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【朗読雑記】旧字旧仮名でみると物語の雰囲気が違うなぁ……というお話(新美南吉『カタツムリノ ウタ』)

青空文庫でふと見た、新見南吉さんの「カタツムリノ ウタ」というタイトル。表示してみると全文カタカナという、旧字モードだった。

深くも考えず、目がそのまま読もうとする……が、何かしら違和感を感じてしまった。旧字旧仮名で表されたこの文章は、どこか訳して読むような感じを与えるのだ。

これをぼ~とみているとどこか不思議な感じがしてきたので、気分のままにちょっと音読して、「アソビ朗読」としてyoutubeにあげてみた。(とはいえ、ちょっとした気分のまま読んだ、怖ろしくオカシなシロモノなので、4月中には非公開にするつもりなのだけれど……。(本当はとっくに非公開にしているはずだったのだが、noteに"これ"を書きかけになっていて、せめてこちらの公開時にはyoutubeでも公開モードにしておこうと、まだ公開中)

https://youtu.be/Yefzz1aDtCY

そしてラストに、こんなアソビ読みをしたきっかけをも読み込んでみた。

それがこれ――、

が、そこ(ラスト)まで聴いてくださる方はほとんどいないのだという現実に後で気づいたのはご愛嬌かお間抜けか――(w)。

(逆にすべきだったかな……(´▽`;))

なんにせよ、旧字で読むというのは、新字に慣れ親しんだ身には何かしら別の”効果”があった。後で意味がしみとおると、どうという違いもないのだが、初見において文字だけみていると、どこか違った印象を受けてしまったのである。

ちょっと、この「カタツムリノ ウタ」

を、新字新仮名に直してみる。

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ある あさ 王さまは、石の かべに 一ぴきの カタツムリを 見つけました。カタツムリが つのを ふってるのを みて いると、王さまは、子どもの じぶん、何だか、カタツムリの うたを よく うたった ことを おもいだしました。
「でんでん 蟲々 つの 出せや だったかなあ」と、いろいろ 考えたが、ちっとも その うたは おもいだせませんでした。
「お前たち、でんでんむしの うた しらないか」と、おそばの ものに きいても、
「しりません」と いって くびを かしげて います。王さまは、
「でんでん むしむし」と 口の 中で いいながら、にわを ぐるりと まわって きました。それでも、おもいだせないので、とうとう おこって、カタツムリを つぶして しまおうと した とき、ふっと おうさまの こころに、
「でんでん ムシムシ つの ふれよ、夜あけに、ぬすっとが やって くる」と いう うたが、うかびました。それと 一しょに、その うたを、よく うたって 下さった、やさしい お母さんの ことも おもいだしました。
 そこで 王さまは、カタツムリを つぶさないで、青い はの 上に そっと のせて やりました。
******

当たり前だけれども、すごく普通…。
新見南吉さんらしい普通のミニ童話で、間違ってもああしたフザケタ(?)読み方をする気にならないことは確かだ――。

ちなみに「(現在の)日本語を読む」という行為は、言葉を左脳で理解するだけでなく、右脳でもって、図形としても理解しているのだそうだ。

カタカナだけの文字というのは、左脳だけ、文字文字文字文字文字文字文字……ということになる。

日本語、奥深き――かな。

おしまい

”サポート”してもらえたら、自分のしていることにほんのちょっとでも”価値がある”ような気になれて、人生癒されます……。