心がつかなかった場所だった。

しかし、『すずめの戸締まり』を見ている途中で絶対に行こうと決意している自分がいた。
そして、その決意を行動に移したのだった。

東京駅から高速バスに揺られることおよそ3時間。窓の外を流れていく知らない土地の景色に、体感的にはもっと遠くに向かっているようにも感じた。

銚子ポートタワーからの景色

人生で初めて見た銚子の風景。どこまでも広がる青い海と空。
とても綺麗なその景色に、夢中で写真を撮ったり時間の許す限り眺めたりして癒された。
確かに遠かったけれど、行ってよかったと思えた。


その2週間後、勢いで北陸にも行った。
この旅では、初めて行く2つの展望台を訪れた。

まず向かったのは、富山県小矢部市にある「クロスランドタワー」

クロスランドタワーからの景色

目の前に広がるのどかな風景。広い田んぼの中に家や施設がぽつりぽつりと建っている。
自分が住んでいる地域や都会の景色、海沿いにある展望台からの景色ともまた違う、これまでに見たことのないような景色が広がっていた。
この日はあいにく土砂降りの雨だったが、雨が降って遠くの方が霞んでいても、ここから見える景色はきっと素晴らしいのだろうと分かった。


翌日は福井県の「東尋坊タワー」へ。
芦原温泉駅からバスに乗って向かった。

東尋坊タワーからの景色

これまで海沿いの展望台にはいくつも行ったことがあるが、それらとは少し違う雰囲気が感じられる場所だった。
似ている景色はあるけれど、全く同じ景色はこの世界にひとつもない。
そこに行かなければ見られない景色、味わえない感動が必ずあるな、と思えた。


生きているうちに見られる景色は限られている。
でも、自分が積極的に動くことによって、その数を何倍にもすることができると思う。

『すずめの戸締まり』に背中を押されて行った展望台からの景色はどれも素晴らしく、本当に行ってよかったと思えた。

これらの景色が見られることは、決して当たり前ではなくて、もしかしたらもう二度と見られないかもしれない。後になって、見られなかったことを後悔したくない。
だから私は、もっと素敵な景色を沢山見るためにこれからも展望台に行くことにした。

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