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映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』監督日記:106 パンフレット成る!

2022/9/1 晴れのち豪雨。パンフレットが出来た!ウチに京都の印刷工場から1000部届いた。ポスターをデザインしてくれた杉山聖吾さんと2人で作ったパンフレット。本を作るなど初めてのことだ。届いたダンボール箱を開けるとインクの匂いがフワッとしてきて嬉しかった。出版業の人はこの匂いで達成感を持つらしいが、本当だった。

構成を考え、ご登場いただいた方々から寄稿してもらい、自分が感じた登場人物のことを書き、自分のことも書き、樋口理論や自然エネルギーのデータを添え、杉山さんと一緒に編集やデザインを構築していった。

自分は昔からずっとパンフに一言いいたいことがあった。劇場で感動した映画のパンフを買って開くと、必ず“物語”とか“ストーリー”とか“STORY”と大きく見出しが打たれて物語が書かれている。そこで、「ああ、このパンフもおんなじかぁ」とガッカリする。「いま観たばっかだから知っとるわい!」と思いその先を読む気が失せることを何百回も繰り返してきた。
自分がパンフを作るなら、ありきたりのものにしたくなかった。買ってくれた人が作品を思い出しながら、その人なりに心に定着させ、作品の先の未来まで想像する助けになるような本にしたかった。杉山さんはその思いを美しいデザインで形にしてくれたのだ。

ところで、いっぺんに1000部も刷ることは本当に緊張する。誤字があったら、ページ組みを間違えたら、色が思っていたものと違っていたら、、、ect.
今はネットで注文できる実に手軽で安価な印刷システムがあるので便利だが、それでも1000冊も刷ると大きな金額になる。間違いがあったら全部ゴミ箱行きだ。クラウドファンディングでご支援いただいたお金が無駄になる。ドキドキしながら待っていたが、無事に間違いなく、完成した。

“映画的”という言葉がよく使われる。映画とはなんぞや?が学問としても脈々と考察されてきた。
自分が思う“映画的”とは、監督の意思がどこを切ってもみなぎっていることだと思う。TVやCMは、監督の作風がどんなに素晴らしくても多数決を経て完成する。もちろんハリウッド製作のものや日本でも一部の映画では、プロデューサーや出資者の権限が大きくて半ば多数決で作られるものもあるので、決して映画=監督の物ではないのだが、やはり一番反映されるべきは監督の意思である。
今作は当然自分の意思がみなぎっている。そして、このパンフレットにも自分の意思をみなぎらせた。だから本の形をしているけれど、これは非常に映画的なパンフレットなのだ。ぜひ劇場で手に取ってみてください!

<映画公式サイト>
https://saibancho-movie.com

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