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元セラピスト・現ライターが考える「美しさ」とは

美しさとは一体何なのだろう、とエステ勤務時代はよく考えていた。

「足の太いのがコンプレックスなんです」
「結婚式までに、とにかく二の腕を細くしたい」
「顔が大きいのが嫌で・・少しでも小顔にしてください」

など、さまざまなお悩みを聞く機会が多かった。
美の基準とは一体なんなのか。
今も絶対的な答えなんてないけれど、私個人としては「身体の美しさとは、循環していること」だと思っている。

例えば、足が太いと言っているお客様の大半はむくんでいるのが原因で、オイルでほぐしてあげるだけでだいぶシュッとした。
心臓から最も離れた位置にある足は、筋肉という血液ポンプが少ない女性は特にむくみやすく、ほぐして巡りをよくするだけで見た目もだいぶ変わるのである。

二の腕を細くするのは足より難しいけど、それでも肩のコリと脇のリンパのつまりをほぐしてあげるだけで、見た目もかなりすっきりした。

顔が大きいと悩む人は歯ぎしりが強かったり目を酷使したり、頭部の緊張が強いことが多い。顔というよりも頭皮がガチガチになっているので、頭皮を時間をかけてほぐしてあげるとお顔の巡りがよくなって、サイズも施術前より小さく見えた。

エステというと高い美容品を塗りたくったり、機械で何かを足していくイメージがあるかもしれないが、私がいたお店が重視していたのは、お客さんの疲労から来る滞りを流してあげること、つまり不必要なものを引いていくことだった。

髪も服もばっちりなのに疲れたお客さんの施術前の姿より、施術後リラックスしてお茶を飲んでいる、目に光が戻ったお客さんを見て「美しい」と思うことの方が多かった。

ライターになった今は「美しい文章とはどんなものか」という問いに、よく想いを馳せる。

今の大変な世の中で、現実を一時的に忘れさせるための文章はよく売れる。
だけどいつの世も時代を超えて愛されるのは、現実に真っ向から立ち向かう勇気を、読者に思い出させるような文章だ。

そうした文章に読み手が心を打たれるのは、書き手が自分のテーマから逃げずに書き切ったときのみ生まれる光によるものだと、私は思っている。その光に、人は美しいという言葉を超えた何かを感じるのだろう。

美しさとは何なのか。ボディワーカーからライターに転身した今もまだよくわかっていないけども、その答えを求める旅路をこれからも歩いていきたい。

最後までお読みくださり、ありがとうございます。書き続けます。