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呪いが解ける、とは具体的にどういうことか

先々週NLPの講座に行ってきて、「強い言葉について」というテーマを扱いました。

強い言葉というのは「お前はバカだ」というように言い切る言葉です。
この「X=Y」という言い切り言葉は、事実であるかどうかは関係なく、言葉として非常に強い力を持っています。

このnoteでもことのは文章教室でも、文章ではできるだけ言い切って書かないことをおすすめしてきました。

脳科学の視点でも同じで、自分に関するネガティブな言い切り言葉、つまり「お前はバカだ」といった言葉は人間の脳の一番奥にある「脳幹」にもっとも強く響いてしまうそうです。

たいてい「君はバカだな」「あなたって本当に何をやってもだめね」「ほんとにお前は女らしくないな」と言ってくる誰かは、たいていその人の局面的なところを自分の見たいようにしか見ておらず、その内容は全く真実ではありません。

しかし他人によって脳幹にぶつけられた言葉は自分の中で
「私はバカなんだ」「僕は何をやってもだめだ」「私は女らしくないんだ」と何回も、場合によっては何十回・何百回も自分の中でリフレインしているうちに、その人にとって真実になってしまう。

この話を聞いたとき思い出したのが、オーケストラをやっていたときよく目にした、打楽器のことでした。

トライアングルが一番想像しやすいかなと思うのですが、打楽器は他の楽器と違って一音を出すと、その音がずっと空間に反響し続けます。そのため打楽器奏者は音を出したらすぐにそれを止めにいきます。

大太鼓はよく簡単な楽器と誤解されやすいですが、よく見ると本当に、身体ごと楽器に飛び込むように音を止めにいかなきゃいけない、大変な楽器なんです。

(再現されてる動画がありました。1:05くらい)

ひどい言葉を他人に言われてしまったとき、言われたのはたった一回だとしても、その言葉を何度も自分でずっと響き続かせてしまうことがあります。

数年前に流行った逃げ恥というドラマの中で、主人公のみくりちゃんは、元カレが別れ際に言い放った「お前、小賢しいんだよ!」という言葉を、その後自分自身で「私は小賢しいから」と言い聞かせるシーンが何度も挿入されます。

みくりちゃんは小賢しいというより優秀で機転が利く女性なのですが、結局最終回まで「私は小賢しい」という間違った真実を、彼女は自分で自分に言い聞かせ続けます。

でも脳幹に強く響く言葉を、何度もリフレインする必要はないのです。
もし繰り返してしまったとしても「大太鼓の音を止めないと!」と急いで止めに行く打楽器奏者のように、急いでその声を止める。これを繰り返す。

他人に傷つけられた過去は変えられないけれど、それ以上自分で自分を傷つける必要はない。

そうやって自分を愛する努力をし続けることで、いつか呪いは解けるのだろうと思ったりしたのでした。




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