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これからのライブ配信サービス⑧

 前回に続きますが、集客と収益の分離の話です。

1 ライブ配信成功に必要な3本の矢

 実際どう立ち回るべきかという点を少し解説したいと思いますが、実際ライブ配信をして成功していくためにはやらなければいけないことは何でしょうか?結局のところまとめれば、新規リスナーの「集客」とリスナーへの課金を促し「収益」を上げる仕組みとファンとの「交流」(ファンサービスと言い換えてもいいかもしれません)によるファンの抱え込みと満足度の向上の3つになります。この「集客」「収益」「交流」の3本の矢を効果的に効率的に実行していくこと、が求められてきます。

ライブ配信の三本の矢

  で、実はこの3つをすべて同じサービス内で実施できるようにメジャーなライブ配信サービスは作られています。例えば17やPocochaの場合だとこんな風に機能が作られています。以下のような感じです。

17とPocochaの3本の矢

 個々の機能は一つで複数の役割を持つ物もあるので、配置に異論がある人はあるかもしれませんが、シンプルにまとめるとだいたいこんな感じです。
 このように大手各社は三つそれぞれに必要な機能を提供し、そして他の配信サービスと競争状態にあったわけです。。

2 ゲームチェンジャーのTikTok

 で、ここにTikTokが現れたわけです。
 17LiveやPocochaなどメジャーな配信サービスは集客の仕組みもいろいろ作っているけどTikTokにどうやっても勝てるわけがないんです。ユーザ数が違うから。
 その結果がPocochaのライバーはガンガンTikTokに新規獲得の時間を費やすようになり、リスナー側もそれを理解してTikTokでバズるための支援とかをするようになりだし、ライブ配信サービスにおける集客機能の重要度が落ちたわけです。

TikTok後の世界

 これまではライブ配信サービサーがユーザを増やし、それを集客の機能を使ってライバーにあてがい、そしてそこからライバーが収益を上げるビジネスモデルだったのですが、これからはライバーが集客してそれを配信サービスに連れてきて収益を上げていく形になり、これまでよりライブ配信サービス側の価値の比重が下がるようになります。

 でTikTokを集客の前提に置いた場合、その他のライブ配信サービスって求められる機能が変わってくるのではないかと思っています。
 大きく分けると二つです。
・TikTokユーザから見て移動障壁が低いこと 
・ライバーがTikTokより効率よく収益を上げられること

 この2点を解説します。

3 求められること① 移動障壁が低いこと

 SNSを跨いで移動してファンに応援してもらうというのは障壁が高いです。あるYoutuberが行った実験ではアクティブなフォロワーのうちSNSを移動してまで応援を続けてくれたフォロワーは10%だったそうです。ライブ配信はyoutubeと比べてリスナーとライバーの距離が近いのでもう少し高いかもしれませんが、壁であることは間違いないです。

 それを下げようとしたら必要なことは何か?というと、一つは知名度です。やはり知らないアプリ入れろって言われたら躊躇う人もでてきますよね。
 同時に悪評が立たない努力も必要でしょう。悪い噂のあるアプリはインストールを躊躇います。

 もう一つがアプリの対応範囲です。TikTokはグローバルで、かつボーダーがない作りになっているので、いろんな国のリスナー・ライバーがいます。
 皆さん知ってますか?今週のTikTokのUSAの週間ランキング、9月7日時点で2位はフロリダ在住の日本人女性ですよ。リスナーはほとんど在外国も含めての日本人ですけど。海外に事業展開するかはともかく、海外のユーザもインストールして使用できるようにしないとそういう人達を吸収できない障壁になってしまいます。

 で、このうち知名度のところなんですが、ずっと疑問に思っていることがあります。
 なんで17LiveもBigoLiveもPocochaもEVERY.LIVEも、TikTokに広告出さないんですかね?
 
TikTokってその手法で成功したんですよね。同じ動画投稿サイトであるYoutubeに広告出しまくって、しつこいほどでしたよね。それで知らない人はいないサービスになったわけですよ。
 各配信サービス、魅力的なライバーさんたくさんいるわけで、TikTokっていいライバーもいるけど、有象無象だから全体の平均は高くないですよ。
 だから各社ライバーさんたち使ってガンガン広告出せばいいのにね。それでそれが一巡したら出演権をイベントのプライズにすればいいじゃん。それ自体の効果というよりTikTokユーザに配信サービス名をとにかく知っている状態にするんです。そうすればライバーさんの勧誘もやりやすくなります。
 もちろんただ投稿するだけではなくTikTokに金払って再生回数増やさせる前提ですよ。ただ公式アカウント作って動画置くだけ、なんて馬鹿なことやってもダメですからね。

4 求められること② 効率の良い収益

 当然なんですけど、TikTokとの併用をライバーに考えてもらうのであればTikTokより効率的に収益を上げられる仕組みじゃないと意味がないですよね。
 
 まずは還元率。還元率の考え方は以前にNoteにまとめましたが、これがTikTok上回っていなければ意味がありません。これは最低条件になります。

 これに加えてTikTokはリスナーに課金を促す力が弱いので、そこを補うような仕組みの強化が求められます。イベントとかですよね。

 あと報酬体系もあると思います。今までLive配信をあるサービスでやっていた人が集客をTikTokでやり始めれば、そちらに時間を取られるようになっていきます。ライバーの時間も有限である以上はどうしても配信に割ける時間に限界が出てきます。
 Pocochaなどでは報酬が時給で設定されている(成績により時給が変わる)ものも多くありますが、そうするとどうしてもその上限時間までライバーは拘束されることになるので、今後ははやらないかもしれませんね。時給制って結局は配信成績を時給に見えるようにしているだけなので、あんまり収入の安定とかにはつながらないですし。
 そうすると17やEVERY.LIVEの新体系のような時間とか関係なくギフトからの還元となっている方がライバーの時間の自由度は増えるので今後は喜ばれるようになるかもしれません。

#その意味じゃEVERY.LIVEの報酬体系の変更は正しいと言えば正しいのよね。矛盾するおかしな施策があっただけで。

 このような条件を満たす配信サービスであればTikTokがどんどん成長してもTikTokと組み合わせて使われる配信サービスという立ち位置を確保できるでしょうし、TikTokでフォロワーとかはどんどん伸びているのにギフトが伸びない(=収入が増えてない)という場合はそういう視点で別の配信サービスを組み合わせ使ってみるのもよいのではないでしょうか?

 さて、今回でこの続けてきたこれからの配信サービスの解説も終了です。
 TikTokが覇権を取るのは間違いないとこのシリーズの一番最初でも紹介したように間違いないと思っています。他の配信サービスがどうなっていくべきか?など一つの考えを長々とまとめてみました。

 もしかしたらこのシリーズの続編としてフォロワーさんからの質問などをまとめてあと一回くらい書くかもしれませんがシリーズとしては今回でおしまいです。
 長々お付き合いいただきありがとうございました。

よろしくお願いします。