一九ヘルツの少女 一話
私は、学校が嫌いだ。
理由は単純。いじめられているから。
いじめとは、とても理不尽なもので、主に差別から始まると私は思っている。
ただ、
例外である私が受けるいじめ(差別)は、かなり下衆なものだった。
こんな口調な私だが、決して鋼のメンタルなわけではない。
むしろ豆腐。
ことの始まりは、私が生まれてから、今に至るまで。
つまり天性的なもの。
保育園の頃から、私に対する周りの扱いは酷かった。
「あら、私ちょっと気分悪いかも。目眩が・・・」
「え、大丈夫ですか?休憩してきて良いですよ」
「ありがとう。そうするわ」
私と遊んでくれていた先生が、急に気分が悪くなった。
お母さんは、私のことについて、保育園側に何も話していない。
ただ、喋れないとだけ伝えていた。
はしゃいでいた男児が私とぶつかったときに、不意に固まって泣き出した事例もある。それで気絶した子もいるそうで。
そんな日々が続いて、ついに喋れない私が疑われるようになって、他の園児から隔離されるようになった。親に内緒で。
小学校に上がる時の入学式。
「ぎゃあああああああああああああああ!!!!!!」
私の隣の席の子が、急に叫びだして錯乱状態になった。
「お、お、お、おおおばけ・・・!!」
次々と錯乱状態に陥る生徒たちを見て、私は自分の学校生活に不安を持った。
かくして、この学校の都市伝説の一つに、「ある特定のクラスがうるさくなると幽霊が見える」
という項目ができてしまった。
やがて、教育委員会の調査が入り、また、しゃべれない私が疑われ、調査された。
何も言わなかったので、何事もなかったが、100%私のせいだ。
それを証明する術も、証明する気も、誰にもなかった。
私は、十九ヘルツでしゃべる少女。私はしゃべれないただの陰キャな女。