ギターボーカルとして歌が上手くなるために〜7年間の独学の記録。

3/18のライブをもって、僕のギターボーカル人生は終了した。(と思っている。)せっかくなので、今まで7年間かけてやってきたことや、意識してきたことを記録しておこうと思う。

歌が上手くなりたい人、ギターボーカルとしてもっと成長したい人は是非最後まで読んで欲しい。

1.大学で軽音部に入るまでの話。

ただ漠然と「歌うのが好き」と思っていた中学生の頃。暇さえあれば友達とカラオケに行きまくっていた。フリータイムで11時に入り、20時まで2人で歌い続けることなどザラだった。次第にもっと上手くなりたいと思うようになり、カラオケで歌った音を録音するようになる。まず、ここが歌が上手くなった第一歩目だったと、今では思う。

歌が上手くなるためには、まず初めに自分の声を心得る必要がある。どんな声をしていて、どんな音程で歌っているのか。そこで、原曲とどれだけの乖離があるのか。
その乖離を埋めていくことが歌が上手くなるということである。そこには最低限の音感が必要になってくるのはもちろん、声の出し方にもさまざまな引き出しが必要になってくる。

高校生になり、やはりカラオケに行きまくることになる。部活終わり、オフの日、1人カラオケ。
1人で行った日は歌ったものを録音をする。
そしてその録音を聴き返す。
ただ、ここで問題が生じる。

自分の歌った録音をずっと聴いていると、気持ち悪くなってくるのだ。なんか、こう、なんとも言えない気持ち悪さ。

それは、わずかな音程のズレによるものだった。それもそのはず、アーティストが音源として出しているものはピッチ調整がされていて、寸分の狂いなく「ド」なら「ド」の声が聞こえる。カラオケには当然そんな機能はなく、出した声はそのままの音で録音されることになる。

そこで僕はカラオケの採点機能で高得点、というか音程正確率にこだわることにした。

とにかく音程。ピッチ。

よく「カラオケは点数じゃないから」とか言う人がいるが、そういう人は大体歌が上手くない。特に、DAMはかなり音程を正確に示してくれるので上達の近道になり得る。(JOYSOUNDはクソ)

録音をして聴いては「次はもっとこう歌おう」など少しずつ修正を繰り返し、友達とカラオケに行くと「お前より歌上手い奴を知らない」とまで言われるようになった。カラオケの点数で言うと93〜97点の間しか出なくなった。(JOYSOUNDはゴミ)

ここの段階で、「自分は歌が上手い」と思うようになってしまい、天狗になって大学の軽音部に入る。
しかしここから、ひどく長い理想の歌声への旅路が始まることになる。

2.初めてのライブをする直前に挫折。

軽音部に入ると、「度胸ライブ」というものがあった。新入生が初めて行うライブのことだ。自分の好きなバンドを先輩や同期と練習して、ライブをする。

僕は念願叶ってback numberのコピーバンドを組み、ギターを持ちステージに立つことになった。

前述の通り、自分は歌が上手いと勘違いしていた僕は、ここで大きなショックを受けることになる。

ライブ会場でサウンドチェックをしていた先輩、と思われる人の歌が衝撃的に上手かったのだ。このときの衝撃は今でも7年経った今でも鮮明に覚えている。なんか、もう、全てが上手い。
声量、ピッチ、裏声への切り替え。しかもそれをギターを弾きながら。朝10時前から軽々しく。
僕はこの先輩には絶対に勝てない。そう思った日の人生初めてのライブは、案の定満足いくものにはならなかった。

カラオケで歌うことと、ライブで歌うことには、大きな違いがあった。1番大きいのは、ステージで周りの楽器の音で自分の声がかき消されること。自分の声が聞こえないとなると音程も取りずらい。もう一つは、楽器の音に負けない大きな声で歌わないといけないことだった。ステージでは自分の声が聞こえずらい時があるので、サウンドチェックの時に「返し」を必ず確認することも大事になってくる。

これらの違いを飲み込み、納得いく歌を歌うために、僕はまたしてもカラオケに通い、以下の3つのことを実践した。

・エコーを0にする
・音程バーの半分より少し上を目掛けて歌う
・腹式呼吸でまっすぐ声を出す

一つ目のエコーを0にするは、歌を上手く聞こえなくする効果がある。エコーを使うと、上手に聞こえてしまい、それに満足することで歌の上達の足手纏いとなる。エコーを0にした生の歌を録音して聴くことによって、より自分の歌の欠点を知ることができる。

二つ目は、「音程バーが合っていればOK」と思っていたものを、「音程バーが合い、さらにその中でも正確にピッチを取る」こと。カラオケの採点はある程度正確だが、音程がわずかにずれていても音程バーが合ってしまうことがある。これだとわずかなズレに気づくことができない。僕は音を下に外してしまうという欠点を持っていたので、真ん中よりやや高めのピッチを意識して歌うことを心がけた。

三つ目は、腹式呼吸。
ライブで歌うのには、まっすぐ芯のある声が必要だった。喉だけの小手先の歌はまず通用しないし、僕が初めてのライブで体験したように一曲目で声が枯れてしまうことになりかねない。そうならないためには、正しい声の出し方で発声しないといけない。

これらの3つをカラオケに通うたびに実践し、自分の欠点を把握することで、少しずつではあるが歌が上達した。具体的には、録音した音源を聴いても気持ち悪くならなくなった。

3.ミックスボイス

ミックスボイスとは、地声と裏声の間の声のこと。
中学生の頃は、裏声すら出すことができなかったが、ミックスボイスなるものは高校生の頃にマスターした。

地声だけの歌は、喉にダイレクトに負担をかける。
そして、それはたとえ上手く歌えていたとしても継続することができない。ライブ中に声が枯れる、高い声が出ない、などの事象が起きる。

それを解決する唱法がミックスボイスと腹式呼吸だ。

これが難しい難しい。。
ミックスボイスは感覚的なところが大きいので文字にするのは難しいが、僕は自分の口の先の小さな空間に声をぶつけるようにして出している。

そして、ミックスボイスと腹式呼吸を少しずつ会得してから、ライブ中に声が枯れることがなくなった。

4.ライブ前の「調子」の作り方

いろんな技術を少しずつ手に入れ始めていた僕だが、ライブになると練習通りに歌えないということが多々あった。その大きな要因として、喉の調子が安定しないことが挙げられた。

これを解決するためには、もう、本当に、たくさんのことを実践した。その中でも特に大切なことを列挙していこうと思う。


・鼻呼吸
喉の調子を保つために、これが1番大事なことになってくる。口で呼吸すると喉が乾燥するので、特に寝る時に鼻呼吸を意識して寝る。これだけでも声の安定はだいぶ保証される。僕はほぼ毎日マスクをして鼻呼吸で寝るようにしている。

・加湿器
これも大事で、乾燥は喉の大敵。加湿器×鼻呼吸×マスクでほぼほぼ完璧。

・禁酒
これが1番、人類にとってキツいことにはなってくるが、やっぱり酒は喉に良くない。ライブ前一週間は控えた方が良い。

・ストレッチ
ライブ当日は、できるだけ早く起き、ストレッチをする。胸をそらし、声の通り道を作る。歌は運動とほぼ同じなので、徐々に体を作っていくことが必要。

・声出し
ライブ当日は声出しのためのカラオケは必須。
低い声、真ん中の声、高い声、裏声、すべてを綺麗に出せるようにしてからライブに向かう。


主に上記の5つだが、これを一つだけでも実践するだけで声の調子はだいぶ変わる。自分の調子の整え方を確立してからは、ほとんど調子が悪い状態でライブに向かったことはない。
「今日は調子が悪かった」は準備不足の言い訳でしかないので、調子が悪いのも歌の実力のうちだと思う。


5.歌を上手く聞かせるコツ

歌を上手そうに聞かせるには、いくつかコツがある。これも列挙していく。

・強弱をつける
歌詞の一行の中に、波をつけるようにする。


・語尾をプツっと切らない
少し上級テクニックになるが、語尾をだんだん音量を小さくするようにする。

・息を入れる
息を多めの声にするとうまそうに聞こえる。でも、発声的な観点から言うとあまりお勧めはできない。

6.ギターボーカルのギターの部分


歌うことについて長々と書いてきたが、ここからはギターボーカルの「ギター」の部分にも少し触れていきたい。

ところで皆さんは、自分の音楽のルーツはなんだろうか。

僕のルーツはコブクロ。小学生の頃にハマり、その影響で高校生からギターを始めた。もちろん、アコースティックギター。自分の好きな曲をギターで鳴らすのは、たまらなく気持ちいい。大学に入る少し前にはエレキギターを購入し、夢の軽音部生活に心を踊らせた。

そうして、あの「度胸ライブ」の前に部室で練習をしているとお節介な先輩が「もうちょいゲインあげた方がいいんじゃね?」と言って、僕が使っていたアンプを勝手にいじった。
生まれてこのかたアコギしか弾いてこなかったので、エレキの音色にはなんの興味も知識もなかった。
なんのことやら、とその時はやり過ごしたが、もしあの時の自分に会えるならギターの音色もギターボーカルの大切な要素だぞ!と説教したい。

コピーバンドをやる以上、コピー元となる音源を忠実にギターで再現しなくてはならない。それはたんにコードだけでなく、音色も含まれる。エフェクターを揃え、アンプのツマミを1ミリ単位でいじるのはなかなか大変だが、その1ミリで大きく音が変わるのもまた奥深い。
ギターボーカルとしてステージに立つとき、やっぱり歌に集中したい。そのためには、ギターは体で覚えるくらいまで練習した方が良い。ライブ本番は、よく見積もって練習の8割くらいの出来になる。それも見積もって練習では完璧にできないことには、ライブの成功はない。

歌も、ギターも、100%の状態まで準備をしてライブに臨み、動画を何度も見直してダメだったところを次のライブに活かしてほしい。


いかがだっただろうか。
僕は軽音部に入ってからの7年間、歌にはこだわりを持ってやってきた。少しでもこれを読んだ人の歌の成長に繋がればと思う。

ちなみに僕の歌は、YouTubeで「おびちゃんねる」として公開しているのでよければチャンネル登録をお願いします!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?