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雑記1 チンピラ児童の夏


198X年 8月某日 10歳の夏休み。

学校のプールで遊び倒して(大量のビート板で船とか島とか作って)帰宅すると16時ごろ。

まだまだ明るいが、友達の家に遊び...に行くには遅い。夕飯..には時間がある...

「宿題をやろう」とは一切思わず。TVは時代劇の再放送かマダム向けの番組の二択。ガキにはちょいとシブ過ぎる…

家には小さい畑があってそこで何となく過ごす。

西日がギッラギラで陽炎がメラメラ…夏が暴れている。


プールで友人から「顔に色を塗って緑とか赤の毒の霧を吐くプロレスラー」の存在を知らされたのを思い出す。

その名もザ・グレート・カブキ。


「殴るとか蹴るとか投げる」では無くて「霧!毒の霧!」という所でドキドキした。当時はその場で調べることができないので妄想は広がるばかりだった。

「こんな感じかしら...」と水をクチに含んで畑に勢い良く吹き出す。何か楽しい...


太陽の位置の関係で小さい虹が出来たので、しばらく強引に楽しんだ。

ふとソコを見ると大きめのアシナガバチが。

おかしなテンションになっていた小坊は「俺が毒霧(水道水)でやっつける!」とハチに勝負を挑む。暇だったのだ。

「刺されたら負け、毒霧(水道水)で羽が濡れて飛べなくなったら勝ち」というルール。今決めた。

アシナガバチも危険なハチだ。勝ったところで何も無いが、刺されて死ぬリスクもある。でもやる。やりたいから。

当時の俺の頭の中はドギツい色の水飴みたいなものがミッシリと詰まっていたのかもしれない。


まぁ多分今もそう変わっては無いが。

ハチに毒霧(水道水)噴射。当然ハチが怒って向かって来た!が、我に策あり。

「ハチに襲われたらしゃがめ」と図書館の本に書いてあった。実践するなら今!

息を殺し不気味な羽音を聞きながらしゃがむ…

………怖ぃ……すっげえ怖い…頭上を飛び回る蜂に怯え「ジッ」とした数秒後、不気味な羽音は消えた…無事!

同時に「うおおお!大丈夫!本!生きてる!おおお!ちしき!」と小坊、更にヒートアップ。

今考えると「自傷行為をして生きている実感」をアレしてる人みたいな感じかしら。違うけどそう遠くないような気がしないでもない。しないでもない。

その後、ソフト毒霧で襲う&しゃがむ…のヒット&アウェイを繰り返す。ソフト毒霧の吹き過ぎで頭がソフト酸欠に。

頭がフラフラし軽い吐き気を感じながらも毒霧を吹く。何がそうさせるんか。

…やがて蜂は飛べなくなった。つまり俺の勝ちだ。危険生物に勝ったのだ(一方的なルールで)

「いい試合だったぜ…」みたいな視線を蜂(とも)に送る。人にはわからない何かは得たような気がしないでもなかった。

フラフラと家に入るともう夕飯の時間。異常なペースでモリモリ平げ、元気よくおかわりした。勝者ですから…

〜〜〜〜〜〜〜〜

…と、いい歳になった今でも夏になると幼少の出来事を思い出す。肝心なことは覚えていないが、こういうどうでも良い事ほど覚えている。

因みに後日2回刺されてその遊びは封印した。

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