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御法度落語 おなじはなし寄席!落語の日SP「桃太郎」対決・感想前編


江戸前の実力派…柳亭小痴楽と、上方落語から桂三四郎が登場。次世代の落語界を背負って立つ東西の若手二人が『桃太郎』で競演。番組ナビゲーターは、落語をこよなく愛する千原ジュニアと元落研の雨宮萌果。
二人の落語家も交えたトークでは、落語をより楽しめる貴重な情報も盛り沢山です。
(以上 公式HPより)

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よっ、待ってました!
前回の2時間スペシャルから一年。
前半は"落語界の桃太郎"、若き勇者の真っ向勝負で幕開けなんて、粋な演出である。

【先攻・柳亭小痴楽】
ヒョロッとした若旦那のイメージがある小痴楽師匠、少しふっくらした? 幸せ太りかなと思ったら、お父さんになった事を枕でご報告。

ちょっと前までは、どうしても"痴楽師匠の息子さん"のイメージがあったが、父親という立場が落語にどう反映されるのか。
そんな期待を持って見ていた今回、父親が子どもに語る場面をいつもより注視してしまった。

子どもに諭される父親の様子は、相変わらず抜けていて元気である。子どもの方も「仕方ない父ちゃんだなぁ」と思いながら、そんな父親が大好きなのだ。
仕方ない父親と小賢しい子ども。このパターンは「初天神」や「真田小僧」など定番であり、老若男女誰が聴いても面白いと思える。
少子高齢化が進む一方の昨今、今後の日本の親子関係は一体どうなっていくのだろうか。
願わくば、この落語のように"微笑ましくも仕方ない"親子関係が続いて欲しいと思う。
そんな事を思わされた、小痴楽師匠の一席だった。

【後攻・桂三四郎】
三四郎師匠の落語を初めて聴いたのだが、とにかく斬新!
枕の「宝塚音楽学校の卒業公演」から笑ってしまったが、外国人を登場させるそのアイデアに恐れ入りました。同門の桂三輝さんの存在から良い影響を受けているのか、素晴らしい化学反応を見せてもらった気分である。

年号の明治・慶応・早稲田、地名の尾張・名古屋・愛知など、ある意味くすぐりだらけの桃太郎。さらに「鶴の恩返し」「さるかに合戦」など他の昔話を出してくるなど、もう反則スレスレの面白さに笑い転げた。
しかし荒唐無稽に見えた数々の伏線を、きっちりとまとめ上げたオチは流石である。
さらに同郷・神戸出身という事を知り、これまで三四郎師匠をノーマークだったことを大変申し訳なく思った。いつの日か、喜楽館で生の三四郎師匠を聴くのが今後の目標です。


【アフタートーク】
・この番組に出る事が決まってから、小痴楽師匠は何度か代演に入れてもらって「桃太郎」をさらってきたそうで。
そんな勉強熱心な姿勢、流石です。

・疫病による寄席への影響について真面目に語る小痴楽師匠。これからの落語を背負う覚悟を見た気がした。

・そんな小痴楽師匠の横で真剣に話を聴いている三四郎師匠の姿。高座での面白姿と対照的で素敵でした。
ぜひ、文枝師匠を超える落語家になって頂きたいです。
(師匠が言及していた「50代で入門した女性」って、誰なんだろ?)

以上、とりいそぎ感想の前編という事で。
後半の感想は後日改めて投稿します。


 

 

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