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私という国の防衛大臣は、誰でもない私だから

迷惑を掛けないようにしましょう、他人を助けられる優しい人になりましょう。私たちはこんなことを学校や親から習う。この教えが問題なのは、優しい人から潰れてしまうところだ。

優しい人は他人の喜びに自分の喜びを見出してしまうことが多く、自分を犠牲にしてしまう。体調を崩したり予想外のことが起きて初めて「これではいけない」と思ったりする。でも「自分を大切にしよう」と言われても、そんなことは教わってないからわからない。

このことを国に例えている人がいた。
自分を犠牲にして他人のために尽くしてしまうのは、「食べ物がないんです」という他国のために、平気で自分の作物を渡してしまう王様のようなもの、とのこと。

民は「私たちの食べるものがなくなってしまいます」と訴えるが、王様は民の話を聞くということを教わっていないから、民の声を聞くという発想がない。他国のために自国を顧みない王様。しかたがないので民は反乱をおこし、国の動きを封じる・・

うーん、まるで他者に尽くしすぎて身体を壊した私のことのよう。

自分を大切にする生き方をしようと決めても、最初はなかなか目に見えた変化は起きにくい。自分を都合のいいやつ扱いしていた人は戸惑ったり逆切れしてきたりする。断ったり嫌というのは、慣れてないとすぐにはできないものだ。

でも自国を最優先することになれてくると、不思議と他国とのつきあいも変わってくる。本当に自分の国を大切に扱ってくれる国だけが集まってくるのだ。あとは、思い切った決断ができるようになる。

自分は4年前、逗子のアパートに引っ越した。部屋が広いわりに家賃がお安く即決したものの、築20年以上の木造アパートは音の問題があった。

私の隣と下に住んでいる人たちは90歳を超えていて、耳が遠い。寝る前に人の声がないのが寂しいのか、いつも夜じゅう大きい音でテレビをつけっぱなしにしている。
ふっと音が消えた瞬間「ああ、テレビを消してくれたんだ」と喜ぶもつかのま、番組と番組のあいだだったり、CMが入る一瞬だったり、変わらず大きい音が聞こえてきて絶望する。

一度アパートの前で隣人に会ったとき「夜にテレビを見てるんですか」と聞いてみたことがある。ああそうです、朝はラジオ体操に駅の広場まで行ってるんですと返された時は「話し合いは無理だな」と思ったりした。

耳栓をしたり昼間に睡眠をとったり、夜眠れないストレスをなんとかしようとしていた。だって私の安いお給料だとこの部屋がせいいっぱいだもの、我慢しなくちゃと自国の民に強いていた。

しかし先週、大切な文章講座に寝不足で準備をしている時ふと「もう、引っ越そう!」と思った。民の声が聞こえた瞬間、その声を採用することにした。

迷惑はかけないようにしましょう、困っている人は助けましょう。

そう素直に信じている優しい人ほど、自分の民の声をすぐ聴きとれるようにする。王様というのがイメージしにくかったら、防衛大臣といってもいいかもしれない。この世界で最も大事なのは他でもない自分だ。そして自分を守ることができるのは、他でもない自分しかいない。
そう言い聞かせながら引っ越し先を探している今日この頃である。








今日もお疲れ様です。
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明日も適当にしっかりで参りましょう〜〜。




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