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スプラトゥーンはなぜ麻薬なのか。

どうもM.Oです。
皆さんスプラトゥーンは知ってますか?
Nintendoが販売しているシューティングゲームで現在発売中の「スプラトゥーン2」はNintendo Swich向けソフトで世界累計売上1000万本を達成した超人気ゲームです。
かつてのシューティングゲームにありがちだったミリタリー的要素を排除し、水鉄砲や筆、バケツなどをモチーフにした『ブキ』でインクを塗りあうというのが基本コンセプトになっており、全年齢対象の超健全ソフトです。
私もスプラトゥーンのプレイヤーでして、そんなに上手ではないなりにボチボチプレイしています。
今回はそんなスプラトゥーンについて書き散らします。

1.スプラトゥーンという麻薬

まずはこちらがスプラトゥーン2のAmazon商品ページのURLです。

さて。楽しそうな商品紹介が並んでいる下方に今回問題とする箇所があります。レビューの欄をご覧ください。以下に印象的なレビューをいくつか引用します。

ゲームの内容については、みなさん書いておられるので、少し別の視点から書こうかと思います。
結婚と同時期にこのゲームを買いました。
とても穏やかで優しかった夫が、ゲームをしながら暴言を吐くようになったのはこの頃からです。
スプラトゥーンはチーム制で、勝ったら自分のおかげ。負けたら仲間のせい。というストレスと時折ある勝利による高揚感を中心としたゲームです。
勝率は決して高くないにも関わらず、その勝利による高揚感が病み付きになります。
ただし、負けるとイライラします。負け続けるとキレます。勝つまでやります。勝つまで寝ません。終わりません。
そして問題なのは、勝つことよりも負けることの方が多いんです。つまり、イライラすることの方が確実に多いんです。
夫はウデマエXで、プレイ時間は1500時間を越えています。
ウデマエXをキープすることが、ゲーム内においてどれだけの価値があるのかは分かりませんが、少なくともその1500時間以上もの間、私は横で夫の暴言を聞いていました。その時間は、夫への愛情を冷めさせるには十分すぎる程でした。
新婚生活は、スプラトゥーンにより、冷えきったものへとなりました。
穏やかで優しかった夫は、暇さえあればゲームをして、イライラするようになりました。ゲームができない時は、ネットでプレイ動画を見るようになりました。
夫婦の会話も減りました。一緒にテレビを見ることもなくなりました。出掛けることもありません。
夫を見る目が変わりました。夫に話しかけることが恐くなりました。いつ矛先が自分に向くのかと怯えるようになりました。
ゲーム一つでこんなに生活が変わるとは思いませんでした。
「いやいや、そんな大袈裟な。」
「貴方の夫に問題があったんでしょ?」
「自分の夫は、妻は、子供は大丈夫。」
そう思うなら、是非購入して下さい。
今ある日々の生活に、細やかな刺激をきっと与えてくれることでしょう。
我が家はスプラトゥーンによって、家庭が崩壊しました。

小さい頃は家庭の方針でゲーム機を買ってもらえなかったため、友達の家で遊ぶ64に強い憧れがありました。
良い大人だしな…と迷っていたのですが、最近このソフトと合わせてスイッチを購入しました。
初めはとても感動しました!映像もキレイだし、卓上サイズでオンラインで知らない人と遊べるなんてすごいなあ…と本当にワクワクしました。
なかなか上手く操作できずにイライラすることもあったものの、ランク20くらいまでは夢中でプレイしていたと思います。
ただ最近はゲームをしていても、もうやめよう、やめようと思う毎日です。
理由の一つとして、他の方も沢山書かれていますが、楽しさよりもストレスが勝ってしまうという点があります。プレイを重ねるうち、キルされたり負けたりすると、自分でも信じられないくらいに怒り狂ってしまうようになりました。こんな風に感情がコントロールできないのは、自分のゲームの腕前や捉え方に問題があるのか…と悩んでいましたが、インターネットのレビューを見ると同じように感じている方が沢山いましたので、個人の性質以外にゲームのシステムによる所も多分にあるのだと思います。
これまでゲームにあまり縁がなかったものの、「所詮ゲーム」などという事は言いたくありません。どんなものでも、深く思考し、打ち込めば、本人の糧となる物が学べるのだと考えています。(堅苦しいですが…)
実際、スプラトゥーン2を遊んでいても連敗したりなかなか上手く立ち回れなかった時、イライラするよりかは自分の何処が良くなかったか考えようと努めたり、上手い人の動画を観て勉強したりしました。自分が上手になれば、もっと楽しくプレイできると思ったからです。
ところが、このゲームのシステムは向き合おうとすればするほど、心を折られるというか…なんだかがっくりきてしまうことが多いのです。例えば、
・「次はこうしてみよう」とナワバリバトルに参加するも、試す間も無く自分からは程遠い上位ランクの人にボロボロにされて終わってしまう事が多々
・意欲的にプレイしてぼろ負けしてしまう試合もあれば、なんとなく勝ってしまう試合も多々ある
などなどです。
ゲーム初心者で、オンライン対戦なら当たり前の事なのかもしれませんが…
ようするに、自分の行動が結果に関与していると感じられないのですね。
考える→実行する→結果から学ぶ
というプロセスが成り立たないのです。
この成り立たなさはやはり楽しさよりもフラストレーションの方を多く産みます。 (もちろん、これを楽しめる方は別です)
お上手な方は、私のような意見に対して「上手くなればいい」と仰るかと思います。私もはじめはそう考えていましたが、毎日義務のようにコントローラーを握るうちふと「なんで楽しくないことをしてるんだろう」と我に帰りました。
上で言ったように、何かに深く打ち込もうとする時、もちろん楽しい事ばかりではないと思います。しかし、ゲームをする大半のユーザーはプロではなく、様々な年代の様々な生活をされている人々です。
そうした人々に提供するゲームが、「楽しさ」ではなく「フラストレーション」による中毒性で縛り付けるものだとは…昔憧れだったゲームとはこんなものだったのか、と今は悲しい気持ちです。


いかがですか...。家庭が崩壊した、とか感情のコントロールを失ったとか、ほんとかこれ...?みたいな内容のレビューですね。実はこの過激なレビューがTwitterでバズり話題になっていました。
このレビューを見たツイッタラーの反応も様々ですが、このレビューに賛同するような意見も多くみられ、大いに誇張されているところがあるにしてもスプラトゥーンが高い中毒性を有していることは間違いなさそうです。
実際いちプレイヤーである私も、始めて一週間くらいでプレイ時間が40時間に達し、その後も文字通り寝食を忘れスプラトゥーンに没頭する日々を過ごしました。
なぜ人はスプラトゥーンに没頭するのか。適当に考察してみようと思います。

2.なぜ人はスプラトゥーンに没頭するのか。

①どこまでいっても「勝てない」構造

スプラトゥーンというゲームにおいてプレイヤーは何を目標にするのか。色々考えることができると思いますが、最も大きいのは「ウデマエの向上」ではないでしょうか。

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ウデマエはスプラトゥーンの中で「ガチマッチ」という形式のマッチングで実力が近いプレイヤー同士をマッチングさせるために用いられる指標です。ウデマエはC→B→A→Sと上がっていき最終的には最上位であるウデマエXに到達します。
さて、ここで質問です。


Q.このウデマエというレーティングシステムにおける勝者はだれか?

A.このレーティング上に勝者はいません。
クソQ&Aですみません。でも勝者はいないんです。
ウデマエX以外のすべてのランクに属するプレイヤーは常に一つ上のランクが存在します。つまり自分の属するランクは常に相対的な「敗者」に当たります。
人間を焚きつける上で最も効率のいい手法の一つがこの敗北状態を作り出すことであるというのは皆さん容易に理解できるかと思います。「お前は敗者だ」とレッテルを張られてしまえば負けたままでは終われないというのが人間の性です。ましてそれが元々勝敗を争うゲーム上でのこととなればこの効果は覿面です。
このレーティングシステムに焚きつけられたプレイヤーは一つでも上のランクを目指してバトルに明け暮れるわけです。
そして晴れてレーティング上の最上位者であるウデマエXに到達できたとしても勝者になることはできません。ウデマエXに到達したプレイヤーはランクの代わりに「Xパワー」というスコア制の新たなレーティングの下競い合います。つまりガチマッチに参加する全プレイヤーは何らかの敗北状態に置かれ、常に上を目指して競い合うわけです。
どんなにプレイが上達しても、いやプレイが上達すればするほど目標は高くなる一方、より強くなりたいという依存的な欲求に襲われます。


②偶然性の魔力

スプラトゥーンは基本的に4対4の計8人のプレイヤーがランダムでマッチングされ、チーム戦によってバトルが行われます。このマッチングのシステムもスプラトゥーンの麻薬的魅力を高めるエッセンスなのです。

さて、少し唐突ですが、人はなぜギャンブルにハマると思いますか?
様々な回答が想定される問ではありますが、その答えの一つは、「偶然性が強く関与する結果に少しだけ自分が干渉する余地があるから」です。
スロット、ルーレット、ポーカー、麻雀、競馬......なんでもいいのでギャンブルと呼ばれるもので最もイメージしやすいものを考えてもらえばわかると思います。どのギャンブルもほぼ運ゲーなのに最後にちょっとだけ自分が干渉し結果を変えることができる要素が含まれているのに気付けるはずです。
ルーレットであればどの穴に球が落ちるか、競馬であればどの馬が何着になるか、これらは程度の差こそあれ大きく運が関わる事象です。しかし勝ち負けは自分がどんな選択肢を取るかに依存し、そこに運の要素はありません。

これはなんだかとてもスプラトゥーンに似ていませんか...?
スプラトゥーンは前述の通り4対4の計8名で行うチーム戦が基本です。つまりチームには自分以外のプレイヤーが3人必ずいます。そしてこの3人はコントロール不可能な野良プレイヤーなので彼らがどんな動きをし勝敗に寄与するかは完全に運ゲーです。
スプラトゥーンのバトルには引き分けはありません。つまり自分が真に平均的な立ち回りをした時の勝敗はちょうど50%。勝ちと負けが同じ確率で起こり、自分が上手く立ち回れば勝ちの方が多くつき、逆に下手に立ち回れば負けが多くつきます。
そう、スプラトゥーンは勝敗を決する構造がギャンブルにそっくりなんです。勝敗はマッチングが完了した時点で8割ほどが決まっていて最後のほんの少しの選択が自分に残されているのみです。
この勝敗に自分が関与できる度合い、めちゃくちゃ絶妙じゃないですか?
勝敗を決するファクターがあるとして自分の他どうしようもないチームメート3人がいる時点でまぁ単純に考えれば75%は既に決まってるわけですよ。そこに相手の4人、ブキの相性なんかも加えたら自分が勝敗に関与できる度合いって多分20%もないんじゃないですかね。こんな微妙な度合いなら

勝ったら自分のおかげ、負けたら仲間のせい

こんな心理になりますよね...笑。
ギャンブルや宝くじで大事なのは「あとちょっとで勝てたのに」と思わせることらしいですよ--こう思ってる間は”まだ負けてない”ので


③成長の実感と難易度のエスカレート

由緒正しきゲームで世界中の人間を沼に陥れてきたタイトルの代表として2つ挙げることができます。それはスーパーマリオブラザーズとテトリスです。これらのゲームはアクションとパズルという全くの別ジャンルですが、プレイヤーを熱中させるある要素が共通しています。それが成長の実感と難易度のエスカレートです。
この2つのゲームの特徴として挙げられる共通点は①チュートリアルがない②ゲームが進行するにつれ段々と難しくなっていく、この2点です。
どちらのゲームもプレイヤーは「とりあえずやってみて」という感じでゲームの中に放り込まれます。操作はそれほど複雑でないのでチュートリアルがいらず、やっていく中で操作やルールを覚えていきます。そしてやればやるほどに段々と難しくなっていきそれをクリアしていく過程でプレイヤーは成長を実感します。
成長の実感はプレイヤーに正のフィードバック、所謂「快感」を与えます。そしてチュートリアルがなく、難易度がだんだんと上がっていくゲームは短い周期で多くの回数正のフィードバックをもたらします。
一方ある程度まで難易度が上昇していくと我々はマリオでもテトリスでもクリアすることができなくなる時が来ます。この時一転して我々に負のフィードバック、所謂「不快感」を与えます。

さて不快感を与えられた我々はそこでゲームをやめてしまうでしょうか。いいや十中八九やめられないでしょう。それはなぜか。この不快感を乗り越えた先に成長による正のフィードバック、「快感」がもたらされることを繰り返し覚えさせれれてきたからです。

そしてこの構造、やはりスプラトゥーンそのものですね。スプラトゥーンのチュートリアルはかなりお粗末なもので、ほとんど何も教えてくれないに等しいものです。そしてプレイヤーはぶっつけ本番の形でナワバリバトルへと放たれます。
最初のフィードバックは本当に小さなものです。ブキを使って塗りができたこと。イカで移動すること。相手に攻撃が当たること。キルが取れること...........と小さな成長を通して正のフィードバックを積み重ねていきます。

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↑キル取った時にインクがはじけるエフェクトやバン!って音もフィードバックの強化に寄与しているっぽい

そして全てのプレイヤーはある程度プレイに慣れた辺りのタイミングでガチマッチに参加できるようになります。ここから難易度のエスカレートが始まり、あるところまで到達すると勝てなくなります。すると我々は負のフィードバックを受けることになります。
ガチマッチで負けが多くなってきたりキルが取れなくなってきたりしたときのフラストレーションはもうほんとに言葉にならない類のアレで、まさに「不快」なんですよね。いや、不快ならやめればいいじゃんと思うんですが、まぁやめられません。それもこれもここまでに至る過程で何度も何度も受けてきた正のフィードバックの”せい”(激寒)
我々はこの難しさを超えた先により大きな快感が待っていることを知っているのでプレイする手を止めることができません。まさに麻薬。


3.Nintendoとかいう売人

なぜスプラトゥーンが麻薬的魅力をもって人々を沼に引きずり込み離さないのか、適当に、ある程度ロジカルに分析したつもりなんですが、いかがでしたか?

スプラトゥーンはそもそもアクティブプレイヤーが多くないとゲームとして成り立たないという弱点があります。だからプレイヤーにより長い時間、何度もプレイしてもらう必要があります。中毒性が高いことはもはやスプラトゥーンにとっては必須条件なんですよね...。
WiiU以降のゲームはオンラインの接続対戦などが主流になっていますから、プレイヤーがどんな状況でゲームに没頭するか、逆にどのようなタイミングでゲームの手を休めるか、オフラインだと得られなかった大量のデータの収集分析が可能となりました。
このようなプレイングデータは所謂ビッグデータと言われるもので、これをうまく使えばプレイヤーがより熱中しやすいデザイン、ルール、エフェクトなどを作ることが容易になっていると考えられます。
つまるところNintendoこそがスプラトゥーンという合法麻薬を扱う売人であり、きっと現在もより強力な麻薬の開発に勤しんでいることと思います。

まぁ麻薬だとかいいますが、結局麻薬的魅力を備えたゲームというのは我々プレイヤーにとっては面白いゲームであるわけなので、より良いものが生まれるのは別に悪いことではないんですが、ゲームはあくまでも余暇を過ごす娯楽の一つなのであまり没頭しすぎてもいいことはありません。
適宜適切な距離を取りながら「こちらが楽しんでやってるんだ」くらいの余裕が必要かもしれません。


さいごに

今回の考察は一応出鱈目ではなくて元ネタがあるのでそちらを提示しておきたいと思います。​

『僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた』

最近のSNSとかソーシャルゲームとかECサイトとかは意図してユーザーが没頭し依存するような設計を行ってますよ、というノンフィクションホラーです(大嘘)
ほんとはもうちょっとスプラトゥーンの話も膨らませることができるしそのつもりだったんですがめんどくさくなったので途中でやめちゃいました。
読み物として普通に面白いのと、全部読むと如何にスプラトゥーンが精巧かつ巧妙に作られた麻薬であるかがよくわかるので気になった方は読んでみてください。

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大学生です。
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