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SKE48 チームS「どうでもよくない」のMVが持つ楽しさの伝播について

 スポーツには大きく分けて二つのタイプがあると思います。
 一つは競技型のスポーツ。文字通り順位を誰かと競うスポーツですね。それに対して、もう一つは、エンジョイ型のスポーツ。楽しむためのスポーツです。
 具体的にはマラソンとランニングの違いを思い浮かべていただければと思います。
 走って順位やタイムを追求していくマラソンのレースと、ライフスタイルの中に入れて走ることを目的にしたランニングは同じ「走る」という行為でも違います。

 今回、紹介するSKE48のチームSの「どうでもよくない」のMVは「踊る」という行為の楽しさを認識させてくれる作品になっています。個人的に、SKE48のカッコよさは、直線を描くダンスだと思っていたのですが、この曲では曲線を連想させるダンスになっているんですね。こういう表現も見せてくれるとは、と驚きました。あと、曲調が凄く素敵です。ランニングのように暮らしの中に入れておきたいリズムなんですよね。身体がリズムに乗りやすいといいますか。
 まずは、聴いてみましょう。

 いかがだったでしょうか?
 メロディとメンバーたちの笑顔で少しポジティブな気持ちに僕はなりました。
 歌詞に関しては、初めて聞いた時は、「非常手段」とか「何歳の頃に戻りたいか?」と本当に同じ作詞家と思うぐらい緩い内容だと思ったんですが、世の中には面倒でも「どうでもいい」で済ませられるものとそれで済ませちゃダメな、ちゃんと責任を持って選ばなきゃいけないものもあるよね、という内容だと僕は感じました。
 ということで、歌詞は「愛のホログラム」の方が僕は好きですが、MVとメロディに関しては、実はこちらの方が好きでしてね。かつて、チームSには「猫のしっぽがピンと立っているように」というスチャダラパーのBoseさんとコラボした名曲がありました。日本語ラップ好きとしては、コラボのお手本のようなライムとバースが続くのですが、すごく生活の中に置いておきたい名曲でしてね。インストで聴いても凄く良いんです。あと、渋谷系好きだった人にはたまらないメロディですよね。

 僕としては、この曲がチームSに来た時のような「良い曲もらったなあ」という喜びが「どうでもよくない」にはあります。
 さて、このMVの素晴らしいところは、まず映像から伝わってくる「踊ることの楽しさ」です。みよまるがヘッドホンで聴いているメロディからダンスの動きをイメージします。それを大学のクラスメイトらしきよこにゃんやるーちゃん、まりんちゃんに踊ってみせたところ、そこから思いついたるーちゃんが踊り、更にそれを見てイメージが広がったまりんちゃんが振り付けを新たに加えていく。このイメージの伝播がMVが終わるまで続いていきます。自分たちが楽しいと思うことを見せて、それを受け止めて、次のイメージに広がり、やがて、循環してみよまるのところに仲間たちが完成したダンスの振り付けと一緒に帰ってくきます。
 最後は完成した振り付けをみんなで楽しく踊って終わるんですが、観終わった後、思わずMV監督は誰かクレジットを探しました( 残念ながら、今のところはまだ不明です )。
 なんというか、凄くインターネット的なんですよね。
 ある人が創作物をアップしてそれを他のクリエイターがn次創作していく。最初はnの中に2が入るでしょうが、それを更にアップデートして、nが3になっていく。その良い面が学校の中で小さく循環して素敵なダンスになっていく。良いMVだなあ、と観ていて思います。

 最後にMVの中のこの辺りが僕は好きだよ、というところを何か所か箇条書きで書いておきましょう。

・1番のサビの「そんなそんなそんな」のとこの赤堀君江さんが今回のMVで一番素敵でした。多分、1分20秒ぐらいから。

・今回、衣装が素敵なんですが、特に井上瑠夏さんと中坂美祐さんが似合ってると思いました。

・よこにゃんなら、あのレベルのドミノでもサーフェイサーを吹いて、ヤスリで削って、その後、仕上げの塗装をするんだろうなあ、と観ながら思いました。よこにゃんのアメブロでプラモのテクニックを学んでいます。

・坂本真凛ちゃんの3分21秒頃の走り方を見て、思わず、「か、かわいい!」と思わず声が出てしまいました。これは狙って出来るタイプのものではないと思います。このMV、実は坂本真凛さん推しの方にはたまらないものになっているのではないでしょうか?

・そのあとの3分22秒頃からの大サビ前の振り付けが一番好きです。リズムに合わせて身体を動かすんですが、そこに静と動のどちらもあって、「三池監督版『13人の刺客』のメイキングで松方弘樹が言ってた、本当に良い殺陣は静と動があるってこういうことじゃん!!」と気づきました( 絶対違う )。

・みよまるの安心感。なんというか、「愛を君に、愛を僕に」をダブルセンターで臨んだことで、彼女はまた一回り大きくなりましたね。正直、このパフォーマンスを見せられたら、いよいよ次のセンターは彼女でも良いんじゃない?と思いました。


 というわけで、今回はどちらかというと、MV中心で書いていきましたがいかがでしたでしょうか?ひょっとしたら、この歌詞の柔らかさが暮らしに置くのが丁度良いのかも知れませんね。そう考えると見事に秋元康の掌の上で踊らされている気がしますが、今年のSKE48は良曲が多いので、どんどん外に共有発信していこうと思います。
 「どうでもよくない」はきっと、あなたの暮らしに柔らかい楽しさをもたらしてくれると思います。


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