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「映像の世紀 バタフライエフェクト〜モハメド・アリ 勇気の連鎖〜(ドキュメンタリー)

1954年、12歳だったアリが愛用の自転車を盗まれたことがすべての始まりだった。怒りに燃えたアリはボクサーを志し、無敵のチャンピオンとなる。その言動は、世界を大きく揺さぶった。ベトナム反戦運動を燃え上がらせ、オリンピックを揺るがす表彰台での黒人差別への抗議をもたらし、史上初の黒人大統領誕生へとつながる。世界を敵に回しても信念を貫いたアリの勇気は、世界を変えたのだ。貴重映像でたどる勇気の連鎖の物語。
(以上 公式HPより引用)

🔸モハメド・アリ = "強かったボクサー"程度の認識しかなかった私は、この番組を見て自分の無知を後悔した。なぜなら私は、彼がベトナム戦争当時、その戦争に反対だと明言した唯一の人物だと知らなかったからだ。

愛国心に燃えたアメリカ人の多くが、ベトナム戦争の為に徴兵され、戦地に送られ、生命を落とした。それを不思議に思わない空気の中、アリはたった一人でそれに反対した。

「なぜ俺が知らない土地に行き、ベトコンと闘わなければならないのだ。俺はあいつらベトコンたちに何の恨みもないんだよ」

さらに、「貧しい黒人のアメリカ人が、白人上流階級彼のために戦争に行かされている。そんなシステムを政府が作っている」とも言った。

同調圧力に負けがちな日本人には考えられない、凄い主張だと思う。結果的にアリはこれをきっかけに、ボクシング王者としてリングに立つことを阻まれた。干されたのだ。

命の危険も顧みず自己主張する姿は、真のヒーローだといえるだろう。しかも味方無しのたった一人で、アメリカ中を敵に回しての正面突破だった。

アリの言動に感激したと同時に、何故こんな真っ当な事実を皆が意識しなかったのか、そこも疑問だった。まさに今、ウクライナでは凄惨な事態となっている。ほぼ同じ民族で親の敵でもない相手を攻めに行く事に、ロシアの兵士はおかしいと思わないのだろうか?そう思ってくれたなら、戦争にまで発展することはなかったかもしれない。

🔸さらにこの番組では、アリの言動に感銘を受けたバラク・オバマ元大統領にも言及されている。オバマ氏の執務室には、リングに仁王立ちするアリの写真(本文の見出し写真)が掛けられていたというのだ。

たった一人の勇気が、次の勇気に連鎖する。これがまさに"バタフライエフェクト"である。モハメド・アリが蝶のように問題を提起し、蜂のように私たちの意識を刺激したと言ってもいいだろう。

次は刺激された私たちが、次の行動の呼び水となり、連鎖を繋いでいかなくてはならない。


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