コロナ渦のレストラン
レストランで働くというのはイギリスでも日本であっても
とてもきつい仕事である。
イギリスでは大体週45時間の勤務になっており
土日出勤は当たり前。休みも決まっていない。
アワリー(時給制度)とサラリー(年俸制度)がありほとんどの
レストランオーナーはアワリー制度のゼロアワーコントラクトで
働いてほしいと考える。
これはお客さんが多い時にはみっちりシフトを入れて少ない時には
帰らされるという労働条件としてはかなりきついもの。
生活に不安があるので2件掛け持ちで働く人も多い。
この度のパンデミックでイギリスはロックダウンとなった。
この時レストラン関係者は悲鳴をあげた。
2020年3月の終わり、料理長はアワリーシフトのスタッフを集め
辛い話をしなければならなかった。
この時、サラリースタッフは国から80%の給料を保証された。
この時私はサラリーで本当に良かったと感じた。
しかしそれからわずか半年でこの考えを改める事となる。
2020年7月にレストランの屋外での営業が始まる。
そのあとすぐに屋内でも営業の許可がでて色々な規制がありながらも少しずつ
日常に戻りつつあった。
その頃、私は更なる昇給と昇進を掛けて転職した。
それが2020年9月5日。
役職は副料理長、年俸25000ポンド。
小さいレストランだが悪くない金額である。
そこで働き始めて1ヶ月たった頃事件は起きた。
なんとレストラン従業員3人がコロナ陽性でクラスター発生だった。
ここで今までものすごくフレンドリーだったオーナーがいきなりサラリーから
ゼロアワーコントラクトのアワリー契約に強制的に変更した。
どうしてそんなことが出来るかというとイギリスでは大体どこの企業も
3ヶ月は仮契約で3ヶ月後契約書は万全な強みを持つ。その3ヶ月前だった。
私は10日間の自宅隔離の間にすぐさま別のパートの仕事を探し、
隔離明けから2件のレストランを掛け持ちで働き出した。
ただそれだけではまたいつロックダウンが来るか心配だったので
自分でもビジネスを始めた。
自宅のキッチンを使いケータリングのデリバリーである。
これが2度3度と起こるロックダウンの間かなり生活を助けてくれた。
この時私はアワリー、ゼロアワーコントラクトでありながら
かなりの収入を得ていた。
しかしそのあと1年この状態が続いたがコロナが落ち着くと
共にデリバリービジネスの売り上げが落ちていき、掛け持ちで
働くことにも疲れてまたサラリーマンに戻る。
今私が考えるのはあの時転職をしなければどうなっていたかということだ。
80%の給料で細々と生活できたかもしれない。
いや、出来なかったかもしれない。
そんな時、自分の能力を活かして人生に何度もないピンチを
チャンスに変えたことがこの先の人生に勇気と自信を与えてくれる
存在になるはずだ。
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