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【新富町】中央会館

1994年11月4日。
「19:00、新富町の中央会館。ご招待いただいた「立川談志ひとり会」」

 いまは「銀座ブロッサム」というそうです。
 この日のことはよく覚えています。
 前座は立川志らく師匠。
 高座にあがった家元が「二人旅」を始めてすぐに、取材カメラマンのシャッター音に怒って退席。唖然とする観客。降ろされる緞帳。
 何のアナウンスもなく、ただ時だけが流れていくその場に居合わせた900人は、誰も喋らず誰も立ち上がらず、静かに家元のご機嫌が直るのを待っていました。
 およそ20分後。再び緞帳が上がると家元は不機嫌そうに高座に戻ってきて、客に詫びることもなく今度は『文七元結』。
 これがお見事なのはもちろん、最後に「そんなことがあったある日」とつけくわえての大爆笑。拍手喝采とはこのことだという拍手喝采でした。
 いい経験でした。
 このことは当時、ある雑誌にも書かせていただきました。

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