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コーヒーの焙煎でふと思う(ムラ

コーヒーの焙煎を再開して2年ほど経つ。

 それまでは10年間、フジローヤルの煎っ太郎いったろうを使って焙煎をし、カフェバーでコーヒーの提供をしていた。
開口1箇所の円筒アルミドラムはムラ無く良く煎れ、特に壊れることもなく長期に渡り焙煎をしてくれて優秀なマシーンだと感じていた。ただ1度に500g上限と言うのがネックではあった。

 そして田舎に移住をして真っ先にやろうと思ったのは再び焙煎だが、
店を畳んだ時に店内什物類は全て手放した為、まずは焙煎機を作ってみるかとなり、煎っ太郎を使ってた上での不満点などを反映し、自作に及んだ。

現在コレを2年程使用しているが、コレも特に不具合なく、1kgの焙煎が出来る。

飴色の良い年季が入ってきました

 前置きが長くなったが、焙煎というものは多岐にわたる。
お手軽に網カゴで煎るのもあれば土器で煎るものもある。
基本は簡単に言うと生豆を火で加熱し、1ハゼ→2ハゼと経過する中で何処で終了して好みのロースト加減にするか。浅煎りから深煎まで、どの銘柄の豆をどのローストにするか、コレは正直好みの問題であるし、時代に依っても若干変わる。
自分は現在、マンデリンとコスタリカを焙煎しているが、昔ながらの人なのでマンデリンは油が軽くテラる位の深煎が好きで、それを販売している。
コスタリカは中煎りでフルーティーさを出してキャラ分けしている感じである。

 ローストには段階があり、
ライト→シナモン→ミディアム→ハイ→シティー
 →フルシティー→フレンチ→イタリアン
と、だんだん色が濃くなる。
と同時に味もドッシリ、苦味も深みも増す。

 大きな高価な焙煎窯等は、焙煎時の温度や排気等のコントロール、焙煎時に出る薄皮(チャフ)の処理をする機能などが付き、狙ったローストの範囲に集約することが可能だったりする。それでも生豆の大きさや水分量の差により投入した生豆を完全に同じローストにすることは難しいのだが。

 ところで、私の自作の窯は網製ドラムでオープンドラム的な感じだが、
下に置くコンロの位置と焙煎機の傾斜によってムラが出る。
最初はこのムラを無くすために位置決めのテストをして、概ねムラ無く焙煎できるポイントは見つけたのだが、

マンデリン深煎

ある時ふと思った。
確かに、例えば<フレンチロースト>を狙った時にシティー〜イタリアンまでの煎り具合が混じっていたらどうだろう。
コレは多分失敗と思ってしまうかも知れない。
性能の良い窯であればあるほど、豆の品質のばらつきを疑ったり、機器のトラブルを疑ったりするかも知れない。
豆の品質は問題外だが、これを意図的に出来たとしたらどうだろう。
ピンポイントのロースト具合は勿論従来のやり方だが、幅のあるローストは
更に味に広がりが出るのでは無いかと思い、ムラのあるロースト豆でコーヒーを飲んでみた。

・・・格別に美味くなる。という訳ではなく、美味いと感じるのはそれこそ個人差に寄るのだが、やはり風味の立体感が増えた印象を受ける。
言うなれば「マルチロースト」とでも言おうか。
<TOPの画像はコスタリカをその様に焙煎した物>

自作焙煎機

ピンポイント焙煎をしている方には「そんなのはただのムラだ!邪道だ!」と言われかねない気もするが、そもそも生豆のばらつき無くし、ピンポイントローストの振れ幅を限り無く減らし、努力している焙煎士が居ることも確かだが、ピックアップに寄るロス、若干イメージからずれた焙煎をした時のストレス等を想像するにあたり、こう言う焙煎があっても良いのかなと思い、最近試行錯誤している次第であります。

それではまたお会いしましょう。

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