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支援学級の子の進路

夏休みだから時間がある
だから考えてることを書いてみる

私はいま小学校で特別支援学級の自閉症情緒障がい学級の担任をしています。
特別支援学級とは、いわゆる地域の小学校のなかにある学級で、特別な配慮を要する児童が所属しています。1クラスの人数が最大8名までです。
特別支援学校とは異なり、地域の小学校にあるので、卒業後は地域の中学校に進学する場合がほとんどです。

私の娘は広汎性発達障がいの診断を受けています。娘が小学校に入学する前にそれがわかって、自分の知識不足をなんとかしたくて、学校事情もあって6年前から特別支援学級の担任をすることになりました。

勉強しました。必死に。
果たして特別支援学級とはどんな学級なのか。
通級指導教室ってなんなのか。
発達障がいってなんなのか。
どんな制度があって、行政からはどんな支援が得られるのか。
医療機関との連携について。
薬はどんなものがあってどんな効果があるのか。
メリットとデメリットは。
どんなふうにアセスメントして、それをもとにどんな支援をしていけばいいのか。
卒業後の進路や将来はどうなるのか。
特別支援学校教諭二種免許もとりました。

そして学んだことを実践、工夫、また学ぶの繰り返し

そして分かってきたこと。
いっぱいあるけどとりあえず一つ

それは自閉症情緒障がい学級に所属する子どもとその保護者は、いわゆる健常児と言われる子どもと保護者よりも早く、将来のことを見据えて動かないといけないということ。
その子が将来の夢をもっていてももっていなくても
早めに考える必要があるということ。
どういうことかというと

まず、公立の中学校は特別支援学級がありますが、
高等学校には特別支援学級はありません。ある自治体も存在しますが多くはありません。義務教育ではありませんからね。

特別支援学校は、視覚障がい、聴覚障がい、病弱、肢体不自由、知的障がいのどれかに該当しないと入学できません。
なので、知的遅れがなくて自閉症情緒障がい学級に所属している子どもは特別支援学校にはほぼ行けません。
なので、公立か私立の中学校へ進学することがほとんどです。
進学のタイミングで支援学級から通常学級にいくパターンもありますし、そのまま支援学級に在籍するパターンもあります。私立は支援学級はないところがほとんどじゃないかな?
通常学級にいくのであれば6年生のわりと早い段階で就学支援委員会を経る必要があるため、5年生のうちに方向性を固めておいた方がよいでしょう。WISCなどの心理発達検査も5年生のうちに受け直しておくことが望ましいです。
6年生の終わり頃とかに、「もうすぐ中学生だけど、中学校からは通常学級に行かせたいんでお願いしますねー」とか突然言われても対応できません。

支援学級のままいくか、通常学級にいくか、どちらにせよ中学卒業後の進路を考えておく必要があります。
文部科学省は中学校卒業後の進路についてちゃんとまとめてくれています

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/04/22/1415964_10_2_1.pdf

中学校を卒業した途端に、健常児の子ども達と同じ土俵に立たされます。
高等学校へ進学するなら同じように高校受験をしないといけないんです。
そう考えた時に懸念すべきことがあります。
それは地域の中学校の特別支援学級が高校受験に対応してくれるかということ。内申点がちゃんとつけられる体制が整っているかということ。
小学校と異なり、中学校は教科担任制です。全教科の免許をもった先生はいません。たぶん。
小学校は全ての教科を1人の教員が教えられますが、中学校はそうはいきません。
高校受験したいならほとんどの授業を通常学級で交流の状態で受けないといけなくなる可能性があります。
え、それじゃあ特別支援学級に在籍する意味ある?って感じです。

これは自治体や中学校によっても異なると思うので確認が必要です。

つまり、中学校卒業後の進路をどう考えているかによって、相談先や相談内容も確認すべきことも、様々なことが変わってくるのです。
小学校や中学校だけじゃなくて教育委員会に相談しないといけない場合もあります。
知的障がいがあって、特別支援学校への進学を希望するなら、教育委員会とは別に、特別支援学校の教育相談も受けておかないといけないなんてこともあります。で、その申し込みは小学校を経由して、担任の先生に申し込んでもらわないとダメみたいなパターンもあります。私の所属する自治体はそうでした。

で、こういうことを教えてくれるところがありません。
小学校の先生ですら知らない場合もあります。
支援学級の先生でも知らない先生たくさんいます。
下手したら管理職でも知らないかもしれません。
自分も初めは知りませんでしたから。

つまり、保護者、親が自分で調べないと、知ろうとしないと情報は入ってこないかもしれないんです。

そしてそれが手遅れになったとき、選択肢は減るんです。なくなります。
時間は経ちます。まだ◯年生なのか もう◯年生なのか
ただなんとなくこのままでいいやーって過ごしてると、「えっ?うちの子高校受験できないの?」「えっ?うちの子特別支援学校行けないの?」みたいなことが起きるかもしれません。

お子さんと、将来について、ちゃんと時間をとって一緒に考えて一緒に調べてあげてください。
どんな大人になりたいのか。
どんな仕事をしたいのか。
そのためにどんな選択肢があるのか。
どんなことをしないといけないのか。

冷たい言い方をすると、先生はその子が卒業した後のことは気にはしますが、関われません。
その子が将来どうなったのかも知りません。
今は全力で関わりますがあくまでも他人なんです。

ずっと気にして関わっていけるのは親だけなんです

とは言うものの、なかなか分かってもらえません。心のどこかで、いつかなんとかなる、そのうち大丈夫になるって思ってしまうんです。
なんの根拠もないただの願望。
親とはそういうもんだと思います。
でも、進学できない!就職できない!本人も親も困った!ってなった時、既に僕らは助けになれません。異動しててその地域にはもういないかもしれません。

とんでもなく長文になりましたが、
将来の子どもとその親のためにもとても大事だと感じたことでした。

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