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「投稿ボタンが怖くて押せない」へのアンサー

「文章を書くのは好きだけど、投稿ボタンを押すのが怖い」とご相談されたことがあります。

一度ネットに投稿したら誰に読まれるかわからなくて怖い、読んで誤解されるのが怖い、などなど。文章は情報の少ない一方的なコミュニケーションです。こうした誤解やすれ違いというのは確かに生まれやすい関わりと思います。

かくいう私も長い間、せっかく書いても投稿ボタンを押すのが怖くて、そのまま記事をお蔵入りにしていた時があります。

当時通っていた自己啓発講座でそのことを雑談的に話した時、同じ班の暑苦しい人から「何を怖がってるんだ!もったいじゃないか、不安ばっかり口にしないで行動しろよ行動!」と責められたことがありました。彼の言っていることは正論です。ただ、当時の自分は正論では救われませんでした。

「人には人の乳酸菌」というように、人には人のコンフォートゾーンがあります。

自己啓発のとき一緒だった彼は「お前、そのコンフォートゾーンから出ろよ!」と私に叫んでいました。しかし悲しいかな「コンフォートゾーンから出ろよ!」と叫ぶ人はたいてい自分のコンフォートゾーンの中にいます。安全地帯から大声で叫ばれても、恐怖で震える人間を行動させることは難しい。

安全地帯から出れない人に、かつてそこにいた人・あるいは横から助けたいと思っている人にできることは「もしかしたらここから出るって選択肢もあるかも」と怖がっている人に気づかせることです。ですから「こうすれば怖くなくなる!」という絶対的な方法はありませんが「投稿してもみても案外平気かも」と、このnoteをご覧の方に伝えられるように私もポイントを2つほど挙げてみます。

① 最初は1人・2人に見てもらう。

いきなり誰もが読める媒体やリアルでのつながりがあったりするSNSに長文を投稿するのは、なかなか勇気がいることです。
ということで私はfacebookグループの、本当に信頼している人2人しか読めないように範囲を限定して投稿するところからスタートしました。

信頼している2人から次に15人くらいのグループでも投稿してみます。2人の時と違って関係性が薄い人もいましたが、私が恐れていた誤解されたり、嫌われたりということは起きませんでした。そして次に30人くらい、50人、、と徐々に公開範囲を広げていきました。

「人に見られると思うとなかなか発信できない」という方は、信頼できる人少数にプリントアウトしたものを「発表する怖さを克服したいので、読んでくれないか」見てもらうところから始めると良いと思います。当初私はそれも怖くて、ぬいぐるみに読んで聞かせるところから始めました。

② 書くのも話すのと同じコミュニケーションという立ち位置で書く

数人から250人くらいまで公開範囲を広げた時、私の文章を読んだある知人を怒らせてしまう出来事が起こります。
今思えばなぜあんなにも彼女を怒らせてしまったか分かるのですが、当時はなぜこんなことになったのかわからず、半年くらい文章を公開できない時期が続きました。

転機になったのは大阪にある「心に響く文章講座」に夜行バスで通うようになってから。この講座の主宰・仲谷先生は小説家であり心理学者でもあります。ここでどうしたら言葉が人の心に響くのかということを学びました。

なぜ芸能人のブログは炎上してプロのコラムニストの書くものは炎上しないのか。それは言ってみれば「読者への敬意の有無」のように思います。

文章の世界では「とにかく言い切って書く。思いますと書くな。なぜなら自信がなさそうに見えるから」と教えられることが多いですが、書くのも話すのも同じコミュニケーションです。相手に自信を見せつけるよりも大切なことがあります。
書くときも話すときと同じように「相手が受け取りやすいように伝える心くばり」が何より大事なようです。

そうして読者への敬意を大切に持って書いていくうちに、だんだんと読者の方からの反応も柔らかくなっていったような気がします。コメントなどで読者の方とのやり取りをしているうちに自分の伝えたいことが正しく伝わっている感覚が強くなり「もし誤解されたら」「怒らせてしまったら」という恐れはだんだん減っていきました。

投稿ボタン恐怖対策2点、いかがでしたでしょうか。
「怖い」「嫌だ」といったネガティブな感情はよく「甘えるな!頑張って克服しろ!」と言われがちですが、その奥にはたいていその人にとって大切な願いが眠っています。むしろ「投稿するのが怖い」と投稿した後の読者の気持ちを考えられる人のほうが文章を書くのに向いているように思います。

「投稿するのが怖い」という方はその気持ちを尊重しながら、できるところからトライしてみていただければと思います。


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