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出典:「「学校へ行けない理由が自分でもわからない」と苦しむ中2女子に鴻上尚史が説いた“学校へ行くこと”と“勉強すること”の違い」(AERAdot)

【鴻上さんの答え】 

先に結論を言いますね。無理して学校に行く必要はありません。
コロナで、世界中の学校がリモートになりました。日本のように、リモートが整備されていない国々では、学校そのものが休校になるところもたくさんありました。 

でも、多くの国では「学校に行かないこと」は問題になりませんでした。問題になったのは、「どうやって勉強するか」です。 

「学校に行くこと」と「勉強すること」は違います。 
それは、「何のために勉強するか?」ということにつながります。 
僕が考える「勉強する理由」は、「素敵な大人になるため」です。
では、「素敵な大人」とはなんでしょうか。
僕は「自分の頭でちゃんと考えられる人」だと思っています。他人の意見に振り回されたり、人の考えをうのみにしないで、自分の頭で考えられる人です。 

それから、経済的に自立していることも「素敵な大人」には大切ですね。社会人としてちゃんと働けること。そのためには、自分を主張しながら、他人と協力できること。 
「素敵な大人」になればなるほど、幸せになる可能性が高まると僕は思っています(病気とか事故とか、予想外のこともあるので、絶対ではないですけどね)。 

そのために、私達は、今、勉強するのです。
以前、知人から聞いた話ですが、ある男の子は、小学生の頃から体を壊してずっと入院していて、ほとんど学校に通えず、教科書はまったく興味が持てず、でも、昆虫好きで図鑑をずっと読んでいたそうです。小学校低学年用の図鑑から、だんだんと専門的な図鑑まで読破して、漢字も文章表現も数学も理科も社会も、全部、昆虫図鑑で独学して、大学に入ったそうです。 

これも「素敵な大人」になるための立派な勉強です。 
でも、今までの「ほがらか人生相談」を読んでいたら分かると思いますが、昔からの「世間」という考え方が残っていて「学校に行かなくていいんだろうか。みんなと違って平気なんだろうか」と不安になってしまうのです。

これが「同調圧力」と呼ばれるもので、「同調圧力」は、私達が「素敵な大人」になることを邪魔しようとする一番の強敵なのです。
子供が学校に行かないことを受け入れようとしている大人達は、でも、心のどこかで「本当に大丈夫なんだろうか?」と不安になっています。心から「学校に行かなくていいんだ」と納得してないのです。それは、江國さんも大人になれば分かりますが、大人の感じる「世間」と「同調圧力」はとても強いからです。 

でもそれは、「なんのために勉強するか?」ということをはっきりと理解したら、解消できるのです。 
やがて「素敵な大人」になるために勉強するのです。そのためには、「学校」というシステムは、マストではないのです。もちろん、学校というシステムに合う人は通えばいいのです。でも、学校に合わない人もいます。それは、良いとか悪いとか、どっちかが正しいとか間違っている、ということではないのです。

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