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バズるより大切な、表現する上で守りぬくもの

先日投稿した「人はみんな美しいヒレを持っている」という記事。

ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、当初は全く違うタイトルで投稿していました。
その名も「元コミュ障の人見知りが、文章教室を開くまで」。
・・全然質感が違いますね。笑

おとといの夜18時ごろ、私は焦っていました。

書くことで食べていくことを目標に一年前からほぼ毎日noteを始め、少しずつお仕事は頂けるようになっては来たものの、まだまだお家賃やお米代を払えるまでには至っていない。もっともっと注目を浴びるような、バズるような記事を書かなくちゃ!

・・そう思って前述の記事に「元コミュ障の人見知りが、文章教室を開くまで」というちょっと過激なタイトルをつけて投稿しました。
底辺ライターの成長プロセスを書いてますよ~という匂わせ感を出すことで、バズりを期待し投稿したのです。

投稿した後はいつも達成感があるのに、その時の私の気持ちは、なぜか晴れず。

いやいや好きなことで食べていきたいなら、やりたくないこともやらなきゃね!と自分の想いを無意識にごまかし、ちょうどその日の20時からコーチングのセッションがあったので無理やり気持ちを切り替えました。

20時になり、コーチとこれから書く仕事をどうしていきたいかというキャリアについて話をしていたところ、先ほどのタイトルのことがふと頭をよぎり、コーチの深井沙織さんにそれとなく話してみました。

「さっき私『元コミュ障の人見知りが、文章教室を開くまで』って名前の記事を投稿したんですよ。本当はそんなタイトル、つけたくなかったんですけどねえ」

つとめて明るく話す私。すると沙織さんはすかさず

「本当は、どんなタイトルをつけたかったの?」

と聞いてきました。
その瞬間、私の頬を何かが伝いました。背中が震え始めているのを感じながら

「ほんとうは、もっと美しいタイトルをつけてあげたかったんです。でも、どうせ私の書いたものなんか誰も読まないし・・もっとバズらないと、書く仕事で食べていくなんて出来ないって・・思って・・」

しゃくりあげながら話す私に、沙織さんは

「もし仁美ちゃんの文章教室に『本当はこんなタイトルにしたくなかった。でも食べていくために仕方がない。私の書いたものなんか誰も読まない』っていう人が来たら、なんて声を掛ける?」と、痛いところを突いてきました。

鼻水をすすりながら私は「そんなタイトル、やめてって言う。世界中のどこかに、あなたの言葉を待ってる人は必ずいる、って言うと思う」と話し、沙織さんは静かにうなづきました。セッションが終わってすぐに、記事のタイトルを変えたのでした。


「元コミュ障の人見知りが、文章教室を開くまで」というタイトルの方が、きっと閲覧数は稼げたと思います。しかしこの記事で伝えたい内容とはかなり相反しており、でもそうしなければいけないという思い込みが私の中で暴れて苦しくなっていたように思います。

以前、シャネルが広告モデルに有名youtuberのコムドットさんを起用したことがありました。同時期、ディオールが広告モデルに俳優の吉沢亮さんを起用され、ちょっとした話題になりました。

コムドットさんを起用したシャネルの広告


吉沢亮さんを起用したディオールの広告

コムドットさんは面白くて私も好きですし、有名youtuberと組んだシャネルは一時的には売上が上がったことと思います。

しかし「自分をどう見せたら美しく人の目に映るのか」を知り尽くした、その道のプロでもある𠮷沢亮さんの圧倒的美貌の前で、シャネルの広告は霞んで見えましたし、ディオールの世界観に改めて惹かれる想いがしました。

売り上げやバズり、一時的な地名度をあげるためにやりたくないことをやらなければいけないという場面も、人生にはあると思います。

しかし自分の世界観を表現する場所では、売れるのかとか意味があるのかとかは一旦脇に置いて、自分の価値観やビジョンを貫く強さも求められるなあと今回のことで改めて感じました。

時に失敗もしながら、自分の世界を美しく表現していけたらいいですね。

最後までお読みくださり、ありがとうございます。書き続けます。