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新聞記者 (Netflix)

森友学園や関係者が自殺されたニュースについて、報道されていた時は実際よく解らなかった。
世間知らずな首相夫人が夫の威光を背に自分勝手な要求をし、それに乗っかったキャラ強めの学園側がなんかやってる、その程度の認識しかなかった。
しかし、コレを見て「ああ、そういう事だったのか」と納得した。
この作品はあくまでフィクションだが、事実はほぼこういう事なのだろう。とにかく、解りやすく見る意義のある名作だと思う。

解りやすいストーリーは、視聴者が作品を理解するための最低条件だ。そこに有名どころをキャストに揃え、スピーディーな展開で引き付ける手腕はエンタメとして最高である。更に現実に則した社会的なテーマを掲げていれば、ほぼ完璧。凄い作品を観てしまった、制作サイドに大感謝である。

述べたい事は山ほどあるので、少しずつ進めたいが、まずはキャスト。

①綾野剛は素晴らしい!
同じように社会的正義を扱ったテレビドラマ「アバランチ」でのモジャモジャ頭のアクションヒーローとは正反対の今回。藤井道人監督は、彼の演技力がよほど気に入っているのであろう。ここまで対局な役柄を完璧に演じ分けられる俳優は貴重である。

②横浜流星目当てで見始めたが、彼の役柄は一般的な視聴者に一番近い。「あまり新聞を読まないネット頼りの若者」が偶然事件の関係者となり、その後どう生きていくのか。ここにも"私たちのこれから"が重ね合わされている。ただの堅い社会派ドラマで終わらないのは、この役あってこそ。若い視聴者が見る事を意識していたとしたら、これも藤井監督のナイス采配である。

③米倉涼子と寺島しのぶ
同世代の女性が一つの事件と対照的に関わっている、と同時に同じ立場でもあるという深い設定。ここにもドラマを深く見せる工夫がある。ほぼノーメイクに見えるシーンもあり、リアリティもあった。

④ユースケ・サンタマリア
胡散臭さや腹立たしさ、全ての負の感情を一身に集める存在感は圧巻。小物感アリアリなのに謎の権力を持つのは、政治家のバックアップがあるからだろう。が、不要になったら即自殺または海に遺棄されそうな予感までさせるのが、スゴイ。


こういう作品は多くの人に見てもらいたい。
忖度のないNetflixに、期待と尊敬を込めて今後も応援したいと思う。

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