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あなたは何故、「書く」のか?( はやか先生『不幸な時し書けない女のnote』の感想 )

 note創作大賞が盛り上がっていますね。
 本日の時点で( 2023年6月12日 )、27889件もの作品が応募しています。
 自己紹介だったり、自分がハマっていることだったり、ゼロから世界を作り出す物語だったり、多種多様な作品が並んでいます。ううむ、どの作品も書いてくださった方、お一人お一人のドラマを感じて素敵ですね。

 じゃあ、皆さんが「書く」理由は何でしょう?
 自己表現の為かも知れませんし、自己実現の為かも知れませんし、好きなものの魅力を発信する為かも知れません。
 僕自身もはっきりと「これだあ!」という答えがまだありません。

 なんで僕がこんなことを考えたのかというと、noteアカウント「はやか先生」こと五十嵐早香さんのnoteを読んだからです。
 まずは、こちらを読んでみてください。

 いかがだったでしょうか?
 決して、大きな話はしていませんし、難しい言葉や論理も使っていません。
 けれど、短い文章の中で、何かを「書く」理由だったり、noteという場所についてだったりを考えさせられる内容だと僕は思います。
 
 まず、彼女が書く時について。
 それは少し「負の感情」がある時。
 不安、焦り、悲しみ。
 そんな「負の感情」と皆さんはどう付き合っているでしょう?
 身体を動かしてストレス発散する方もいれば、源氏を3代に渡って滅ぼすという方もいらっしゃるかも知れません( 去年の大河ドラマの見過ぎ )。
 彼女の場合は、この「負の感情」が生まれた時、文章が書けるようになります。幸せだと書けない。なんとも皮肉な話ですよね。「頑張って」不幸な状況に自分の心を持っていかねばいけないというのは、読んでいるこちらからしたら、ちょっと申し訳ない気持ちになります。

 文中に「過去の負をリサイクル」という表現がありますが、色んな辛い思い出を冷凍保存して、うまく創作に使っているところが凄いですよね。ある意味、小学生の頃にされたいじわるへのポジティブな復讐だと思います。

 「書く」という行為。
 それは、楽しくないけれど、いつかまた頼ることになるもの。
 彼女はそれを「腐れ縁」と表現します。
 
 いやいや、「書く」のなんて毎日、みんなやってんじゃん、色んなSNSで毎日、「仕事がだるい」とか「今日はスタバの新しいフラペチーノ飲んだ」とか「推しが尊い!」とか書いてんじゃんという方もいらっしゃるかも知れません。
 きっと、その書くと彼女がいう「書く」は違うんだと思うんです。
 すぐに「いいね」や「スキ」が付いたり、バズりたいという承認欲求の為に書いたりするのとは違う行為ということですね。
 読んでくれる誰かのために行うこと。
 苦しみながら「頑張って」生み出す行為。
 それが「書く」。
 きっと時間がかかって面倒だと思いますし、心が乱れるようなことも頭に浮かぶかもしれません。でも、そんな彼女の心のフィルターを通して生み出された物語がやっぱり僕は好きですし、これからも「書く」ことを止めてほしくない、とちょっと謝りながらお願いしたいです。
 彼女が「負の感情」をコントロールして書いたものが気になる方は、是非、他の作品も読んでみてほしいです。
 そこには、いま流行りのスカッとしたり、傷つかなかったりという要素はないですが、創作した彼女と同じように「負の感情」に寄り添う珠玉の創作物やエッセイが並んでいますから。

 いつか、彼女が辛いことがあった時に、この「note」という場所で「書く」という行為に戻ってくるように、僕も明日も「note」という場所に戻ってくるでしょう。
 ある時は誰かの投稿を読んで、何かをじっくり考えたり、時には傷ついたり。ある時は自分で文章を書いて誰かの考えのヒントになったり、誰かの思い出を呼び起こしたり。
 あなたの「書く」理由は何でしょう?
 noteという場所にやってくる理由は何でしょう?
 きっとこの創作大賞の作品一つ一つに、27899通りの答えがあると思います。
 明日もnoteという場所で、それを見つけた気になったり、やっぱり分からなくなったりしながら、僕の答えを探していきたいと思います。
 やっぱり、「書く」ことから生まれるものたちが好きだから。


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