見出し画像

映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』監督記:96 ポスター

ポスターのビジュアルは大変重要である。映像作品はTVやパソコン、映写機を使わなければ大巨匠でさえ一人の観客にも見せることができない不自由な表現だ。作品を手っ取り早く知ってもらうにポスターは最強の媒体だ。B2用紙縦使いにどうやって本作を表現するかを考えだすと白い紙の宇宙に投げ出された気分になる。元来自分は広告表現を生業とするCMディレクターなので、グラフィックであっても専門家だ。CMの企画をするように頭を切り替える。
 
テーマは2つ。樋口さんの生き方と近藤さんの生き方だ。映画のテーマが2つもあるのは実は珍しいと思う。しかも作中で樋口さんと近藤さんは交わらない。自分はそこに表現の広がりを見出している。仮に近藤さんの農場に樋口さんをお招きして対談するシーンを作ろうと思えば可能だったが、そんな仕立てをすると映画の存在感は極端にこぢんまりしただろう。そう、2つのテーマが具体的に交わらないカッコよさをズバッ!とポスターで表現することが大切だ。
 
ドキュメンタリーは群像劇が多い。大勢の人がテーマに存在する。だからドキュメンタリーのポスターは登場人物をコラージュしたものがモノ凄く多い。作者はまとまって出来た気になってると思うが、お客さんから見ると代わり映えしないポスターが劇場に並んでいる。自分はそれをカッコ悪いと思う。一瞬で「何だろう?」と魅力的に思わせ、近づいてみたくなるポスターを発明しなくてはアカン。
映画広告を専門とする天才的グラフィックデザイナー・杉山聖吾さんの出番だ。

<宣伝費を募るクラウドファンディング>
https://motion-gallery.net/projects/saibancho-movie

<映画公式サイト>
https://saibancho-movie.com


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?