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消費税の正体(2)

消費税導入にあたり中曽根総理大臣の頃、「売上税」という言葉で導入しようとしていました。
それは世の中の事業者たちの反発が大きく、売上税反対デモなども起き、選挙で自民党が敗れ廃案となりました。
なぜ売上税がそんなにダメだったのか。
売り上げにかかる税という言葉が受け入れられなかったわけです。事業者という特定の層に焦点が向けられたことで、反対運動の際に強固な団結力を生み出しました。
しかし「消費税」という言葉になり、あたかも事業者の負担ではなく消費者ひとりひとりが払うものだと認識されました。負担も広く浅くというイメージになりました。
消費者はバラバラの個人であるため、組織的な反対運動という形に結びつきにくくなり、消費税は導入されました。

消費税を広めるとき、財務省は中小企業庁を含めいろんなところに説明に行きました。
「消費税が3%になるということは、今100円で売っているものを103円にしていいということなんです。あなたのところは申告もしなくていいし、納税もしなくていい、何にも変わりません。103円になった分儲かるんです。」と言って消費税を宣伝しました。
当時は売上高が3000万円までなら免税事業者として認められていました。かなりの会社が免税事業者として認められたため、売り上げが上がるだけですよ、何を反対する理由があるんですか、と宣伝したわけです。
今でこそ益税だのネコババだのと言っていますが、元々は財務省が消費税導入のためにそれを売りにしていました。

実際は、100円のものが103円にできるというような単純なことではありませんでした。価格というものは需要と供給と力関係で決まるという経済の当たり前のところ、そこを全部無視した議論で進め、進めた後で事業者を攻撃するような形になってしまいました。

消費税は消費にかかる税金ではなく、付加価値にかかっている税金になります。
総売り上げから原価を引いた部分を付加価値と呼ぶとしたら、消費税はそこにかかっています。
消費税というものの実態は付加価値税であり、払っているのは消費者ではなく事業者です。

消費増税の一瞬は、相当分だけ価格を上げやすいです。
ただ、コスト要因はいくらでもあって、小麦の値段が上がったかもしれないし、他の税金が上がったかもしれない、それでも消費税だけがすごく特別に扱われています。
日本には50種類の税金があり、企業が納める税金はたくさんあります。消費税に限らず、納税義務者が企業である以上、売り上げを原資にして払っています。
企業の払う税金の中には免税になるものがたくさんあります。一定の規模以下は免税、申告も必要ありません、という税金がたくさんあります。
消費税だけがネコババと言われてしまいます。責任が消費者にあるのだと誤解されてしまっているためです。消費税は消費者に責任があるわけではありません。

価格転嫁(※)という言葉も本当はおかしいです。
(※原材料や燃料費などの価格上昇により失う利益を売値を値上げすることによって得意先や消費者に負担させること。)
例えば電力会社の総括原価方式(※)みたいに、コストがこれくらいかかり、利益をこれくらい乗っけます、という金額が通用する社会ならいいです。
(※消費したコストや事業を運営しておくための費用を利益が得られるように算出するための計算方法。)
それが通用する社会では赤字というのはありません。コストに利益を上乗せしたものが価格になっているからです。
全てが総括原価方式で金額が決定されるのなら、価格転嫁という発想もわかります。しかし、いま日本では7割の会社が赤字です。その中で転嫁するとかしないとかいう状態ではもはやありません。
3割引のお惣菜を買ったとします。そもそも金額がある中の3割引にしておいて、消費税を預けたとか預けてないとか、何を言っているのかという話になるわけです。


対談をそのまま文章化しているため、若干話が飛んで取りとめなくなっています。次回でしっかり結論を述べていきます。

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